Googleの親会社Alphabetが成層圏気球によるインターネット接続プロジェクトLoonを閉鎖

Googleの親会社Alphabetが、巨大な気球を使って世界のへき地に高速なインターネット接続を提供するというアイデアの探求の、これ以上の継続を諦めた。

木曜日(米国時間1/21)の夜の同社の発表によると、今年で発足から9年目になり、独立の企業になってから2年半にもなるLoonプロジェクトを段階的に縮小しする。持続可能なビジネスモデルやパートナーが、見つからなかったからだ。

Loonの終焉は、Google Stationが終わってから1年後だ。それはインターネットを次の10億人のユーザーに提供しようとする、もうひとつの大きな接続努力だった。StationでGoogleは、インドの400以上の鉄道駅にインターネット接続を提供し、多くの国で行われている公共施設の無料Wi-Fiを真似ようとした。

しかしそれでも、今日のAlphabetの決断は意外だ。つい昨年Loonはケニア政府から承認され、商用の接続サービスを提供する初めての気球を上げることになった。数か月後に実際に行われた気球の浮上は成功し、このプロジェクトはうまく行っているという印象を与えた。

Loonは2019年にSoftBankの一部門から1億2500万ドルを調達し、そのWebサイトには、前からこんなミッション宣言がある: 「Loonは、まだ接続サービスのない、あるいはあっても十分でない世界中のコミュニティに接続を提供することにフォーカスしている。私たちは世界各地の通信企業や政府と協議してソリューションを提供し、十分な接続のない地域にインターネット接続を広げようとしている」。

インターネット接続の世界的大衆的提供という分野では最近、SpaceXAmazonへの関心が肥大しているので、Alphabetはその影響を受けたかもしれない。しかしSpaceX、Amazonの両社は将来、実現可能性に関わる難問にぶつかると言われている。

LoonのCEOであるAlastair Westgarth氏は、ブログでこう述べている: 「次の10億のユーザーを接続すると長年主張してきたが、しかし実際にLoonが追究していたのは、すべての接続技術の中でもっとも困難な問題だった。その難問とは、次の10億ではなく最後の10億のユーザーを接続することだ」。

「それらの地域では、到達の困難な、あるいは非常に遠すぎるところにコミュニティがあり、またそれらの地域は、既存の技術でサービスを提供することが現地の庶民にとって高価すぎる。これまで、多くの意欲的なパートナーを見つけたが、長期的で持続可能な事業を構築することのできる、十分にコストの低い方法は見つからなかった。ラジカルな新技術の開発は本質的にリスクを伴うが、しかしどんな新技術でも、このコストの問題の解決は容易ではない」。

このブログ記事は、Loonの接続への取り組みを成功と評価している: 「Loonのチームは、成層圏からの接続の提供に取り組む組織のエコシステムを活性化したことを誇らしく思っている。世界は、接続に関して層状のアプローチを必要としており、それは地上、成層圏、そして宇宙という複数の層である。そして各層が、問題の異なる部分に適している。この分野でLoonは、数多くの重要な技術的貢献をした」、とWestgarth氏は書いている。

次はどうなるか

別のブログ記事で同社は、ケニアで接続とインターネットと起業家精神と教育にフォーカスしている非営利団体と企業に1000万ドルの資金を提供した、と言っている

Alphabetにも、Loonの技術の一部を前進させ、このムーンショット・アイデアから学んだことを共有するる計画がある。

さらに同社によると、「Loonの技術の一部は、すでにProject Taaraに生きている。たとえば高帯域(20Gbps+)の光通信リンクで、それは最初、成層圏内を動き回る気球間に接続を張るために使われた。このチームは現在、アフリカのサハラ以南のパートナーと協力して、未接続および粗悪な接続のコミュニティに低費用の高速インターネットを、ケニアを起点として導入していこうとしている」、という。

最近ではGoogleやFacebookなど数多くの企業が、彼らの接続努力のいくつかを目に見えて規模縮小している。彼らのターゲットだったインドなど多くの途上国が、インターネットの問題を自力で解決しようとし始めているからだ。

また最近明らかになってきたのは、何億もの見込みユーザーたちにインターネットアクセスを補助金で提供していくことは、顧客を獲得する方法としてあまり持続可能性がない、ということだ。

画像クレジット: Project Loon

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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