BloombergBusinessのインタビューよれば、SwatchグループのCEO、Nick Hayekは4月にスマートウォッチをリリースすると語った。Apple Watchのリリースも4月と予想されているから、同時期になる可能性が高い。
しかしSwatchはテクノロジーファンに製品を売り込むノウハウを持っていない。 私がこちらの記事で指摘したとおり、Swatchグループはオメガ、ブレゲ、ハリーウィンストンなどのブランドを傘下に持つスイス高級時計産業の主要な柱だ。これらはクロワゾネ七宝焼の花瓶同様、極めて芸術的な贅沢品で、決してテクノロジーによる利便性を売り物にした製品ではない。Swatchグループは何回もテクノロジー製品を売ろうと試みているが、Tissot T-Touchを例外としてすべて失敗している。
今のところSwatchスマートウォッチについてはWindowsとAndroidプラットフォームをサポートするシンプルな製品で「自動的に充電される」という以外詳細についての情報はない。かつての自動巻き腕時計のように腕の動きに応じて回転する偏心錘を使うのか、あるいはもっと大きな錘りがケースの中を飛び回る方式を使うのだろうか? 後者のテクノロジーはUlyssee Nardinが豪華なChairman携帯で使ったことがある。セイコーもKineticと呼んで何十年も前から利用している。
しかし問題はケース中で小さな錘を動かすことで得られる運動エネルギーが極めて小さいことだ。単純な腕時計を動かすだけなら足りるが、カラー画面のスマートウォッチを作動させるのは相当に難しい。おそらくSwatchのインターフェイスは極めて限定されたものになるだろう。そもそも「自動充電」方式が可能なのかどうかも疑わしい。優秀なテクノロジー企業と提携すればあるいは可能かもしれないが、困難な開発であることは間違いない。
またAppleへの対抗意識も見逃せない。SwatchグループのCEO、Nick Hayekは4月にリリースするとしているので、おそらくApple Watchのリリースと重なることになるだろう。 またHayekはAndroidとWindows Phoneをサポートするとしたが、これはAppleという巨人に挑戦することを考えれば当然の選択だ。
さてうまくいくだろうか? 現時点では私には予想がつかない。今年は世界中の時計メーカーがスマートウォッチ市場に参入する。Montblancは時計のバンドの裏側にメッセージを表示するスクリーンを組み込んだsmart braceletを作った。一方で、MMT Horological Smartwatch Platformという高級腕時計をスマート化する独自プラットフォームも来月発表されるという。高級腕時計産業もそろそろスマートウォッチを脅威と考え始めたようだ。
Swatchの戦いは長びくだろうし、また予測しにくいものになりそうだ。スイスの腕時計産業の前途は波乱ぶくみとなってきた。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)
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