手首に着けて音楽を奏でるウェアラブル「テルミン」のMicticが約2.8億円調達

中国Mooer Audioがエフェクト・ドラムマシン・ルーパー内蔵のエレキギターを開発中

スイスを拠点とするMicticが、何もないところをコンサートホールにする2個1組のウェアラブルデバイスを開発した。本体のないテルミンで、スマートなループステーションと接続されていると想像すれば、だいたい合っている。デモと説明文からすると、CESで長い1日を過ごした後にバーで感想をしゃべって、その後はも話を聞くこともなくなってしまうスタートアップのようだ。しかしMicticはギミックの域を超え、PTK Capitalが主導したシードラウンドで250万ドル(約2億8000万円)を調達した。さらに音楽界の大スターであるMoby(モービー)氏も資本政策に加わっている。

Micticのデバイスは2個1組のリストバンドで、動きを計測するセンサーが付属している。これをスマートフォンに接続すると、アプリの力を借りて音楽のスキルがまったくない初心者も演奏を存分に楽しむことができる。発売時には、さまざまなスタイルやジャンルにわたる15種類のサウンドやサウンドスケープがアプリに内蔵されている。

Micticの創業にはちょっと珍しい話がある。それは、バドミントンから始まった。創業者たちはテニスをしに行ったのだが雨でできなくなり、代わりに室内でできるバドミントンになったのだ。彼らは盛り上がらないゲームについて聴覚の楽しみという観点から話をした。そしてバドミントンのシャトルを打つ音の1つ1つを迫力のある爆発音などの効果音に変えるプロダクトをハックした。そこから彼らはサウンドスケープをさらに追加し、インターフェイスを変え、ついにフル装備の楽器を作り上げた。

あらかじめ用意されているサウンドスケープだけでなく、きちんとした楽器としてのプロダクトの可能性に創業者たちは心をかきたてられている。

同社CTOのMatthias Frey(マティアス・フライ)氏は次のように述べている。「Abletonと接続し、MicticをMIDIコントローラと同じように使うことができます。我々は、ユーザーにこのプロダクトの新しい使い方を見つけて欲しいと思っています。プラットフォームビジネスをまもなく拡大する計画もあります。プロダクトの販売を開始した後、次のステップの1つとしてユーザーがオリジナルのサウンドスケープを簡単に作れるようにします」。

資金を調達して同社はこれから成長し、市場でプロダクトをテストする。同社のメンバーは現在10人で、さらに増やしたいと考えている。

MicticのCEOであるMershad Javan(マーシャド・ジャワン)氏は「我々はしばらくブートストラップでやっていかなくてはならなかったのですが、その後、今回の資金調達ラウンドを実施しました。次のステップはプロダクトを少しでも早く市場に出すことです。我々はプロダクトに自信があり、ユーザーの使い方を知るのを楽しみにしています」と述べている。同氏は250万ドル(約2億8000万円)では夢をすべて叶えるには足りないことを認めた。「十分な金額ではありませんが、我々にとってはプロダクトをお客様に届け、できればそこから生産を増やしていくことが課題です。重要なデータとビジネスのインサイトを実際に得ることができれば、さらに成長し、おそらく次の資金調達ラウンドもすぐに実施できるでしょう」(同氏)

Micticはプレス用の資料でモービー氏が同社の資金政策に加わっていることを大きく取り上げ、コラボレーションやアドバイザーとしての可能性に期待している。ただしモービー氏は今回のラウンドでは大きな投資をしたわけではなく、250万ドル(約2億8000万円)の1割未満であることも同社は認めている。モービー氏はMicticに直接投資しているだけでなく、Micticのラウンドを主導したベンチャーファーム、PTK Capitalのリミテッド・パートナー(つまり投資家)でもある。

Micticはすでに予約注文を開始しており、奇妙で楽しい楽器が119ドル(約1万3000円)で手に入る。12月ごろには出荷を開始する見込みだ。

画像クレジット:Mictic

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Kaori Koyama)

電子楽器テルミン誕生100周年を記念してモーグから史上最も美しいモデル「Claravox Centennial」登場

ロシアのLeon Theremin(レフ・テルミン)氏が、自身の名を冠した電子楽器を作ってから1世紀が過ぎた。Moog(モーグ)はこれを記念して史上最も美しい(おそらく最も良い音)に違いないテルミン、Claravox Centennial(クラヴォックス・センテニアル)を発売する。

ウォールナットのキャビネットに真鍮製のアンテナ、散りばめられた完璧なツマミとダイヤル。Claravoxが戦前のレコーディングスタジオから飛び出してきたように見えるのは、まさしく意図された通りだ。

名前は1930年代にテルミンを演奏して広く称賛(とおそらく困惑)を呼び、この楽器とそのデザインの名声に著しく貢献したソビエトの音楽家、Clara Rockmore(クララ・ロックモア)氏にちなんでいる。

しかし彼女が演奏した楽器は、電子楽器の先駆者Bob Moog(ボブ・モーグ)氏が製作したいくつもの作品と比べるとほんのおもちゃだった。モーグ氏は1949年に雑誌に掲載された設計図を元に最初のテルミンを自作した。その後、彼は改良を重ね万能かつ特徴的なテルミンを作り、Moog独自のシンセサイザーとともに、多くのジャンルでなくてはならない存在になった。

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このClaravoxは装飾品として作られたわけではない。現代技術と伝統的技術を満載した究極のテルミンだ。カスタマイズして、アナログとデジタルの発振器も切り替えられる。波形回路はEtherwave Proのものを使用。内蔵の遅延装置とプリセットストレージもある。入力と出力には、さまざまな音源とコントローラーを使用できる。別売で専用のスタンドまで用意されている。

その操作方法は、テルミンが常にそうであったとおりのものだ。2つのアンテナが電場の範囲内にある人間の手(または他の物体)の位置を検知し、一方は音階を他方は音量を制御する。この楽器を演奏することは、音楽のパフォーマンスそのものであり、Debussy(ドビュッシー)の「Clair de Lune(月の光)」のすばらしい演奏を見ての通りだ。

興味のある(かつ財布に余裕のある)テルミン愛好家は、 Claravox Centennialを米国時間10月22日から1499ドル(約15万7000円)で予約できる。出荷予定は12月、ホリデーシーズンにシンセ好きな特別な人を驚かせたい人にはぴったりのタイミングだ。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:Moogテルミン

画像クレジット:Moog

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook