Snapは新しいハードウェアプロジェクトの実現に向けて、外部から力を借りようとしているようだ。関係者の情報によれば、Snapは中国のドローン企業Zero Zero Roboticsと買収交渉を進めているとのこと。
The Informationが最初に報じたこのM&Aの金額は1億5000万〜2億ドルに達すると情報筋は語る。金額だけ見るとかなりの大型買収のように感じられるが、Snapにとっては、2億5000万ドル以上を支払ったとされるソーシャルマップ企業Zenlyの買収がこれまでで最大のM&Aだった(なおSnapはZenlyの買収額を公表していない)。
本件に関しSnapとZero Zero Roboticsにコメントを求めたが、未だ回答は得られていない。
Zero Zero RoboticsはHover Cameraドローンの開発元として知られている。これは空からセルフィーを撮るために開発されたドローンで、昨年上海で行われたTechCrunchのイベントでも紹介されていた。Hover Cameraは昨年10月に正式にローンチされ、Appleのオンラインストア・店舗限定で500ドルで販売されている。
夏に入り、Zero Zero Roboticsが「アメリカの大手企業」に買収されたという噂が立ち始めたときは、彼らも他のドローン企業同様、経営に行き詰まってソフトランディングを模索したのだろうと考えていた。有名な例で言えば、Kickstarterプロジェクトで一躍名が広まったLilyは、財務的な問題のせいで今年に入ってから事業を畳むと決めた。
さらにSnapには、経営難に陥ったドローン企業を安く買収してきた実績がある。Lilyは倒産の代わりにSnapへの身売りを検討し(結局話はまとまらなかったが)、倒産寸前のドローン企業Ctrl Me Roboticsは実際にSnapに買収されたと言われている。大手ドローン企業DJIが発表した、Hover Cameraの競合商品となる499ドルのSparkもZero Zero Roboticsにプレッシャーをかけたと考えられる。
しかし、今回の買収話は経営難に端を発したものではない。SnapはこれまでにZero Zero Roboticsが投資家から調達してきた2500万ドルを遥かに超える額を支払おうとしているだけでなく、The Informationの情報によれば、そもそもZero Zero RoboticsからSnapに資金調達目的でアプローチし、それが買収話に発展したと言われているのだ。
Spectaclesに続くハードウェアプロダクトを模索しているSnapのことを考えると、この買収話には納得がいく。先日の記事で紹介されていた通り、現在同社はARテクノロジーを盛り込んだ新型のスマートグラスを開発中のようだが、カメラ企業を目指すSnapがドローンにも興味を示しているというのも事実だ。
New York Timesの報道によれば、Snapはドローンの自社開発も検討していたが、どうやら結局外部の助けを借りることにしたようだ。
現在Snapが成長に関して投資家からのプレッシャーを感じていることを考えると、既存の製品であっても自社のものにしたがるのもよくわかる。ロックアップ期間が終わり、関係者もSnapの株式を売却できるようになったにしては、同社の株価はそこまで落ち込んでいないが、現在の13.1ドルという株価は3月のIPO時に設定された公募価格17ドルを大きく下回っている。
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(翻訳:Atsushi Yukutake)