Hyperloop Oneが、Elon Muskのアイディアを基にしたハイパーループシステムのプロトタイプの建設を進める中、彼らの競合にあたるHyperloop Transportation Technologies(HTT)が、この度サンフランシスコからロサンゼルスまでを30分以内で移動できるシステムを開発するために、1億800万ドル超の資金を調達したと発表した。
誤解のないように書くと、同社は3180万ドルを投資家から現金で調達し、残りの7700万ドルは、労働力やサービス、土地の使用権や将来的な現物支給などで構成されている。
アーリーステージのテック企業向けクラウドソーシングプラットフォームであるJumpStartFundのプロジェクトから誕生したHTTは、株式を対価とした労働力の現物出資を行うボランティアの手によって支えられてきた。
HTTによれば、いくつかの企業も同社へ現物出資で参加したようだ。その中には、素材メーカーのCarbures Europe SAやデザイン・エンジニアリング企業のAtkins、ブランド・マーケティング企業のAnomaly Communications LLCのほかにも、ヨーロッパを拠点とするAR・VR企業のReflekt GMBHが、ハイパーループシステム内に取り付けるAR窓に関する提案を行っており、ドイツのケルンを拠点とするLeybold GmbHも技術面でHTTを支援していく。同社は産業用真空ポンプのパーツを製造・販売しており、彼らの技術はハイパーループシステムにおいて極めて重要な部分を構成している。
まだプロトタイプはお披露目されておらず、最近計画されていたTechCrunchチームによるプロダクト見学も直前にキャンセルされてしまったが、前述のような企業がHTTのシステムに関わっているとすると、同社は本当にハイパーループシステムの建設を進めている可能性が高い。
また、これまでクラウドソーシング経由で、603人が同社のプロジェクトに対して自らの時間と才能をつぎ込んでおり、その中には「38ヶ国・44社から参加した200人以上の専門家」も含まれているとHTTは話す。
しかし、HTTの共同ファウンダーであるBibop Grestaの発言については、その信憑性が疑われるような事件が以前発生していた。あるオーストラリアのニュース記事の中に、ハイパーループの建設についてクイーンズランド州政府の代表者と会談を行ったというGrestaの発言が掲載されていた。しかし、このニュースを報じたRNが、その後同政府にコンタクトしたところ、彼らは「クイーンズランド州政府の役人とGresta氏もしくはHyperloop Transportation Technologies社との間で会談が催されたという記録はありません」と答えたため、RNは後ほどその記事を修正していたのだ。
HTTが私たちに送ってきた以下のツイートを見る限り、どうやらHTTは少なくともオーストラリアで行われたビジネスカンファレンスPause Festの中で、交通地域省の役人と共にステージに上がってはいたようだ。
Gr8 day today. 1st up a panel w/ @GirlsinTech CEO @afgascoigne & @BibopGGresta @HyperloopTech & @PauseFest speech pic.twitter.com/6NSL4n0rlY
— Philip Dalidakis MP (@philipdalidakis) February 12, 2016
さらにHTTはTechCrunchに対して、オーストラリア政府とシドニー・メルボルン間の線路建築の可能性についても議論し「反応はとても良かったのですが、その後に控えたオーストラリアの総選挙で繁忙期に入るため、彼らは落ち着いてから連絡すると言っていました。しかし、その後数ヶ月に渡って再度連絡を試みたところ、反応はありませんでした」と語っていた。
現在HTTはオーストラリア政府が引き続き興味を持っているのか確認中だという。
またGrestaは、今年のはじめにTechCrunchを含む複数のメディアに対して、カリフォルニア州クエイ・バレー(Quay Valley)に計画されている未来型都市の敷地内で、ハイパーループシステムの建設を開始したと発表したが、未だ完成予想図以外の進捗に関する情報は得られていない。
それからしばらくして、HTTはTechCrunchに、デモ車両のテストが2017年中に行われる予定との連絡と共に、追加の完成予想図を何枚か送ってきていた。
私たちの質問に対して、HTTの広報担当者は、同社が利用している米ローレンス・リバモア国立研究所が開発した磁気浮上システムのフルスケールでのテストもほとんど完了しており、「複数のエリアで、乗客を乗せられるフルスケールのハイパーループシステムを建築する準備を進めていると同時に、その他のいくつかの国とも交渉を行っている」と語っていた。
さらにHTTは、アメリカ政府とクエイ・バレーでのハイパーループ建設に向けて動いているが、彼らでは「コントロールできない」事項もいくつかあると話していた。
もちろん、新しいテクノロジーの導入には時間がかかり、スタートアップが当初予測していたよりも計画が長引くこともある。しかし、競争は既にはじまっており、少なくとも競合は既に線路の建設を進めている。
Grestaはそんな状況にもひるまず、HTTはあるべき「方向に向かって」おり、「構想に沿ってプロジェクトを進行している」と語る。
HTT CEOのDirks Ahlbornは「Hyperloop Transportation Technologiesは、単なる会社ではなく、社会的な活動のようなものです。設立当初には、多くの人が情熱に従って私たちの事業に参加し、HTTを何百万ドルもの価値がある企業にするため協力してくれています」と付け加えた。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)