LINE、イランに美容とファッションのポータルを開設

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【編集部注:本校の執筆者、Amir-Esmaeil Bozorgzadehは、教育IT分野のVRスタートアップ、Virtuleapの共同ファウンダー、およびドバイ拠点の中東アジアオンラインゲームパブリッシャー、Gameguiseの共同ファウンダーで、世界のゲーム開発者、パブリッシャーのコンサルタント業務を行っている。

Benitaは、ファッション、美容、ライフスタイルの最新ニュースを届けるポータルとして、今年5月にイランでデビューした。人気メッセージングアプリで知られるITの巨人、LINEは、同国での目的地サイト分野進出を後押ししようとしている。

ポータルは、地元のイラン人スタッフからなるチームが作る日々のコンテンツや、地域ユーザーが重要な話題を共有、議論するためのフォーラムを提供する。

LINEは入念な準備をしてきた。イランのITとスタートアップの状況は、経済制裁解除後に海外からの直接投資が急増したことをうけ、その活動も報道も沸き立っている。そして同社は、ITおよびソーシャルメディアの経験を活用するとともに、当地の女性人口の間にある根強い需要に対応するべく、この分野に入ってきた。

イランの女性人口は3900万人(全人口の49%)で、その60%が30歳以下だ。その結果イランは、全人口に対する15〜29歳の比率が世界最大である。

イランの女性を理解するための重要な鍵が一つある。それはイスラム教の服装規定だ。

女性は髪を隠し、地味な服装を着ることを強いられている。このことによって、イラン議会の調査センターの推定によると、この国の美容・化粧品の業界規模は40億ドルにも上る。開かれた領域である女性の顔と手は、彼女らが個性を発揮する最も重要な場所だ。

イランのITとスタートアップの状況は、その活動も報道も沸き立っている。

しかし、「ファッション」も忘れてはならない。テヘラン北部の繁華街には、一流国際ブランドの最新流行コレクションが並んでいる。イラン首都のこの裕福な地域に散在するブティックに行けば、最新トレンドのファッションがいつでも手に入る。オンラインでは、Instagramが最も人気の高いソーシャルネットワークで、イラン人の半数がこの写真共有サイトでトレンドを追いかけている。

イランには300万人の富裕層がいると言われ、そこには世界の高級品市場1兆ドルの約2%を占める高級品市場がある、とExane BNP Paribasのアナリスト、Luca Solcaが報告している。その中の女性シェアは重要である。

しかし、市場には偽物が溢れており、国際的な商標保護協定に加盟していないことから、近年事態は悪化している。しかし、有名ブランドらの介入によってもうすぐこれが変わろうとしている。その代表例が、イタリアの首相が最近イランを2日間訪問した際に、イタリアファッション業界が署名した、イランとの関係を良好にするための契約だ。

ロベルト・カバリはイランで最初のブティックをこの2月に開店した。 セフォラは地元の高級品小売大手、Chalhoub Groupと提携して秋にショップをオープンする計画だ。ヴェルサーチも近くテヘランに主要ブティックを開くと言われている。

こうして、ヨーロッバの最大高級品ブランドらは中東第二の市場に参入しつつあり商標保護を推進するとともに、偽物需要を減らそうとしている。

こうした海外ブランドの多くは現地のパートナーと提携関係を結んでいる。LINEも例がではない。同社はドバイ拠点のデジタル代理店で、ポータルやアプリの開発に定評のあるEdoramediaと組んで、Benitaを開発した。

「イランの人たちは、ITに関して初心者ユーザーではない」とEdoramediaのマネージングパートナー、Hossein Jalaliは言う。「彼らは非常に進歩的なユーザーであり、トップブランドによる最高のユーザー体験と商品を求めている」

通常この次に起きるのは、Benitaのようなポータルの参入と拡大にあわせて、関連するスタートアップやソリューションが急増することだ。女性が支配するこの業界のデジタル化を、彼らが挙って推進することによって、プラットフォームやツールの水準も目の肥えたユーザーたちの眼鏡にようやくかなうことだろう。

「小売の状況は急速に変化しているが、適切な小売場所が不足していることから、新規参入者にとってはEコマースが唯一の選択肢だ」と、現地の人気Eコマースポータル、Albasco.comのCEO、Ehsan Golabgirは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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