NASA探査機OSIRIX-RExが小惑星ベンヌで接近軌道の宇宙新記録を達成

宇宙のニュースが好きな人なら、Bennu(ベンヌ)という名前を聞いたことがあるだろう。それは、今から200年後ぐらいにわれわれの惑星に衝突するかもしれないと言われている地球近傍小惑星だ。衝突の確率は低いが、他の多くの小惑星よりは高い。この小惑星が注目される理由はいろいろあり、特に最近の発見では「アクティブである」と言われる。自分の軌道上をコンスタントに進みながら埃を噴出し、まわりの空間にばらまいているのだ。

その発見に促されてNASAは、宇宙を旅する岩を周回する探査機OSIRIS-REx距離を小さくする(小惑星により接近する)ことになった。探査機は昨年、観察のためにベンヌに到着したが、それはいくつかの既知の地球近傍小惑星の中から、調査ミッションに最適として選ばれたからだ。

OSIRIS-REx探査機は現在、ベンヌの質量中心の3000フィート(915m)上空にいるが、この距離は地球上空の平均的軍用攻撃ヘリの巡航高度よりも低い。NASAの親切な画像が、そのことを示している(訳注:図中の探査機の高度はBフェーズ更新後のそれと思われる)。

NASAは、今回の新しい(低い)軌道のことを「Orbital Bフェーズ」(B軌道段階)と呼んでいる。それはベンヌに限らず記録的な低さで、太陽系内の地球外天体への接近軌道としてはこれまででもっとも近い。8月半ばまでこの軌道にとどまり、今後数週間は小惑星表面の定期的写真撮影を行う。上で述べた、埃の噴出とばらまきを調べるためだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

日本の「はやぶさ2」が小惑星を銃撃して穴を掘る

打ち上げあり、テストあり軌道確保ありで忙しかった4月4日の宇宙に、今度は宇宙銃で小惑星を撃ってクレーターを作り、その中を調べるという遠隔探査が始まる。それをやってのける日本の探査機「はやぶさ2」は、「りゅうぐう」と呼ばれるオブジェクトからの標本回収という野心的なミッションに挑み、今のところ立派に成功している。

2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」は、「りゅうぐう」の近傍に数カ月いて、一連の調査を行った。4基の小さな着陸装置があり、2つが昨年投下されて、その小惑星の上で楽しげに遊んでいる〔マーカーのことか?〕。

2月には本体が表面にタッチダウンして、大量の埃を舞い上がらせたが、衝突装置(SCI、Small Carry-on Impactor)がその小さな手荷物であるインパクター(衝突体)を秒速2キロメートルで撃ちこむというアナログなクライマックスはまだこれからだ。下のビデオは、地球上の実験で「りゅうぐう」に似た物質を銃撃したテストだ。

重力がとても小さい小惑星に、何が起きるだろうか。埃や岩石の小片が舞い上がるだろう。着陸したロボットたちはずっと離れたところにいるから、デブリのシャワーを浴びることはない。

その後、正確に言うと数週間後に、着陸装置と「はやぶさ2」本体は、新しいクレーターと埃や、銃撃で露出した岩石の層を調べる。標本を採取した船体は、今年後半に帰還する。

このクレーター生成オペレーションは米国時間4月4日夜、 日本時間4月5日午前中に行われる。画像はすぐに送られて来るだろう。チームはすでに、「りゅうぐう」の素晴らしい画像を大量にポストしている。その中には、子どもたちが描いた絵もある。太平洋時間4日午後6時には、下のビデオで実況放送も始まる。

この宇宙船が今何をしているか、いつ何どきでも知りたいという好奇心旺盛な人は、このHaya2NOWWebアプリケーションをチェックするとよい。このページは、受信したデータを直ちに視覚化して見せている。とっても便利なサイトだね!

画像クレジット: JAXA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AsteroidはAR開発のためのインターフェースエンジンを開発中

われわれが今日のコンピュータと対話する際には、マウスを動かし、トラックパッドを撫でて、画面をタップする。しかし、マシンがそうした操作にうまく反応しないこともよくある。人間がどこを見ているのかセンスするのはどうだろう? その微妙なジェスチャーによって、ユーザーが何を考えているのかを伝えるのだ。

Asteroidは、将来のインターフェースが、生体を直接センスしたデータをはるかに多く取り込むことになる、という考えを提唱して、デベロッパーの期待を集めている。そのチームは、macOSおよびiOS用のノードベースのヒューマン・マシンインターフェースエンジンを開発した。それにより、デベロッパーはインタラクションを定義して、Swiftアプリケーションにインポートできるようになる。

「新しいヒューマン・マシン・インターフェース技術について興味深いのは、ユーザーが今日『ダウンロード』できるのと同じくらい『アップロード』できるようになるかもしれないという希望です」とAsteroidの創設者Saku PanditharatneはMediumへの投稿に書いている。

その開発環境に注目を集めるために、彼らはクラウドファンディングのキャンペーンを始めた。それにより、今日市販されているバイオセンサーによって可能となるユーザー体験の深さを確認するための材料を提供する。Asteroidは、ハードウェアのスタートアップになりたいとはまったく思っていないが、インタラクション設計の即戦力となるツールにはどのようなものがあるのかを、そのキャンペーンによってデベロッパーに広く示すことができる。

こんな開発キット、そんな開発キット、そしてあんな開発キットもある。トータルパッケージを求めて参加した開発者は、山ほどの電子部品やケースといったハードウェア素材を受け取る。それらを工夫して組み合わせ、インターフェースのソリューションを開発するのだ。450ドルのキットには、視線追跡、脳・コンピュータインターフェースのための電極、そしてモーションコントローラを組み立てるための電子部品などが含まれている。参加者は、200ドルの視線追跡キットを単独で購入することもできる。それはすべて完全に実用本位のもので、Asteroidがハードウェアを売って大儲けできるというわけではまったくない。

「長期的な目標は、できるだけ多くのARハードウェアをサポートすることです。独自のキットを作成したのは、実験室の外には適切なものが豊富にあるとは考えていないからです」と、PanditharatneはTechCrunchに語った。

これらのマニアックなハードウェアを見ると、当分はなんだか趣味の仕事のように思われるかもしれない。しかし、いくつかのAR/VRデバイスには、視線追跡機能が組み込まれていて、ほとんどの市販のVRデバイスより1世代進んでいる。それに、脳・コンピュータインターフェースシステムが組み込まれたハードウェアなど、他ではほとんど見ることはないだろう。Asteroidは、スマートフォンのカメラとマイクだけでも、彼らのエンジンは十分に機能すると言っている。とはいえ、開発キットがそれなりによく売れているのは、多くのデベロッパーが特定のハードウェアを対象に開発しているわけではないということを示している。人間が世界に対処している方法とよく絡み合うように、インターフェースがもっと成長することに期待して、実験を続けているのだ。

Panditharatneは、この会社を設立する前は、OculusとAndreessen Horowitzに勤めていた経験を持つ。そこで彼女は、ARとVRの将来に焦点を合わせて、多くの時間をつぎ込んでいた。 Panditharatneは、Asteroidは200万ドル以上の資金を調達した、と語ったが、まだその資金の出所を詳細には明らかにしていない。

同社は、彼らが始めたIndiegogoキャンペーンから2万ドルを集めることを目指しているというものの、その真の目的は明らかに売り込みであり、自社のヒューマン・マシンインタラクションのエンジンを多くの人に知ってもらうためのものだろう。Asteroidは、その製品の順番待ちリストに加わるためのサインアップを、サイト上で受け付けている。

画像クレジット:Bernhard Lang

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

日本のHayabusa 2ミッション、遙かなる小惑星の地表に到達

これまで聞いたことのない最高にクールなミッションが大きな節目を迎えた。日本の小惑星探査機Hayabusa 2が目的地のRyuguに到達し、小惑星表面に探査ロボット2台を送り込んだ。近いうちにHayabusa 2自身も着陸し、Ryuguのサンプルを地球に持ち帰る! うそだろ? これは驚きだ!

Hayabusa 2は、ご想像の通り、同じく小惑星のサンプル採取ミッションを務めた初代Hayabusaの後継だ。つまり、一連のプロセスには前例がないわけではないが、小惑星採掘がすでに実現間近なことに驚かれた向きもあるかもしれない。

しかし、これも想像できるだろうが、この2回目のミッションは初回よりも高度だ。第1回目の余勢と教訓を得たHayabusa 2は、さらに多くの機器を備え、目的地での滞在期間もずっと長くなる予定だ。

その目的地は地球と火星の間に軌道を持つ小惑星、Ryuguだ。Ryuguは「C型小惑星」に指定されており、これは水および有機物質が相当量存在すると考えられていることを意味している。すなわち、地球外生命の可能性やこの(あるいはそれ以外の)太陽系の歴史を学ぶうえで大いに期待されているターゲットだ。

Hayabusa 2は2014年後半に打ち上げられ、その後数年をかけて慎重にこの小惑星の安定軌道に乗せられた。この夏ついに、到達した。そして今週には地表55メートル(!)まで近接し、持参した4基の着陸機のうち2基を着地させた。下の動画は着陸機が小惑星に向かって降下していく様子だ:

着陸機 “MINERVA”(トップ写真にレンダリング画像がある) は地表面をホップ(飛び跳ねる)ように作られており、重力が小さいため一回の跳躍は15分程度持続する。地表の写真を撮影し、温度を測定し、(どこであれ)着地した場所の全般的調査を行う。

アップデート:本稿執筆時点で、ローバー2基は無事着陸していたが、小惑星の裏側にいたため母船との連絡が取れなかった。現在は通信が可能になり、素晴らしい画像も送られてきた。

[この躍動感あふれる写真はRover-1Aによって9月22日の11:44 JSTに、Ryugu表面を跳躍中に撮影された。左半分がRyuguの表面で、右側の白い部分は太陽光による。]

送り込まれるのを待っているのは、もう1基のMINERVAと、新開発のMASCOTだ。MASCOTは多くの科学機器を搭載しているが移動能力は小さい。小惑星の磁気的性質をより詳細に分析し、表面上の鉱物を非侵襲的に検査する。

ビッグニュースは来年やってくる。Hayabusa 2自身が「小型のインパクタ(衝突装置)」とともに小惑星表面に着陸する。インパクタは「人工クレーターを作る」ために使用され、Ryuguの地下物質を採取する。こいつがすごい。要するにこれは巨大な弾丸であり、2キログラムの銅製円盤が爆発物の前面に装着されていて、爆発時には秒速2km、時速約7200kmで目標に向かって発射される。

試験中のHayabusa 2のインパクタ。標的を打ち抜き、試験場の反対側のがれきに衝突した。

探査機は衝撃による表面の変化を観察し、他のクレーターの起源に光を当てて表面の性質の分析に役立てるだけでなく、自身が着陸し、露出された「新鮮な」物質を採取する。

全体的にみて、これはとてつもなく興味深いミッションであり、日本のNASAにあたるJAXAが独自に築き上げた業績だ。小惑星採掘会社の連中はHayabusa 2を固唾をのんで見守っているに違いない。数年後には、彼ら自身の探査機を打ち上げるかもしれないからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook