酪農・畜産向けのIoTソリューションを提供するファームノートホールディングスは11月30日、リアルテックファンドなど複数の投資家より総額4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。
同社では今回の調達を踏まえてクラウド牛群管理システム「Farmnote」や牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」の拡大を目指す方針。特に北海道・九州エリアにおける顧客基盤の強化を進めるほか、獣医学分野での研究開発を加速させる計画だ。
ファームノートについては2017年3月に産業革新機構や全国農業協同組合連合会らから5億円を調達した際にも紹介しているけれど、その前後で複数回の資金調達を実施。今回も含めると累計の調達額は17億円になる。
なお今回ファームノートに出資した投資家陣は以下のファンド、個人投資家などだ。
- リアルテックファンド(1号ファンド、2号ファンド双方)
- 北海道成長企業応援ファンド
- 北洋SDGs推進ファンド
- FFGベンチャービジネスパートナーズ
- みやぎん地方創生2号ファンド
- かごしまバリューアップファンド
- DGインキュベーション
- D2 Garage
- リバネス
- 小泉文明氏(メルカリ取締役社長兼COO)
- 長沼真太郎氏(BAKE創業者)
- 千葉功太郎氏
ファームノートが展開するFarmnoteは、PCやタブレット、スマートフォンを通じてどこからでも牛群の情報を管理・記録・分析できるクラウドサービスだ。
牧場スタッフは従来のメモ帳では無くFarmnoteのノート上で「発情」や「種付」など個体情報を記録。すると記載された活動を基に発情などの繁殖予定や牛群の移動履歴、預託状況などが個体ごとに自動で整理される仕組みになっている。
牛の一生がストーリーとしてタイムライン形式で記録されていくため、過去の履歴を振り返るのもスムーズ。ノートに入力されたデータから種付後の妊娠鑑定や分娩予定日のカレンダーを自動で作成する機能なども搭載されている。
2017年からはリアルタイムに牛の活動情報を収集できるウェアラブルデバイスFarmnote Colorの提供もスタート。Farmnoteと連携することでより高い精度で個体情報を管理し、異常検知できる仕組みを整えた。
現在ファームノートの売上成長率は過去3年で約30倍に伸びていて、同社のサービスを2700件の農家が導入。契約頭数は27万頭に上る(日本の飼養頭数は390万頭とのこと)。
同社では今回の資金調達を機にさらなる成長を目指す方針。特に顧客層が集中する北海道・九州エリアで地銀と協業し、IoTソリューションの普及を促進する。
また2016年8月に設立した農業への人工知能とIoT活用の研究組織「Farmnote Lab」の活動も加速させる計画。リアルテックファンドとリバネスからの支援を受け、獣医学分野での研究開発に力を入れるという。