パーミッションを簡単にするPermit.ioが約7億円を調達

Permit.ioはパーミッションのシステムをプロダクトに組み込むためのフルスタックの認可(Authorization)フレームワークを提供するスタートアップだ。同社は米国時間2月15日、シードラウンドで600万ドル(約6億9400万円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはNFXで、以前に投資していたRainfall Venturesと多数のエンジェル投資家も参加した。参加したエンジェル投資家にはAqua Securityの共同創業者でCTOのAmir Jerbi(アミール・ジェルビ)氏、Snyk共同創業者のDanny Grander(ダニー・グランダー)氏、LaunchDarklyの共同創業者でCTOのJohn Kodumal(ジョン・コデュマル)氏などがいる。

Permit.ioを創業したのは、Rookoutの共同創業者でCEOだったOr Weis(オー・ウェイス)氏と、FacebookおよびMicrosoftのエンジニアだったAsaf Cohen(アサフ・コーエン)氏だ。

ウェイス氏は筆者に対し、次のように語った。「私はRookoutでアクセスコントロールを5回も作り直しました。1回は仕方ないとして、あとの4回はおそらく無駄ですね。このことをアサフに話すと、2人ともアクセスコントロールを何度もゼロから開発したことをすぐに思い出しました。(中略)すべての開発者をいつも困らせている問題であり、私たちはこれを解決したいと思っています」。

同氏は、この問題がさらに深刻になっていることも指摘した。マイクロサービスが成長し、ユーザーが操作する代わりにお互いに連携しあうアプリの数が増えているのが、その一因だ。

画像クレジット:Permit.io

LaunchDarklyのコデュマル氏は「フィーチャーフラグと同様に、パーミッションは開発者が何度も設定しなくてはならないものでした。Permit.ioによる認可は、この苦労をきっぱりと終わりにします。これを組み込むだけで完了です。シンプルでエレガントで、時間を節約できるソリューションです」と述べている。

Permit.ioはオープンソースのOPALプロジェクトをベースに開発されていて、開発者はこのインフラと開発者向けツールを使って認可を管理できる。さらにバックオフィスサービスで開発者だけでなく組織内のほぼ全員がパーミッションを管理できるようになる。開発者にとってはサービスがコードからポリシーを切り離すので、アクセスポリシーをアプリに明示的に組み込む必要がなく、後々の柔軟性も大幅に増す。

画像クレジット:Permit.io

Permit.ioは認証(Authentication)ではなく認可に特化しているので、Auth0やCognito、Oktaなどのプロバイダとも連携できる。ウェイス氏は「何が標準であるかを社会が合意している認証やアイデンティティ管理とは異なり、認可は現在も進化し変化し続けています。認可に関するスタックはこれからも進化すると考えています。我々がすでに対応しているOpalなどの他、これから対応しようとしているグラフベースのアプローチであるGoogleのZanzibarのようなものもあります。(中略)。進化し続けているものであるため、我々はそうした変革から、そしてその変革についていくことの難しさから顧客を自由にしようとしています。我々のソリューションにより、市場がベストであると判断したものを利用できるのです」と説明した。

NFXのゼネラルパートナーであるGigi Levy-Weiss(ジジ・レヴィ・ワイス)氏は次のように述べている。「Permit.ioの創業チームは、どこが壊れていて修復する必要があるかを見るだけでなく、まったく異なる新しい現実を予見するユニークなビジョンを持っています。現在のエンジニアが何に対処しているか、そして組織に与える影響を理解することで、Permit.ioはエコシステムを再編し、アクセスコントロールを通じて安全に連携するソリューションを構築することができました」。

画像クレジット:Simon McGill / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

K-12校(小学校から高校まで)の生徒たちのインターネット安全性を守るために、Securlyが400万ドルを調達

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Childrens’ Internet Protection Act(児童インターネット保護法)の規制によって、生徒にインターネットアクセスを提供する米国内の学校では 、生徒が猥褻あるいは有害なオンラインコンテンツにアクセスすることを防ぐために、一般にウェブフィルタリングシステムを使用しなければならない。

この法律は、元々2000年に制定され、2011年に改訂されたが、そもそもは資金力のある企業のために作られたエンタープライズソリューションを、学校で使う羽目になり、学区のIT部門には大きな負担が強いられた。

そこで、サンノゼのスタートアップSecurlyが、シリーズAのラウンドで400万ドルを調達した。そのクラウドベースのウェブフィルタリングシステムのサポート範囲を、米国内そして全世界の似たような規制のあるK-12スクール(小学校から高校までに相当)に広げることが目的である。

SecurlyのCEO兼創業者のVinay Mahadikによれば、同社は、学校と両親に「子供のためのプラグアンドプレイセキュリティ」を提供することを目指している。

同社は、新しく調達した資金の一部を、子供たちが他の子供を傷つけようとしたり、自傷行為に及ぼうとしたり、または自殺を仄めかしたりしている場合を検知した際に、テキストメッセージ(ショートメール)を介して両親に警告を送るツールの構築に投資する計画だ。

同社は自然言語処理、感情学習、その他の機械学習技術を使って、子供たちが深刻なトピックを調べているのか、それとも本当に有害な行為に及ぼうとしているのかの違いを判断する。

Securlyは両親に対して、自分の子供たちがどのように学校でインターネットを利用しているのかを、メールを介して広範で詳細なアウトラインとしてレポートを提供するサービスを既に開始している。まもなく、同社は親たちが能動的に彼らの子供たちのデジタル習慣についての情報を得ることができるポータルやアプリを提供する、とMahadikは述べた。

より幼い子の場合には、より詳細なインターネット利用の情報を、親は入手することができる。子供たち自身がプライバシーを理解し欲するようになる、10から12歳といった年齢に達した際には、Securlyは、特定のゲーム、アプリ、検索、そして個々の子供が訪問したサイトといったものよりも、全体の広い傾向についてのレポートを提供する。

現在同社は学区に対して直接そのソフトウェアを販売している。Securlyをインストールするには、IT管理者は、スタートアップから特別なIPアドレスを入手する必要がある、それは学校のDNSサーバーに登録され、15分以内にはその学区の学校はウェブフィルターによって保護されるようになる。

教育に焦点を当てるベンチャー企業Owl Venturesが、SecurlyのラウンドAを主導した。

Owl VenturesのAmit A. Patelは、生徒たちのレベルに応じて、学校が独自に何が適切かのポリシーを設定することができる手段を提供しているSecurlyのことを称賛した。幼稚園児と中学生ではオンラインで見るものの安全性に大きな違いがある、と彼は指摘した。

そしてPateは、OwlがSecurlyを支援する理由は、米国内の教育マーケットだけでも巨大な可能性があること、のみならず国際的にも成功する可能性があり、一般消費者向けのプロダクトとしても使えることだ、と語った。

「米国内および世界各地の学校は、彼らの教育により多くの技術を取り込み始めたところです、これは普遍的に必要になると考えています。この会社(Securly)は、世界中の学生を支援することができて、それを上手くいかせるために、繰り返さなければならないカリキュラムを必要としないのです」と彼は指摘した。

投資家は、Securelyが新たに得た資金を使って、インターネット接続機器へのペアレンタル・コントロールを備えた、同社アプリの家庭版を開発することを期待している。そして、そのプロダクトを米国中の学校に普及させる努力を継続することも。

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(翻訳:Sako)