中小の販売業者が扱う低価格製品にも「Apple Care」のようなサービス提供を目指すExtend

小売業者やブランドに費用対効果が高く効率的な方法を提供し、消費者の購入と補償請求を容易にする、延長保証のビジネスへの新しいアプローチを構築した企業が米国時間5月18日、ビジネスを次のレベルに引き上げるための大規模な資金調達ラウンドを発表した。

「Apple製品ではないあらゆる製品の『Apple Care』になることを目指している」と共同創業者でCEOのWoody Levin(ウッディ・レヴィン)氏が語るExtendが、16億ドル(約1750億円)を超える評価額で2億6000万ドル(約284億円)のシリーズCラウンドを調達した。

同社は今回調達した資金を事業の拡大に充てる計画だ。具体的には、メーカーや小売店の保証がなくなった後に適用される延長保証にとどまらないサービスへの漸進的な移行や、より広範な地理的拡大、そして(27カ月のオペレーションで16億ドルの評価額に飛躍するだけでは十分ではないとすれば)eコマースでの地位を確かなものにするためのさらなる活動などが挙げられるだろう。

レヴィン氏はインタビューの中で「即日提供、後払いなど、中核的なeコマースツールセットのあらゆる要素に私たちは携わっています」と語っている。「当社は2019年から販売を始めていますが、市場はまだ当社のようなビジネスを認識し始めたばかりです。私たちは、透明で公正な保証を行うことにフォーカスしています。これまで市場に見られなかったことです」。

同社によると、初年度の2020年に30万件の保護プランを販売したが、2021年は300万件を超えるプランの販売を予定しているという。顧客にはPeloton、iRobot、Harman/JBL、Backcountry、Balsam Hill、BlendJet、RealTruck、Traeger Grils、その他数百社の小売業者が名を連ねている。(Pelotonはおそらくいくつかの興味深いストーリーを生み出しているだろう)

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シリーズCの資金調達は、財務的投資家と極めて戦略的な投資家の興味深い組み合わせによるものだ。同ファンドはSoftBank(ソフトバンク)が主導しており、同社のVision Fund 2から最新の投資を受けている。(レヴィン氏は孫正義氏から直接の売り込みを受けたと語り「私たちが行っていることを孫氏はすぐに理解してくれました」という)

既存の投資家であるMeritech Capital Partners、PayPal Ventures、GreatPoint Ventures、また新規投資家として保険大手のNationwide、Tomales Bay Capital、Launchpad Capital、10X Capital、40 Northも参加した。

中でも注目に値するのはPayPal(ペイパル)だ。保証は販売時に売られることが多く、決済の大手がより多くのツールとコンバージョンレバーを投入することに関心を示すのは理に適っている。(また保証と保険の関連性を考えると、PayPalの主要な競合企業の1つであるStripeが2021年3月、大手保険会社が参加する大規模な資金調達ラウンドを受けたことも興味深い)。

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一方、ソフトバンクがT-Mobile(多くのガジェットを販売している)の株式の一部を保有しており、投資家も相当数いることも思い出して欲しい。これによりExtendは、保証期間の延長やその他の保護プランを統合して提供する可能性のある広範な領域への扉を開くことが可能になる。

超過応募となったこのラウンドは、Extendが4000万ドル(約43億5300万円)のシリーズBを発表してからわずか8カ月後に行われた。Extendは今回のラウンドでVCとの対話を大幅に拡大したといえる。

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延長保証と保護プランは、長い間消費者の間で論争の的になってきた。理論的には安心感があるように聞こえるが、苛立ちをともなうアップセルのようにも感じられる。会社がなぜか製品の持続性を認めていないという暗黙のメッセージがあるからだ。同時に、まったく期待外れとはならないにしても、実際に異議を申し立てるには時間がかかる。

Extendはレガシーモデルの落とし穴を十分に認識しており、より柔軟なサービス(価格に応じて保証期間の階層を提供)や、Extendが提供するすべての保証を1カ所で管理できる明確なポリシー、必要に応じてポリシーに対する請求を受け取るためのKaleyと呼ばれるデジタルアシスタントによる迅速なやり取りなどによって、レガシーモデルに対抗しようとしている。さらにバックグラウンドでは、機械学習とリスク分析を活用し、自社のプランが確実に実行されるようにしている。

現在のところ、これらすべてが有利に働いている。小売業者は自社で保証を扱うことにあまり興味を持たなくなってきており、その作業を外部の業者に委託している。Extendの初年度の売上は40倍に増加した(2020年)。多くの人が自宅で過ごすようになり、問題が発生した場合には顧客サポートとのやり取りを続けることに意欲的になった時期だ。同社によると、2021年の売上は400%増を見込んでいるという。

同社の顧客は引き続きD2C(消費者に直接販売する)企業が中心となっているが、小売業者とのいくつかの新たな契約は、Amazonのようなマーケットプレイスが提供し得る幅広いサービスに対抗するため、商品購入という基本的な提案に対してより多くのサービスを消費者に提供しようとしている企業に、さらに幅広い機会をもたらすことを示唆している。

SoftBank Investment AdvisersのマネージングパートナーNagraj Kashyap(ナグラジ・カシャップ)氏は次のように語っている。「オンラインで買い物をする消費者が増えるにつれ、小売業者は消費者が安心して買い物ができるようにしたいと考えています。Extendは、業界をリードするプラットフォーム、APIソリューション、消費者優先のアプローチを通じて、延長保証業界を改革していくと私たちは確信しています。レヴィン氏そしてExtendのチームと協働し、消費者の愛する製品を守るより良い方法を提供するという彼らの熱意を支援できることを、大変うれしく思います」。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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