TwitterがインドのShareChatを買収、MojをTikTokの世界的ライバルにすることを模索

Twitter(ツイッター)は最近、同社が世界第2位のインターネット市場でのプレゼンスを拡大し、TikTokの世界的なライバルを構築する方法を模索している中、インドのSNSスタートアップShareChat(シェアチャット)を買収するための交渉を行ったと、この件に詳しい3つの情報筋がTechCrunchに語った。

バンガロールを拠点とするShareChatにすでに投資している同社は、設立して5年になるインドのスタートアップを11億ドル(約1155億円)で買収することを申し出、9億ドル(約945億円)の追加投資を約束したと2人の関係者は語った。Lightspeed Partners India、Elevation Capital、India Quotientなどの支援を受けたShareChatは、これまでに約2億6000万ドル(約273億円)を調達している。

今回の協議は取引には至らなかったと、この件は非公開であるため匿名を要求している情報筋2人は語った。TechCrunchは、両社が協議を終了した理由を特定できなかった。

2つの情報筋によると、TwitterはShareChatが所有するショートビデオアプリMojを国際市場に展開し、中国のTikTokのライバルとして位置づける意図を表明していたという。

この件についてTwitterはコメントを差し控えており、ShareChatにもコメントを求めたが同社は応じなかった。

2020年のインドでのTikTok禁止は、国内のスタートアップや国際的なテック大手によるショートビデオ分野への進出を促した。

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すでに8000万人以上のユーザーを持つMojは、このカテゴリの最大手の1つとして浮上している。2021年2月初め、Snap(スナップ)はShareChatとMojショートビデオアプリにCamera Kitを統合する契約を結んだ。Snapがインドの企業とこの種のパートナーシップを結んだのは初めてのことである。

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買収の交渉は決裂したため、ShareChatは新たな資金調達ラウンドのために他の投資家との協議を再開した。これらの投資家にはGoogle(グーグル)やSnapが含まれていると情報筋は述べている。

TechCrunchは2021年1月に、ShareChatが2億ドル(約210億円)以上を調達するために、GoogleやSnapだけでなく、Twitterを含むいくつかの既存の投資家と協議していると報じた。Twitterによる買収の可能性があったことで、投資協議は長期化した。

同社によれば1億6千万人以上のユーザーを擁するShareChatは、インドの15の言語でSNSアプリを提供しており、インドの小さな都市や町に多くのファンを持っている。Blume VenturesのベンチャーキャピタリストであるSajith Pai(サジット・パイ)氏が「インド2(India 2)」と呼ぶユーザー層だ 。インドのスタートアップエコシステムの中で、このセグメントにリーチしているプレイヤーは非常に少なく、「インド3(India 3)」と呼ばれるより小さな田舎町や村のユーザーの貢献もあり、近年オンライン利用が拡大しているという。

2020年のTechCrunchインタビューに対し、ShareChatの共同創業者兼CEOであるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏は、同社の主力アプリは「飛躍的」な成長を遂げており、ユーザーは平均して1日30分以上をアプリに費やしていると述べた。

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Twitter自体は、インドの大都市や町以外での進出に苦労してきた。業界の幹部がTechCrunchと共有したモバイルインサイト会社AppAnnieのデータによると、Twitterアプリは、2020年1月にインドで約7500万人のユーザーに達した。また同社は、インドのニュースソーシャルアプリDailyhuntと契約を結び、ニュースやその他のローカルイベントに関するキュレーションされたツイート集である「Moments(モーメント)」をGoogleが投資しているDailyhuntアプリに導入した。

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Twitterは、アクティビスト投資家から成長を加速させるよう圧力がかかる中、この1年製品提供を拡大してきた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TwitterインドShareChat買収

画像クレジット:PRAKASH SINGH / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:TechCrunch Japan)

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TechCrunch Japan

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