ケンブリッジのElemental Machinesは、ウェットラボのソフトウェアシミュレーターを作っていて、とくに、新薬開発など薬の研究開発をデータによって行うことにより、その時間と費用を低減することをねらっている。
同社は、ラボで得られたデータで、シミュレーションにおける実験の再現性を改良することを目指しており、その新しい考え方に目をつけた投資家のFounders Fundは、同社に250万ドルのシード資金を提供した。
Founders Fundは、SpaceXや、Lyftの車の相乗りサービス、寿命延伸の研究など、未来をラジカルに変える可能性のあるアイデアに、よく投資をする。
Elemental Machinesの場合は、データをクラウドベースのソフトウェアプラットホームに適用することにより、ウェットラボの実験や研究を効率化して、新薬や治療法の改善方法の発見をスピードアップ〜短時間化する。研究者たちは、それらのデータが集められたコンテキストを十分に理解しながら、研究結果を解釈できる。
Elemental MachinesのCEO Sridhar Iyengarは、そういうデータ分析をベースとする実験や研究のことを、ラボにX線撮像装置があるようなものだ、と言う。“われわれは、テクノロジーを、これまでの世界から別の世界へ持ち込もうとしている。われわれは科学者たちに、さまざまな重要データを集めて視覚化するための容易で強力な方法を提供する。これまでのラボや、とくにラボのデバッグでは、データの積極的な利用ということは、まったく考えられていなかった。”、と彼は語る。
同社のやり方は、ラボのコストも大幅に削減する。Deloitteのデータによると、生命科学のグローバルな研究開発に投じられる金額は、これまでのやり方を前提として推計すると2020年には1630億ドルに達する。しかし、実験とその結果を…データを利用して…正しく複製するやり方があれば、そのR&Dが必要とする費用は長期的には大幅に削減されうる。
ラボといっても非常にさまざまだから、一概にコスト削減を言うのは大雑把すぎるが、Iyengarが挙げる同社の顧客の例では、同社のソフトウェアとそれによるデータ分析により、研究に要する期間を大幅に減らすことに成功している。
Elemental Machinesのチームには、ウェアラブルの研究開発やデータ分析の履歴と実績を持つ科学者たちがいる。彼らはこれまでウェアラブルのMisfitを作ってそれを最近Fossilに売り、その後消費者対象のヘルステク企業AgaMatrixを作り、そのあと、ウェットラボに焦点を定めた。
同社の考え方は、同じくFounders Fundが投資しているEmerald Lab Therapeuticsに似ている。Emeraldはクラウド上でオーダーメイドのデータ分析を提供しているSaaS企業だ。Iyengarの考えでは、両社は競合するというよりむしろ共生的であり、とくにElemental MachinesはSeimensやGEのような大企業から、大規模データ処理の市場を奪おうとしている。
同社は1年近く前にひそかにローンチし、今ではLab Centralなど約30社を顧客にしている。
このラウンドに参加したそのほかの投資家は、Max Levchin, Project 11 Ventures, 2M Companies, そしてRock Healthだ。