知らなければAmazon Echoは一風変わったステレオスピーカーに見える。なので、Amazonのこの声で操作できるインターネット接続の人工知能端末で最も人気なのが音楽アプリなのも不思議な話ではない。本日からEchoの機能にSpotifyが追加された。
「Alexaに話しかけるだけで、Spotifyのお気に入りの曲を再生することができます」とAmazon Alexaのディレクターを務めるToni Reidは声明で伝えた。「Amazon Echoの機能で最も人気がある機能の内の1つが音楽です。そして、Spotifyとの連動はたくさんのユーザーからリクエストがあったサービスです。本日、カスタマーにSpotifyとの連携をお知らせできて嬉しく思います」。
Spotifyのプレミアムプランに登録しているユーザーでAmazon Echoも持っいるなら、EchoのバーチャルアシスタントであるAlexaに「Spotifyを再生」と言えば、Spotifyのプレイリストや音楽ストリーミング・サービス上のアーティストやジャンルの音楽を呼び出すことができるようになる。
「SpotifyのプレミアムプランのユーザーはAmazon Echoを使って好きな曲を聞けるようになりました。私たちもとても喜んでいます」とSpotifyのハードウェアのグローバルヘッドを務めるIan Gellerは声明で伝えた。「革新的な体験を作ることが私たちのミッションの中核にあります。私たちのユーザーは自宅で端末に話しかけて、音楽の再生などの操作ができる体験をきっと気に入るでしょう」。
最初は、Amazon Echoが販売されているアメリカだけで利用できるとSpotifyのスポークスマンは言い、まだ他の地域での展開については明かされていない。Echoのカスタマーの機能追加において最もリクエストが多かったのがSpotifyだった。Spotifyは世界中で展開していることから、Amazonが他の市場に展開を始めれば、Spotifyとの機能連携もそれに伴い利用できるようになると私は推測している。
Amazon Echoは、Spotify Connectから使える。つまり、Spotifyのユーザーはアプリから操作方法をEchoに変更すれば使えるようになる。
SpotifyとAmazon Echoとの機能連携は、相互マーケティングの1つの例だ。
Amazon Echoにとってこれはプロダクトの販売促進になるだろう。この端末は音楽を聞くのに自然なものだし、Echoのような端末に投資しているカスタマーはオンラインで音楽を聞いている可能性も高いだろう。
Amazon Echoは他にもストリーミングサービスと連携している。Amazon Music、Prime Music、iHeartRadio、Pandora、TuneInだ。しかし、Spotifyには1億ユーザーいて、2800万強のユーザーが有料プランに登録し、世界規模でこの市場を牽引している。Echoの端末でSpotifyを再生できることは、Echoの販売を急伸させる転換点になるかもしれない。少なくともメインストリームに訴求するための助けとなるだろう。
さらに、これはAmazonのEchoのより大きな戦略にも合致する。AmazonはKindleタブレット、Eリーダーや他のハードウェア同様、180ドルするEcho端末の売上をこれまで一切公表していない 。しかし、Amazonは端末の利便性を高めるために多くの機能連携を行ってきた。察するに、Alexaの元となる機械学習アルゴリズムにデータを供給したり、他のサービスに役立てたりしているのだろう。
これまでピザを注文できるような重要なアクション、買い物リストや他のTo-Doリストの作成、ニユースや他の情報へのアクセス、アラーム機能などを追加してきた。
SpotifyがEchoでのストリーミングをプレミアムの機能にしたのは興味深い。コンシューマーがプレミアム会員になる理由を増やすことにつながるだろう。もしEchoを持っていて、Spotifyをその端末から利用できるなら、無料のSpotify会員から有料会員に移行する後押しとなる。
現在Spotifyのプレミアムプランは月額9.99ドルだ。有料登録で広告の無い視聴、高い音楽クオリティーでの視聴、オフライン再生といった機能が利用できる。
Echoとの機能連携はSpotifyの戦略とも合致するだろう。Spotifyは現在アクティブユーザー数において最大手の音楽ストリーミングサービスだが、AppleやGoogleを始め、Deezerといった他の純粋な音楽再生ストリーミング企業のような競合が多くいる。ついでに言うと、今日Deezerはハードウェアへの搭載を進めるため、Huaweiと契約してDeezerを新型Honorのスマホに搭載するという発表をした。
音楽ストリーミングというのはある意味コモディティだ。基本となる音楽カタログで僅かだが貴重な差別化を図っている。SpotifyのユーザーがSpotifyを愛用し、あるいは他社サービスからSpotifyに移行してもらうためには、その音楽カタログの回りにどのようなサービスを付け加えるかにかかっている。それはプレイリスト、そこでしか使えない機能やとにかく便利な機能の提供などが考えられる。
人気のあるハードウェアのどれでもサービスを使用できることも絶対条件となるだろう。
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