⽉間100万⼈が利⽤する就活クチコミサイト「ONE CAREER」を手がけるワンキャリアは10月23日、ユーザベースグループのUB Ventures、PKSHA SPARXアルゴリズム1号、ヘイ代表取締役社⻑の佐藤裕介⽒、ニューピース代表取締役CEOの⾼⽊新平⽒、およびその他個⼈投資家らが資本参加したことを明らかにした。
ワンキャリアにとって外部資本を入れるのは初めてのことで、調達額については非公開。今回の資本参加を通じて各事業会社と事業面での提携を強化し「データとテクノロジーでHRマーケットを変⾰する」取り組みを進めていく。
ONE CAREERは各企業ごとの会社概要や選考情報、就活に関するハウツーコンテンツに加えて、ユーザーによる企業ごとのクチコミやESなどを集約した複合的な就活サービスだ。
これまでのHRマーケットでは基本的に企業側が一方的に情報を提供する構造になっていたが、同サービスでは「実際に選考を受けた学生のクチコミを集めたCGM」というアプローチで情報の非対称性を解消する取り組みを進めてきた。
もちろん以前から「みん就」を始め就活に関するクチコミサイトや掲示板サービスは存在していたし、僕自身も就活生時代に使った記憶がある。ただこれらのサービスは参考になる情報も多い一方で、ゴシップ的な投稿や成否が判断できないような投稿も一定数含まれているのも事実だ。
ONE CAREERでは投稿されたコンテンツを検閲する仕組み(システム側でNGワードを設定、個人情報が記載されている際のアラート、事実に基づかない明らかな中傷コメントの削除など)を通じて、正しい情報が提供されるサービスを目指してきたという。
そうして蓄積された生の声や体験談を軸に企業ごとのスケジュールや選考対策情報、オリジナルの就活関連コンテンツなどを1つのサービス上にまとめることで、就活生が効率よく情報収集できる基盤を構築。就活生にとっては実際に社員に会ったり、インターンに参加したりすることに多くの時間を使えるのが大きなメリットで、この点が支持されユーザーの拡大に繋がっているそうだ。
結果的に現在では東⼤/京⼤就活⽣の9割以上、早慶MARCH就活⽣の7割以上が利⽤し、⽉間利⽤者数100万⼈のアクセスが集まるメディアに成長した。ワンキャリアでは企業側に対してコンサルティングも行なっているが、時価総額ランキングTOP100企業のうち70%が顧客になっているという。
現在同サービスには4万社以上の企業情報や14万件以上の先輩の通過ES/選考体験談/志望動機といった情報、10万件を超える企業説明会やインターンシップのクチコミといったデータが蓄積。今後はこれらのデータとテクノロジーを活用した取り組みをさらに強化していく計画だ。
ワンキャリア代表取締役の宮下尚之氏に確認したところ、まずは年明けに企業の採用課題にアプローチするSaaSの提供を予定しているそう。大枠としては、蓄積してきたデータを基に学生の動向や他社の採用手法・状況、学生からの自社の評価などを把握できるプロダクトになるようだ。
その他、中長期的にはONE CAREER上で学生に対してマッチング度の高い企業をレコメンドしていくような方向性もありえるということだった。
今回タッグを組むユーザベースやPKSHA SPARXアルゴリズム1号(PKSHA Technologyの子会社とスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントが運営)とは具体的な取り組みこそまだ未定とのことだが、当然膨大なデータやコンテンツを効果的に活かしていくことを見据えた上での提携だろう。
ワンキャリアでは調達先とも連携しながら「学⽣と企業の採⽤における意思決定を⽀援するデータプラットフォームの構築」を⽬指していくとしている。