国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士は、定期的な補給品の打ち上げによって比較的新鮮な食料を手に入れているが、火星まで行くとなると補給品の入手は不可能だ。もし人類が他の惑星に行くのなら、宇宙でも壊れない冷蔵庫が必要になる。パデュー大学の研究者たちは、そのテストに励んでいる。
普通の冷蔵庫だって宇宙で使えないことはないと思う人もいるかもしれない。熱を吸って、冷気を送り込む。単純なことではないか?しかし、一般的な冷蔵庫は、温度を調整するコンプレッサーにオイルを送り込むのに重力を利用している。そのため、重力のない宇宙ではこれらのシステムが機能しなかったり、すぐに壊れてしまったりするのだ。
パデュー大学のチームとパートナーメーカーのAir Squared(エア・スクエアド)が追求しているソリューションは、重力の方向や大きさに関係なく機能する、従来の冷蔵庫のオイルフリーバージョンだ。その開発は、NASAが有望な中小企業や実験に資金を提供し、ミッションへの準備を促進させるSBIRプログラムによって行われている(このプログラムは現在、フェーズIIの延長期間中)。
2年間の開発期間を経て、チームはついに飛行可能な試作機を完成させた。2021年4月にはパラボリックフライト(放物飛行)で模擬した微小重力環境でテストするところまでこぎ着けた。
最初のテスト結果は期待が持てるものだった。冷蔵庫はきちんと機能した。
研究チームの博士課程学生であるLeon Brendel(レオン・ブレンデル)氏は「微小重力環境下におけるテストで、明らかな問題もなく冷蔵サイクルが継続的に作動したことは、我々の設計が非常に良いスタートを切ったことを示すものです」と、述べている。「我々が認識していなかったことで、微小重力が冷蔵サイクルに与えた変化はないというのが、我々の第一印象です」。
もちろん、短時間の微小重力下(試作機が無重力に近い状態に置かれたのはわずか20秒間でしかなかった)では限定的なテストにしかならないが、研究者たちが取り組んでいた装置の問題点を解消することには役立った。次のテストでは、ISSに長期的に設置されることになるかもしれない。ISSの住人は、きちんと作動する冷蔵庫をきっと欲しがっているはずだ。
冷たい飲み物や(フリーズドライではない)冷凍食品はもちろん魅力的に違いないが、それだけでなく、標準的な冷蔵庫があれば、あらゆる科学的な作業にも利用できる。現在、低温環境を必要とする実験は、複雑で小規模な冷却機構を使用するか、絶対零度に近い宇宙環境を利用するかのどちらかしかない。だからこそ、NASAは「Flight Opportunities(フライト・オポチュニティ)」プログラムの一環として、開発チームを微小重力シミュレーターに搭乗させたのだ。
今回のフライトで収集されたデータの分析は現在進行中だが、最初の大きなテストの成功は、この宇宙用冷蔵庫の研究と実行の両方が、正しいことを立証するものだ。次の課題は、宇宙ステーションの限られたスペースと継続的な微小重力の中で、どのように機能するかを検証することになる。
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カテゴリー:宇宙
タグ:冷蔵庫、パデュー大学、NASA、ISS
画像クレジット:Purdue University
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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)