「授業向けInstagram」のSeesawは、既に米国の学校の半数で使われている

子供たちは、誰かが見てくれていると思っていない限り、最大限の努力はしないものだ。人の多すぎる教室や、相手をしてくれない両親の下では、子供たちは学校の課題に力を注ぐことを無意味に感じることがある。しかし、 Seesawのアプリは、子供たちの学習課題を、教師、友達、お母さん、お父さんと共有できるソーシャルメディアに変えてくれる。アプリは今では全国の学校で導入が進んでおり、LinkedInのCEOであるJeff Weinerや、その他の人たちから、シリーズAラウンドで資金調達を行ったばかりだ。

Seesawでは、自撮り写真にいいね!を集めたりコメントを受け取る代わりに、生徒たちには、クイズや、お絵描き、そして理科プロジェクトに対する積極的な強化が行われる。教師のためには、Seesawは拡張された目として機能し、教室の管理に集中する手助けをする。そして、後から生徒たちがタスクを行う様子や、設問を解く様子を録画を通して見ることができる。

子供たちに授業中の作業に集中させ、教師たちに生徒たちの成果だけではなく途中経過を見ることも可能にすることで、Seesawは静かに、小学生にとって最も人気のある学習ツールの1つになっている。現在、米国の全学校の半数にSeesawを利用している教師がいる、 2016年6月にこの教育スタートアップについて取り上げたときには、まだ4分の1に過ぎなかった。現在、何百万人もの生徒たちが150カ国で、毎月Seesawを使用している。そして、スタートアップが提供するプレミアムバージョンのSeesawに、お金を払う学校や学区は1000を超えている。

「ほとんどの小学校で使われているプロダクトは、高校用プロダクトの省機能版です」と共同創業者のCarl Sjogreenは語る。Seesawのデザインは、大きくてわかりやすいボタンや、ほとんどの子供たちが既に遊ぶことに慣れているカメラ機能を使うことが特長だ。これにより、クリエイティブなプロジェクトの割り当てが容易になり、デジタルプレゼンテーションのおかげで、より多くのやりがいを感じることができる。子供たちは、自分たちの行った課題に慌ただしく点を付けられたあと、そのままゴミ箱行きになるような感覚を感じなくても良い。「従来の教室の多くは、子供たちにワークシートを通して自分自身を表現させてきました。何かを創造するために、ワークシート上の空白を埋めること以上に、型にハマったやり方を想像できますか?」。

Seesawは、Adrian Grahamと、自身の立ち上げた旅行スタートアップのNextStopをFacebookに売却し、Facebookのプロダクト管理ディレクターも勤めたCarl Sjogreenによって共同創業された。Sjogreenは写真スライドショーにアフレコを行う手段を提供する、Shadow Puppetというソーシャルアプリを2013年に開始した。これはSnapchat Storiesが立ち上がる遥か以前に登場した、クールなアイデアである、GreylockのDiscoverファンドから資金調達も行った。

Shadow Puppetは、消費者向けにはあまり受け入れられなかったが、これをクラスでのプロジェクトの発表に愛用する、教師や生徒たちもいた。9ヶ月のうちに、彼はShadow Puppetの方向転換を行い、2015年にはSeesawを立ち上げた。今ではLinkedInのCEO、元DFJパートナーのBubba Murarka、そしてReach CapitalのWayee Chuを含む投資家たちからのシリーズAの資金を、金額は不明ながら受けている。この資金のうちの一部は、Instagramの競争相手VSCOの元CTOであるMike Wuを、SeesawのエンジニアリングVPとして雇用するために使われた。

生徒たちのためのソーシャルメディア

Seesawは、iOS、Android、Kindle、Chromebook、そしてウェブアプリを提供し、子供たちが写真、ビデオ、絵、メモ、リンク、ファイル、ブログを共有し、自分の作品を説明するナレーションを録音することができる。生徒たちはまず教師のところへ行って、自分たちのコンテンツが、他の生徒たちに見せても良いような安全なものかどうかの許可を得る必要がある。教師は作品を評価したり、生徒たちにフィードバックを送ったり、クラス、生徒、トピックごとに整理を行うことができる。特殊教育の生徒たちは、特に、書くことやビデオではなく、話すことや絵を描くことで彼らの強みを活かして課題に取り組むことのできる、マルチメディアオプションの恩恵を受けている。

また親たちは、子供に家に持ち帰る宿題がなかったときでも、子供が何をしたかを知ることができる。Sjogreenは次のように言う。「素敵な瞬間は『リリー、今日学校はどうだったの?』『まあまあ』『何したの?』『別に』というやりとりをする代わりに、もっと豊かな会話に飛び込むことができるときです。『あなたの作ったこれについて教えてくれない?』という具合に」。

生徒や保護者たち向けのSeesawは無料で、教師も最初は無料で始めることができる。しかし、学校や学区が、Seesawと学生データベースと採点システムを同期させ、管理、分析、より多くの採点機能の集中化を図りたいと考えるなら、支払いを行うことになる。その場合は、年間に生徒1人当たり5ドルを支払うことになる。Seesawの1000件の有料クライアントには、100人規模の子供がいる学校や、数十万人規模の生徒を抱える学区が含まれている。それによってスタートアップの収益は、前年比3倍となった。

教室で子供たちにこれ以上「ソーシャルメディア」を与えることには、いくつかの懸念がある。私は、もし子供が他の子供の作品に、意地悪なコメントを残すとどうなるかと尋ねてみた。Sjogreenの答は、コメントは教師の承認を経なければならないので、子供がインターネット上で行動する方法を理解するための、学習機会を生み出すことができるというものだった。

また、子供たちが教室でよりデバイスを使うようになると、さらに気が散ってしまうのではないかという懸念もある。ほとんどの生徒たちは、限られたアプリや接続性だけを備えた、学校提供のタブレットでSeesawを使用しているため、勉強と遊びを混同することはない。

スタートアップたちにとって、学校への売り込みは非常に厳しいものだ。幸運なことに、Seesawの採用したDropboxスタイルのボトムアップ配布戦略は、学校がSeesawを自分のシステムに取り込みたいと感じさせるまで、プロダクトを教師に無償提供し続けることができる。それでも、アプリはより高学年の生徒たちにフォーカスし、より幅広い採点プションを提供する、FreshGradeような競合製品と競争しなければならない。

子供たちを、特に日中は、可能な限りソーシャルメディアから遠ざけておくことを希望する教師や親たちもいる。しかし、魅力的なデジタルコンテンツを創作するスキルが、様々な仕事(マーケティング資料の作成、プロダクトデザイン、もしくは単にPowerPointプレゼンテーションを行うとしても)に対して重要であるという事実から、目をそらすことはできない。教師からの強力な監督の下で、こうした体験に子供たちが触れやすくすることで、子供たちは有利なスタートを切ることができる。そして子供たちは創造性と知性が高く評価されていると感じることによって、学問の世界が提供する全ての機会に対して関心を持ち続けることだろう。

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(翻訳:sako)

学生エンゲージメント管理ソフトのCheck I’m Hereが100万ドルを調達

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Check I’m Hereは、カレッジや大学が、キャンパス活動に対する学生の関わり(エンゲージメント)を追跡することを助けるプラットフォームだ。そのCheck I’m Hereがそのサービスの成長を継続するために、シリーズAファンディングで100万ドルを調達した。現時点で30の州、3つの国にまたがった80教育機関の40万人の学生が利用している。Check I’m Hereの優れた点は、単にあるキャンパスアクティビティに何人学生が参加したかのデータを集めるだけでなく、大学やカレッジがそのデータを将来より多くの学生を呼び込んだり、学校への残留者を増やしたりするために活用する手助けをすることである。

教育機関はこれまでずっと、リーダーシップセミナー、学生のクラブあるいは組織活動のイベント、コンサートといった課外活動に対する学生の出席状況を追いかけていた、なぜならそうした学生の関わりは学校へ残留する割合 ‐ つまり卒業まで留まる割合 ‐ と深く関係しているからだ。

header-phone収集したデータを利用して、学校はどのイベントが残留率を上げるのかを、そしてどの学生がそうしたイベントに参加しなかったのかを知ることができる。そしてそうしたイベントの「マーケティング」や「宣伝」の仕方をそれに従って変えていくことができるのだ。

また学校側は、ドロップアウトした学生が参加したイベントといったものを知ることもでき、そして高い残留率に紐付けられたイベントへの案内を、どのような経緯でドロップアウトした学生に届け損なったのかを知ることもできる。

Check I’m Hereプラットフォームは、教育機関が役立てることのできる様々なツールを提供している、学生がイベントにやってきたときにIDをスワイプするための小さなデバイス;デジタル同意書;ビルトインされたイベントマネジメントシステム(Eventbriteに類似);イベントとその詳細へのユーザーアクセスの作成、承認、そしてカスタマイズ;イベントの効率と学生1人あたりのコストを追跡する予算ツール;ウェブ、モバイル、ソーシャルメディア、そしてオフラインを横断して学生との関わりを実現するマーケティングツール;コミュニケーションと文書共有ツール;カスタムレポート;などなど。

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ほとんどの学校は、既に学生イベントのために確保されている予算を使ってCheck I’m Hereへの支払いを行っている。(授業料には、これに資金を回すための「アクティビティとサービス」料金が含まれていることが多い)。

あるケースでは、学校が、計数カウンターとスプレッドシートを使った、より手作業の多いイベントマネジメントとトラッキングからのアップグレードを行っている。また別のケースでは、学校が他のライバルシステム、例えばCampus LabsあるいはOrgsyncといったものからの移行を行うこともある。

興味深いのは、沢山の学校がCampus LabsあるいはOrgsyncをとても好んでいるように見えるにも関わらず、いまや両社ともLeeds Equity Partners買収されて、統合されつつあるということだ。統合の結果、生まれる新しいプロダクトを好きになれない学校が、Check I’m Hereに切り替える余地が生まれることになるかもしれない。

「主要な教育機関は、これまで何年も重厚長大なマネジメントシステムを使ってきています」と語るのは創業者でCEOのReuben Pressmanだ。「しかし、米国の4500以上の高等教育機関の大半は、まだこうしたエンゲージメントソフトを試したことがありません。彼らのニーズに合った既存のソリューションがなければ、どの教育機関にとっても重要な機能に対して、彼らは不利な立場になってしまうのです」。

「私たちはエンゲージメントプラットフォームへ賭けています」と彼は私たちに説明した。「(競合相手は)私たちがやっているようなデータトラッキングをしていません」とPressmanは付け加えた。

今日、Check I’m Hereは、7万人の学生を擁する大きな学校から、小さなプライベートカレッジまで、幅広い範囲の教育機関と提携している。四半期毎に顧客が25パーセントずつ増えていて、その継続率は98パーセントに及ぶ、とPressmanは語った。

フロリダ州タンパに拠点を置く、Check I’m HereのシリーズAは、Tampa Bay LightningのオーナーであるJeffrey VinikRonald Schlosser(McGraw-Hill Educationの元エグゼクティブチェアマン)、そして500 Mobile Collectiveを含むエンジェル投資家たちによって支援されている。

新しい資金は、雇用を含む、継続的な成長に向かって行くために使用される。現在15人のチームは、年末までにセールスとマーケティングに半ダースほどのスタッフ増強を計画している。

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(翻訳:Sako)