ハンズオン:自律飛行ドローンHover Camera Passport

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1年ほど前に、自律飛行が可能で、カメラも付いた新しいタイプのドローンが市場に(プレオーダーの形で)現れた。カメラとAIテクノロジーが組み合わさったこのドローンであれば、基本的にはユーザーが機体を空中に投げ上げるだけで、ドローンがユーザーの後ろをついて回って写真や動画を撮影することができる。

SnapLilyStaakerHoverなどがこのようなドローンの開発にあたっており、そのうちのほとんどが外部調達もしくはプレオーダーという形で何千万ドルもの資金を準備していたものの、実際の製品出荷までには時間がかかっている。

しかし、本日Hover(ZeroZero Roboticsの飛行カメラブランド)は、Passportと名付けられた同ブランド初のカメラドローンを発表した。現在の価格は549ドルに設定されており、最終的な予定小売価格599ドルから50ドル値引きされている。先週私たちはPassportを試すことができ、その性能には感動してしまった。

コンパクトなサイズ

数ヶ月前に私はニューヨークシティに引っ越してきて、大変気に入っているのだが、ドローンを飛ばすのは諦めざるをえなかった。予想される結果(と法律)を無視して、この街で図体の大きなInspireやPhantomを何百フィートも飛ばすなんてことはありえない。

しかしPassportなら話は変わってくる。折りたたみ可能なこのドローンの重さは242gで、飛行モードのときのサイズは本一冊分ほどだ。折りたたまれた状態だとビデオテープ程の大きさになる。街中を散歩する際に、このドローンを彼女のハンドバッグの中に放り込んでみたところ、最初こそ彼氏のドローンを持ち運ばなければならいことにイラついていた彼女も、そのうちドローンがハンドバッグに入っていることさえ忘れていた。スーツケース並のInspire用ケースのサイズと比べれば、Passportのサイズは夢のようだ。

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しかしもちろんPassportは、DJIのInspireやPhantomのようなフル装備のドローンではない。4Kの動画と1300万画素の写真を撮影することはできるものの、カメラの用途としては、クローズアップでの撮影や三脚を使うような場面での撮影が想定されており、本当の意味での空撮カメラではない。WiFi接続についてもドローンがユーザーから60フィート(約18m)離れると途切れてしまい、そこまで高く飛ぶようにはできていない。実際に使用していたときも、1、2度接続が途切れたが、このときはまだWiFiのカバー範囲をメーカーに確認していなかったため、ほぼ間違いなく私が60フィートの境界を超えたために起きたものだと思われる。もしも接続が途切れてしまったとしても、ドローンがその場に浮いたままでいるため、ユーザーは近づいていってWiFiに接続し直すことができる。

そして何百フィートも飛ばせない代わりに、ユーザーはPassportを屋内でも飛ばすことができる。これまでリビングルームでInspireを飛ばそうとしたことがあるだろうか?私はあるが、本当に絶対にオススメしない。その一方でPassportは、ニューヨークにある私の小さなアパートの中や、外に出て歩道で飛ばすには完璧だった。Passportには音波センサーと、1秒間に100枚の写真を撮影できる、下向きに取り付けられたカメラが搭載されており、どちらもPassportを所定の場所で飛行させるために開発された。この安定性のおかげで、狭い場所でも壁にぶつかるのを心配せずにドローンを飛ばすことができる。

結局DJIのドローンは何百フィートという高さまで飛んで建物全体の動画を撮影することができる一方、Hover Camera Passportは、ユーザーから数フィート離れたところで写真や動画を撮影するという、いわば飛行型自撮り棒またはパーソナルカメラマンのような製品なのだ。

カメラ

しかしこのような、新しいタイプのドローンに関する理想論も、いい写真や動画が撮れなければ成立しない。

Passportにはイメージスタビライゼーション機能(電子式と1方向のジンバルによる物理的なものの両方)が搭載されており、動画のブレを抑えるのに一役買っている。なお、ZeroZero Roboticsは、風が環境下では4Kではなく1080pでの撮影を推奨している。というのも、同製品のイメージスタビライゼーションのアルゴリズムは1080pに最適化されているためだ。

カメラの性能は、長編映画の撮影に使えるほどではないものの、必要最低限のことはできる。カメラのレンズは非常に小さく、iPhoneのカメラのレンズと同じくらいだ。さらに撮影した写真や動画のクオリティも、iPhone 6Sのカメラで撮ったものとほぼ変わらず、599ドルで買える242gのポータブルドローンと考えれば悪くない。

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さらにフラッシュも内蔵されており、ドローンが数フィートだけ離れている状態でグループ写真や個人写真を撮る際にはかなり役立つ。繰り返しになってしまうが、フラッシュが内蔵されているという事からも、Passportが空撮ではなくクローズアップ写真を撮るためにデザインされたということが分かる。

Instagram用や友人に送るためのものとしては、十分過ぎるくらいのクオリティの写真を撮影できるが、もしも映画のように見事な空撮映像を撮りたいという人が購入するとガッカリしてしまうだろう。

AIによる自律飛行とマニュアル操縦

見方によって、Passportがドローンよりも空飛ぶカメラに近いと考えられる理由が、かっこいい写真や動画を撮るために搭載されたテクノロジーの数々だ。一旦Passportを空中に浮かせれば、ビデオモードに移り、Follow・360-Spin・OrbitからAIモードを選択することができる。

Followは名前の通りだ。Passportのカメラがユーザーをとらえると、携帯電話上のストリーミング映像に写ったユーザーの体の周りに黄色いボックスが表示される。そして画面に写ったユーザーをダブルタップすると、ボックスが黄色から緑色に変わり、Passportがユーザーをロックオンしたことが分かる。そうすれば、ユーザーが歩き(もしくはゆっくり走り)回る後ろをドローンがついて行くようになる。さすがに走りながら急に方向転換したときには対象を見失ってしまっていたが、Follow機能はとても良くできていた。

Orbitもとても面白い機能だ。Followと同じ要領でPassportをユーザーにロックさせると、Passportが10フィート(約3m)程離れてユーザーの周りを回りだす。ユーザーが歩いているときにも有効で、撮影された動画はアクションムービーさながらだ。

素晴らしいことに、ユーザーはさらに、モバイルアプリ内のオンスクリーンジョイスティックを使って、Passportをマニュアルで操縦することもできる。自律飛行型のドローンの中には、AIの性能が良いからマニュアル操縦は必要ない(できない)と自慢気に謳っているものもある。しかしドローンを所有する上での楽しみの少なくともひとつが、自分でドローンを操縦することであるため、この宣伝文句は残念な結果につながることが多い。またPassportのサイズであれば、家の中を飛び回ることもできるため、さらにその楽しみが増える。

まとめ

Passportにはとても感動した。私はこれまでにも、”空飛ぶカメラ”という新たなカテゴリーに含まれるドローンを試してきたが、ほとんどが中途半端でガッカリするようなものだった。しかしPassportは本当に良くできている。InspireやPhantomのような怪物級のドローンを補完するサブ機を探している人や、屋内や人の周りでも飛ばせるようなエントリーモデルを探している人にとって、Hover Camera Passportはぴったりの製品だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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