WeWorkは、一時は470億ドル(約5兆182億円)の価値があると言われたコワーキングビジネスだが、今月にも大規模なレイオフを予定しているという。Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。これは、同社が最大5000人分の職を削減するつもりであるとの報道に続くもの。同社の全従業員の3分の1に相当する数だ。
WeWorkは現在、2020年に100億ドル(約1兆677億円)という低い評価額で上場すると予想されている。報道によれば、土壇場での現金注入についてJPMorgan(JPモルガン)と交渉中で、延期となってしまったIPOによって得られたはずの資金に代えようとしているという。今となっては教訓めいた話だが同社はこの数週間に渡り、銀行とも協力して損失を出し続けている事業の恐ろしく高額なコストを削減しようとしてきた。
レイオフの可能性があるというニュースは、共同創立者兼CEOのAdam Neumann(アダム・ノイマン)氏が辞任し、創業9年になる同社が、かなり期待の高かった新規株式公開を延期してから、ほぼ2週間後に届いた。ノイマン氏は現在、同社の非執行会長に退き、WeWorkの元の副会長のSebastian Gunningham(セバスチャン・ガニンガム)氏と、社長兼最高執行責任者のArtie Minson(アーティ・ミンソン)氏が経営を引き継いでいる。
こうして窮地に立たされている同社は、ウォール街の懐疑的な人々を満足させるのに、悪戦苦闘してきた経緯がある。ウォール街は、目の飛び出るような同社の高評価に困惑していたのだ。ニューマン氏の辞任以来、WeWorkはコスト削減のための取り組みをいくつか開始しており、これまでに買収した会社の売却も検討していると言われる。例えば、Managed by Q、Conductor、Meetupといった会社が、その対象として挙がっている。
レイオフは、収益性を確保するための明確な道筋を切り開こうとする企業にとって当然の手段であり、同社が2020年にIPOを目指すならもはや不可避だろう。今後、いつかの時点で浮上するためには、結局のところWeWork自らが言う「世界の意識を持ち上げる」ことが利益につながると証明する必要がある。
WeWorkは、8億ドル(約854億円)を上回る株式発行および借入による資金調達の後、異例なIPOの目論見書を8月に公開していた。6月30日までの6カ月間に、約10億ドル(約1068億円)もの損失を計上するような財務状況にもかかわらず、同社は470億ドル(約5兆182億円)という高い評価額まで積み上げることができていた。それも、ノイマン氏個人の資金調達能力の高さを示すものだった。
「WeWorkの共同創立者として、私はこのチームと、この10年で築いてきたとてつもなく素晴らしい会社を誇りに思っています」とノイマン氏は辞任を明らかにする際の声明で述べた。「当社のグローバルなプラットフォームは、現在世界29カ国の111都市に拡がり、毎日52万7000人以上のメンバーにサービスを提供しています。当社のビジネスは、かつてないほど強力なものになったものの、ここ数週間、私に向けられた監視の目が、大きな障害となってきました。そこで、最高経営責任者の職を辞することが、会社として最大の利益になると判断したのです。この偉大なビジネスを信じ続けてくれている私の同僚、私たちのメンバー、家主パートナー、投資家のみなさんに感謝します」。
WeWorkはコメントを拒否した。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)