米国時間3月23日、Google Cloudは仮想マシンのサスペンド / レジューム(一時停止と再開)機能を一般公開でローンチした。これまでこの機能は2年前にアルファでローンチし、開発者が利用できるオプションはインスタンスの停止とスタートだけだった。Google(グーグル)によると、今度のサスペンド / レジュームはラップトップのフタを開けたり、閉めたりする感覚に近いという。
インスタンスがサスペンド中は、それが使っているコアとRAMは課金されない。唯一支払うのはインスタンスのメモリのストレージ費用で、OSのライセンスも減額されるかもしれないとGoogleはいう。
他のクラウドにも同様の機能はあるが、Googleの主張では同社はACPI S3の標準信号を送り、その信号はデスクトップやラップトップにオペレーティングシステムが送ってスリープにしたり、RAMにサスペンドを送る場合と同じであるため、そのソリューションは非常に多種類のOSイメージと互換性がある。それどころか同社はデベロッパーに、ドキュメントのないカスタムのOSイメージで試してみることを奨めている。それらも、何もしなくても信号に応じた動作をするはずだ。
さらにGoogleの主張では、そのソリューションは他と違う。なぜならVMがサスペンドしてブートディスクから独立なら、イメージのためのストレージは動的にプロビジョンされる。従ってブートディスクにスペースがないことを心配する必要がないし、サスペンドしたインスタンスはストレージの消費量も少ない。サスペンド中にもインスタンスのIPアドレスはそのままなので、インスタンスがレジュームしたとき、メモリは単純にストレージからインスタンスのメモリに戻り、サイクルが続く。
ただしイメージのサスペンドは最大60日までで、その後、自動的に終了する。なお、そのサスペンド / レジュームは、GPUインスタンスやメモリが120GBを超えるインスタンス、E2インスタンス、そしてコンフィデンシャルVMでは無効だ。プリエンプティブルインスタンスはサスペンドできるが、サスペンション処理の間に終了するリスクがある。
しかしここでのアドバンテージは費用節約だけではない。このようなシステムはまた、必要に応じて、いくつかのインスタンスをスタンバイさせておく水平スケーリングを意味している。新しいVMをプロビジョニングするのは、時間がかかる。あなたのユースケースがそれなら、将来の道はサーバーレスかもしれない。しかし、それもまた長期のプロジェクトであるため、その間はこのようなシステムが役に立つ。
また、24時間365日稼働する必要のない開発環境にもサスペンド / レジュームを利用している企業もある。BigCommerceのエンジニアリング担当マネージャーであるAaron Humerickhouse(アーロン・ヒューメリックハウス)氏は次のように述べる。「Compute Engineのサスペンド / レジューム機能を活用することで、Compute Engineを中心とした開発環境の運用コストを削減することができました。BigCommerceでは、各エンジニアが自分の環境の『作業時間』をカスタマイズできるようになっており、各作業日の終わりに停止し、翌日の始まりに再開するようになっています。これにより、仮想マシンインスタンスの使用時間が1環境あたり平均で週168時間から週60時間に短縮され、毎月数千ドル(数十万円)のコスト削減が可能になりました。このようなコスト効率の向上は、当社のエンジニアリング組織が成長するにつれて、さらに増加すると考えています」。
画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images/Getty Images
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)