われわれが今日のコンピュータと対話する際には、マウスを動かし、トラックパッドを撫でて、画面をタップする。しかし、マシンがそうした操作にうまく反応しないこともよくある。人間がどこを見ているのかセンスするのはどうだろう? その微妙なジェスチャーによって、ユーザーが何を考えているのかを伝えるのだ。
Asteroidは、将来のインターフェースが、生体を直接センスしたデータをはるかに多く取り込むことになる、という考えを提唱して、デベロッパーの期待を集めている。そのチームは、macOSおよびiOS用のノードベースのヒューマン・マシンインターフェースエンジンを開発した。それにより、デベロッパーはインタラクションを定義して、Swiftアプリケーションにインポートできるようになる。
「新しいヒューマン・マシン・インターフェース技術について興味深いのは、ユーザーが今日『ダウンロード』できるのと同じくらい『アップロード』できるようになるかもしれないという希望です」とAsteroidの創設者Saku PanditharatneはMediumへの投稿に書いている。
その開発環境に注目を集めるために、彼らはクラウドファンディングのキャンペーンを始めた。それにより、今日市販されているバイオセンサーによって可能となるユーザー体験の深さを確認するための材料を提供する。Asteroidは、ハードウェアのスタートアップになりたいとはまったく思っていないが、インタラクション設計の即戦力となるツールにはどのようなものがあるのかを、そのキャンペーンによってデベロッパーに広く示すことができる。
こんな開発キット、そんな開発キット、そしてあんな開発キットもある。トータルパッケージを求めて参加した開発者は、山ほどの電子部品やケースといったハードウェア素材を受け取る。それらを工夫して組み合わせ、インターフェースのソリューションを開発するのだ。450ドルのキットには、視線追跡、脳・コンピュータインターフェースのための電極、そしてモーションコントローラを組み立てるための電子部品などが含まれている。参加者は、200ドルの視線追跡キットを単独で購入することもできる。それはすべて完全に実用本位のもので、Asteroidがハードウェアを売って大儲けできるというわけではまったくない。
「長期的な目標は、できるだけ多くのARハードウェアをサポートすることです。独自のキットを作成したのは、実験室の外には適切なものが豊富にあるとは考えていないからです」と、PanditharatneはTechCrunchに語った。
これらのマニアックなハードウェアを見ると、当分はなんだか趣味の仕事のように思われるかもしれない。しかし、いくつかのAR/VRデバイスには、視線追跡機能が組み込まれていて、ほとんどの市販のVRデバイスより1世代進んでいる。それに、脳・コンピュータインターフェースシステムが組み込まれたハードウェアなど、他ではほとんど見ることはないだろう。Asteroidは、スマートフォンのカメラとマイクだけでも、彼らのエンジンは十分に機能すると言っている。とはいえ、開発キットがそれなりによく売れているのは、多くのデベロッパーが特定のハードウェアを対象に開発しているわけではないということを示している。人間が世界に対処している方法とよく絡み合うように、インターフェースがもっと成長することに期待して、実験を続けているのだ。
Panditharatneは、この会社を設立する前は、OculusとAndreessen Horowitzに勤めていた経験を持つ。そこで彼女は、ARとVRの将来に焦点を合わせて、多くの時間をつぎ込んでいた。 Panditharatneは、Asteroidは200万ドル以上の資金を調達した、と語ったが、まだその資金の出所を詳細には明らかにしていない。
同社は、彼らが始めたIndiegogoキャンペーンから2万ドルを集めることを目指しているというものの、その真の目的は明らかに売り込みであり、自社のヒューマン・マシンインタラクションのエンジンを多くの人に知ってもらうためのものだろう。Asteroidは、その製品の順番待ちリストに加わるためのサインアップを、サイト上で受け付けている。
画像クレジット:Bernhard Lang
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(翻訳:Fumihiko Shibata)