米司法省から反トラスト捜査の目を向けられているのは大型テック企業だけではない。
米国時間10月26日の午後遅く、米司法省はVisa(ビザ)によるベンチャー支援企業のPlaidに対する53億ドル(約5540億円)の買収提案を捜査中であることを明らかにした。Plaidはアプリケーションがユーザーの銀行口座と連携できるようにするサービスだ。
これは数多くの新たなフィンテックサービスを可能にするものであり、この買収契約が今後さまざまなスタートアップから生まれてくる新たな金融サービス市場にどのような影響を与えるか、司法省はこの1年をかけて調査していたようだ。
司法省がこの取引に注目していることがわかったのは、VisaのPlaid買収を手配したコンサルタント会社のBaidに対して、当局の民事調査請求(CID)に応じるよう求めたマサチューセッツ州地区連邦地方裁判所に提出された請願書からだった。
司法省は、Bainが文書について何らかの特権を持っていたと主張して提出を拒否し、結果的に司法省の捜査を引き伸ばしたと主張している。
「米国消費者は反トラスト局が迅速かつ徹底的に合併を捜査することを望んでいます」と司法省反トラスト局のMakan Delrahimk(マカン・デラヒム)局長は声明で語っている。「関連する第三者の種類とデータを収集することが、本局が一連の取引を分析する上で不可欠です。こうした要望を無視することで本局が関心を失い、捜査目標を他の案件に移すと期待している第三者があまりにも多い」。
司法省は2020年6月に初めて、Bainに対してVisaの価格戦略と他のデビットカードネットワークに対する競合に関連する書類の提出を求めた。当局はその情報を使ってVisaが計画する買収が金融サービス市場全体に与える影響を分析するつもりだった。Bainはその情報を部外秘であるとして書類作成を拒否した。
司法省が注目している大型フィンテック買収案件はVisaのPlaid買収提案だけではない、とThe Wall Street Journalは報じている。規制当局はMastercard(マスターカード)によるフィンテックスタートアップであるFinicityに対する10億ドル(約1040億円)の提案や、Intuit(インテュイット)のクレジットスコア情報スタートアップであるCredit Karma(クレジットカルマ)買収の70億ドル(約7310億円)の提案にも注目している。
「本局のBainに対する請願は、関連書類を確保し、我々が発行するCIDの期限と仕様を第三者に守らせる意志を明確にすることが目的です」とデラヒム氏はいう。「Bainをはじめとする第三者は、当局の民事調査に関わる要求に完全かつ迅速に従って、我々が職務を果たし、国民のために尽くすのに必要な書類とデータを提出するべきです」。
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カテゴリー:フィンテック
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )