Facebookが友人の情報を要求するAPIを近々閉鎖予定

facebook-api


Facebookで、友人のステータス、更新情報、チェックイン、位置情報、興味やその他の情報をサードパーティのアプリに提供することがどことなく不誠実な行為だと感じていた人は多いだろう。この情報を持って開発者はユーザーにパーソナライズされたプロダクトを制作することができたが、プライバシーの懸念からFacebookは2014年のF8で、一年以内に友人の情報を要求するAPIを閉鎖すると発表した。そして、ついにその時が来た。Graph API v2.0が強制的に適用され、友人情報を求めるAPIは閉鎖する。そして4月30日には、他にもいくつかの変更が適用される。

本日、Facebookはサンフランシスコにジャーナリストを招き、この変更の内容について話した。2014年4月20日以降に作成されたアプリは、この新しいシステムに対応しているので、既に見たことがある人もいるだろう。しかし今後の開発に関しては、このアップデートされたAPIに準拠しなければ、Facebookへの接続は機能しなくなる。

Job Fusion'

Job Fusionは、APIの変更により閉鎖に追い込まれた。

 

この変更で、個人情報の正当な保持者が権限を取り戻すことになるので、ユーザーの多くは良い動きだと思うだろう。友人だからといって、彼らのどの開発者が安全かという判断まで信頼しているとは限らない。今後は、全てのユーザーが自分の個人情報をコントロールできるようになる。

一年前に変更を伝えてから、Facebookは上位5000アプリのレビューを行った。そして変更が適用された後、そのアプリにどのような影響があるかという内容のフィードバックを送付した。ユーザーへの影響を最小限に留めることが目的だ。

FacebookのSimon Crossは報道陣に対して、Mark Zuckerberg が示すFacebookの新しいスローガンは「人が最優先」であると伝えた。その理由として、「もしユーザーがFacebookを安心して使用できないのなら、ユーザーはFacebookにわざわざログインすることがなくなり、Facebookのアプリを使用することもなくなる。それではプラットフォームではなくなる上、開発者も失うことになる」と話した。

新しい指針を伝えるため、Facebookは広範囲に及ぶユーザー調査を行った。この調査では、ユーザーにFacebookのアプリを使用する際の個人情報の取り扱いについてどのように思うかを尋ねた。調査の結果からFacebookは、プライバシーの取り扱いについて信頼できるほど、Facebookのエコシステムを長期的に見て健康的に保つことができると結論づけた。ユーザーは個人情報の扱い方に安心感を覚えるほど「Facebookの利用に前向きになり、サービスをより多く利用するようになります。それが私たちの目指している所です」とCrossは話した。

一方で、開発者の中にはアプリの機能を大幅に変更したり、閉鎖に追い込まれたりしている。例えば、Job Fusionはユーザーの友人がどこで働いているかという情報を受け取り、ユーザーに友人の職場での求人情報を表示していた。Job Fusionは閉鎖を決定した。他のアプリ、例えばCareerSonar、Jobs With Friends、adzuna Connectといったアプリも今後閉鎖するか、既に閉鎖している。

screen-shot-2014-04-30-at-1-13-41-pm

友人情報のAPIの変更に伴い、Facebookは全てのアプリに対し、新しいログインシステムの使用を求めている。これによりユーザーは、どのデータを開発者に提供するかの詳細な設定ができる。これまで、2つの画面でユーザーはアプリに提供する個人情報の承認と許可を与えていた。一つは全ての個人情報に関するもので、もう一つはアプリがFacebookにユーザーの代わりに投稿する許可を与えるものだ。

これからのログイン画面では、開発者は必ず「提供する情報を編集」へのリンクを掲載しなければならない。リンク先からは、アプリが求める項目の一覧とそれを承認するチェックボックスが表示される。例えば、友人リスト、いいね!の情報、メールアドレスやニュースフィードへの投稿の有無などだ。ユーザーはチェックマークをタップして、それぞれの許可を外すことができる。

また、Facebookはログインのレビューを実施している。Facebookの社内チームで、ユーザーの公開プロフィール、友人リストやメールアドレスから基本的な情報以上のものを求めるアプリの検査を行う。ログインのレビューチームは既に4万以上のアプリを検査した。そこでの得た情報を基に、Facebookは開発者が必要以上の情報を取得しないよう、より詳細な承認画面を制作した。Facebookは、現在のアプリは以前の半分程度の情報の項目しか許可を求めないようになったと公表した。

4月30日の変更はユーザーにとってはどのような影響があるのだろうか?場合によっては影響は何もないだろう。アプリがユーザーからの追加の承認が必要なければ、問題なく機能する。メールアドレスなどの情報が足りない場合は、新しいログインシステムが表示される。改めてアプリにログインする必要もない。開発者がアプリに大幅な変更を加えたり、追加の承認が必要な場合はユーザーは改めてログインしなければならない場合もある。あるいは、アプリは正常に機能せず、エラーメッセージを表示するものもあるだろう。いくつかのアプリは閉鎖を余儀なくされる。

アプリが既に取得した情報については削除する義務はない。ユーザーがアプリに提供した情報は、今後も使用することができる。しかしユーザーが開発者に情報の削除を求めるのなら、開発者はそれに応じなければならない。削除依頼は、フォーム、メール、それぞれのアプリが採用している方法から提出できる。ユーザーは他にもアプリのプライバー設定 から、今後そのアプリがユーザーの情報を取得できないよう、許可を外すこともできる。

これらの一連の変更はFacebookのプラットフォームとして、そしてソーシャルネットワークとしてのユーザーの安心感につながるだろう。同社は、プライバシーが手薄だという評判に苦しめられてきた。Crossは、Facebookにログインするユーザーのコンバージョン率が11%も上昇し、これは「ユーザーがFacebookにログインすることに安心感を持っている」ことの表れだとしている。

Facebookは、開発者や広告主を退け、ユーザーを最優先に考える施策を堂々と行ってきた。これまでに何回も、ユーザーのフィードをスパムから守るためにバイラルアプリを削減してきたし、広告主からのもっと派手で全面を覆うような広告を掲載したいという要望も退けてきた。Facebookは、現時点のユーザーを重要視しなければ、利用されることが減り、最終的に開発者にも影響が及ぶことを知っている。

開発者は今回の変更を好ましく思わなくても、Facebookはできる限りの勧告をしてきた。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。