フランス政府は、テック企業で働く人向けのフレンチテックビザに関する刷新内容を明らかにした。そこには、フランスに来て働くのを容易にするという逆張り的なスタンスが見て取れる。
まずは大きな数字から見てみよう。フレンチテックミッションのディレクターであるKat Borlongan氏によると、フレンチテックビザにアクセスしてより簡単に外国人従業員を雇うための要件を満たすスタートアップは1万社超ある(もしあなたがEU内に住んでいるのなら、もちろんビザは必要ない)。
なぜフレンチテックビザを見直すのが大事だったのか、Borlongan氏に尋ねた。すると彼女は「我々のスタートアップが必要としていたから」と答えた。「重要なことが2つある。1つは経済面の供給と需要だ。我々がインタビューした高成長中のスタートアップは全て口を揃えて、雇用が最優先事項であり、フランスで簡単に確保できない人材を探していると語った」。
「2つめは文化的なものだ。フレンチテックは強力なエコシステムになりつつあるが、まだ多くの人にフランス人だけのものととらえられている。グローバルで成功するためには、チーム編成や考え方、マーケットなどの点で我々自身がフローバルになる必要がある」。
米国の多くのビザとは異なり、スタートアップはこれまで候補者をフランスで探してきたと証明する必要はない。かなり高額な移民弁護士費用をを払う必要もない。フレンチテックビザの事務手続き費用は368ユーロだ。候補者にはディプロマの要件はない。
フレンチテックビザの以前のバージョンは、パス・フレンチテックプログラムの一部として選ばれた約100社に限定されていた。また雇用される側は修士課程を修了していなければならなかった。つまり、今回かなり変更されたことになる。
そしてこの見直しは、外国人従業員にとってかなりいい話だ。ビザは4年間有効で、その後は更新できる。同じ企業で働き続ける必要はなく、別の企業に移ってもビザは有効だ。また家族もビザを取得できるので、一緒に移り住むことができる。
もしあなたのスタートアップがVCファンドから資金を調達していたり、あるいはアクセラレーターの一部だったり、もしくは政府資金を受け取っていたり、JEIステータス(若くイノベーティブな企業のステータス)を持っていたりするのなら、このビザに申し込める。
La French Techとフランス政府はVCファンド、アクセラレーターなど、さまざまなリストを作成した。もしそうした要件を満たすのなら、ビザプログラムに申し込むことができる。そのリストには、フランスを拠点とするほとんどのVCファンドやアクセラレーター、そしていくつかの外国企業(Y Combinator、500 Startups、Techstars、Entrepreneur First、Plug and Play、Startupbootcamp)が含まれる。リストは年に数回アップデートされる見込みだ。
フレンチテックビザを利用したいスタートアップはまずオンラインフォームの記入を済ませる必要がある。このフォームにはVCファンドとアクセラレーターの全リストが盛り込まれている。ビザを取得したい人は自国のフランス領事館で発給を受けられる。
フレンチテックエコシステムは急速に成長してきた。そして多くのフランスのスタートアップは英語で業務を行い、海外の人材を雇用することを選んだ。テック人材をめぐってはグローバルで争奪する状態となっているため、このビザのスキームはフレンチテックエコシステムの将来にとって不可欠のものとなる。
イメージクレジット: ElOjoTorpe / Getty Images
(原文へ 翻訳:Mizoguchi)