SUVACOが扶桑社の「リライフプラス」と提携して、サテライトサイト運用開始

住宅関連のカタログサイト「SUVACO」が、フジ系列の扶桑社と提携してメディアサイトの共同運用を3月に開始すると発表した。SUVACOは今年7月にオープンしたばかりのホームデザインのカタログサイト。施工主と建築家、デザイナ、施工業者を結び付けるソーシャルな面を打ち出していて「住のソーシャルサイト」をうたっている。新築一戸建て、リフォーム・リノベーション、インテリアに興味がある人が、家や部屋、内装などホームデザインを閲覧できるほか、特定の専門家をフォローしたり、施工事例に対してコメントしたりといったことができる。

これまでにもSUVACOは特集や連載記事を掲載していて、住宅関連雑誌の置き換えとなりそうなメディアとしての側面も強かったが、中古マンションとリノベーションの専門誌、扶桑社の「リライフプラス」と提携することで、さらにコンテンツの拡充を図る。

リライフプラスは2009年創刊で発行部数は約2万5000部。SUVACOはリライフプラスと協力して新サイト「リノベりす」を2014年3月に開始する。リライフプラスは過去記事を提供するほか、月に1度の記事作成を行うという。SUVACOの中田寿氏(代表取締役社長)によれば、こうした記事にはストーリーとしての重要性があるという。「住宅というのは床、壁、キッチンなど自由に組み合わせが可能で変えられる。だから施工事例の具体的な情報と、ストーリー語りと、キュレーションが大切」とメディアとの提携の狙いを語る。リノベりすへの記事掲載に際してはリノベーションの施工業者は掲載料を支払う。リノベりすは記事を主体としていて、実際に施工業者への発注などはSUVACOで行うという形となる。

最近のバーチカル系のECサイトは、カタログの羅列と検索によるトランザクションの効率化という局面を終えて、今はキュレーションとか購買経験を良くするという面が差別化となっているというのが一般的な見方だろうから、SUVACOの取り組みもこうした流れで捉えられるかもしれない。

今回の提携に合わせて、SUVACOは機能強化も発表している。部屋や住宅の写真の中で使われている家具やインテリアなどのアイテムに対して、これを販売する施工業者や家具メーカーが、メモとリンクを付けられる「空間メモ」機能だ。空間メモといっても3次元的にどうこういうものではないが、リアルな施工事例に対して、直接提供側が説明を書き加えることができるというのは、まさにキュレーション。SUVACOで取り扱いがないアイテムであっても、建築家やリフォーム会社が説明を加えることが可能になるという。リンクは外部の物販サイトへの誘導となり、メモを付ける建築家などはアフィリエイト収入を得ることもできる。

SUVACOは7月にオープンして以来5カ月で、掲載施工事例数が200から600に、デザイナや施工業者などの専門家は40人から140人弱に増えたという。登録ユーザー数は非公開だが、月間10〜20%の伸びで、いちばん大きなマネタイズのキモとなりそうな施工の発注に関しては、まだ「片手で数えられるほど」(中田氏)ながらも事例が出始めているそうだ。

住関連のストートアップといえば、TechCrunch Tokyo 2013にも出場した「ietty」や(関連記事:TechCrunch Tokyo 2013:スタートアップバトル出場24社を紹介 — 優勝は指輪型デバイスのRing)、住をテーマとしたコミュニティサイト「iemo」なども注目だ(関連記事:gumiに事業売却した女性起業家の次なる挑戦は「住」がテーマのまとめサイト)。


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TechCrunch Japan

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