Facebook監督委員会はまだ発足したばかりだが、すでに今後のことを考えている。
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米国時間2月11日にカーネギー基金が主催した集まりで、監督委員会の共同議長で元デンマーク首相のHelle Thorning-Schmidt(ヘレ・トーニング=シュミット)氏は、同委員会はFacebookの政策意思決定の策定に留まらないというもっと広いビジョンを提示した。
彼女によると、このプロジェクトが成功と評価されるならば「他のプラットフォームや他のテクノロジー企業が、私たちに可能な監督行為に参加することが歓迎される」という。
トーニング=シュミット氏は、この種のモデレーション機関のより幅広いビジョンはいずれにしても今後生まれるだろうが、現委員会の当面のミッションは企業という「閉じた箱」の中で政策の意思決定を策定することから脱出することだと強調した。
「これまでコンテンツのモデレーションは、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏やその他のディレクターたちといったFacebookやTwitterでそれを最もやりそうもない人物が行ってきた」とトーニング=シュミット氏はいう。「しかし史上初めて、コンテンツモデレーションを大手ソーシャルメディアの外で行えるようになった。そのこと自体は、歴史的だと表現しても過言ではない」。
このようなコメントは、Facebookの監督委員会の大望を表しているのかもしれない。そもそも現在は、ウェブサイト上に「Oversight Board(監督委員会)」とあるだけで、Facebookの「F」の字もない。
今回の集まりでは、監督委員会の関係者たちで構成されるパネルの全員がプロジェクトを擁護した。グループは当初、懐疑論者たちからの批判を浴び、Facebookから生まれた団体が真の自律性を持てるわけがない、といわれていた。
監督委員会のコミュニケーション担当であるDex Hunter-Torricke(デックス・ハンター-トリッケ)氏は「監督委員会を直ちに否定して、新しいものを求める人がとても多い」という。
ハンター-トリッケ氏は4年間、Facebookのコミュニケーションチームの役員を務め、ザッカーバーグ氏とSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏のスピーチ原稿を代筆してきた。その彼も、次のように、監督委員会のより広いビジョンを示唆している、
「これは私たちが今テストしているモデルであり、Facebookの一部の領域と同社が直面するコンテンツモデレーションという課題に対して、この種の機関がインパクトをおよぼすことができるのか検証しようとしている」。ハンター-トリッケ氏によると、委員会は「進化し、成長することを」望んでおり、そのためにFacebookのモデレーションを扱った経験を生かしたいという。
ハンター-トリッケ氏は、さらに次のように述べている。「コミュニケーションの専門家としての私たちの能力と、Facebookを扱って得た経験により、委員会の能力は今後より強力なものになると予想しています。今は、その旅の途中です。しかもその旅は、目的地がわかっておらず、モデルをテストしながら微調整していくものです」。
TechCrunchは現在、監督委員会に対して、今後Facebookに限らず、ソーシャルネットワークに対する一般的で外部的な統治機関を目指すのかと質問している。
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Facebookの監督委員会は現在、ドナルド・トランプ前大統領のアカウントを復活するのかという、微妙で難問に直面している。トランプ氏は2021年1月初めに、米国議会を襲撃した暴徒を扇動したとしてFacebookから削除されていた。
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グループの20名のメンバーの内5名が、トランプ氏のケースを評価しているが、それが誰であるかは公表されていない。5名が結論に達したら、委員会全体の多数決にかけられる。評決が出るのは2カ月後だ。
監督委員会における最も突出したトランプ批判者は、法学者のPamela Karlan(パメラ・カーラン)氏だったが、彼女は先週、委員会を去りバイデン政権に加わったので、決定には関与しない。カーラン氏は、トランプ氏の弾劾に関する最初の聴聞会で、トランプ氏の行為は弾劾に値する違反だと主張している。
委員会は米国時間2月12日まで、決定過程において「多様な見方」を考慮するためトランプ氏のケースに関するコメントを受けつけている。
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2月11日にはFacebookの元セキュリティ最高責任者Alex Stamos(アレックス・ステイモス)氏が公開書簡に署名して、監督委員会がFacebookの決定と歩を揃えてトランプ氏を排除せよと主張した。「ソーシャルメディアがトランプ氏の声明を拡散しなければ、これらの事件はほとんど起き得なかっただろう」と書簡では述べられている。
「極端な状況下で政治的リーダーをソーシャルネットワークのプラットフォームから排除できるポリシーがあっても、もしかしたら扇動と動員は可能だったかもしれない。しかしこれは、そのような事案ではなかった」。
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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)