Acompanyが秘密計算エンジンQuickMPCに線形回帰分析・ロジスティック回帰分析が可能な分析機能群PrivacyAI実装

名古屋大発スタートアップAcompanyが暗号化したままの計算処理が可能なMPC秘密計算エンジンを独自開発

秘密計算スタートアップAcompany(アカンパニー)は10月26日、秘密計算エンジン「QuickMPC」上で利用できる、秘密計算による機械学習を含めた高度な分析機能群「Privacy AI」(プライバシーエーアイ)の提供開始を発表した。これに伴い、「線形回帰分析」と「ロジスティック回帰分析」という2つの高度な分析手法が提供される。

秘密計算とは、データを暗号化したまま分析が行える暗号技術。複数の組織間で暗号化されたデータをやりとりして分析する場合でも、その都度暗号を解除する必要がないため安全が保たれる。だが、Acompanyが開発を進める秘密分散法(秘密データを複数のグループに分散し、それらを合わせることで元データが復元されるという手法)による秘密計算は、高度な専門性が必要で実装が困難だった。そのため、平均や相関など基本的な統計手法しか製品化できず、複数のデータを用いた複雑なデータ分析は難しかった。

そこでAcompanyは、Privacy AIの機能として、複雑な分析を可能にする「線形回帰分析」と「ロジスティック回帰分析」を実装した。線形回帰分析とは、複数のデータの関係性から、特定の値の変動が他の要素にどのように影響を与えるかを分析する統計手法だ。ロジスティック回帰分析とは、複数の要因から特定の結果が起こる確率を説明、予測する統計手法。これらにより、店舗の来客数と特定商品の売上げとの相関関係や、営業マンのアポイント数、残業時間、勉強会への参加の有無と営業成績との相関関係の分析などが行えるようになる。

今後は、「勾配ブースティング木」などの複雑な分析手法をPrivacy AIに加えてゆき、「プライバシー保護とデータ活用の両立」の実行可能領域を拡張させてゆくとAcompanyは話している。

Acompanyは、「データを価値に進化させる。」というミッションのもと、プライバシー情報や機密情報などの活用が難しいデータに対し秘密計算技術を軸に、プライバシー保護とデータ活用の両立を実現する名古屋大学および名古屋工業大学発スタートアップ。主に、QuickMPCの提供を軸に、プライバシー保護およびセキュリティに関するソリューションを展開している。

秘密計算エンジン「QuickMPC」を手がける名大・名工大発スタートアップAcompanyが2億円調達

秘密計算エンジン「QuickMPC」を手がける名大・名工大スタートアップAcompanyが2億円調達

秘密計算エンジン「QuickMPC」を開発するAcompany(アカンパニー)は5月14日、プレシリーズAラウンドにおいて、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リードインベスターのANRIとBeyond Next Venturesの2社、またDG Daiwa Ventures、epiST Ventures。調達した資金は、プロダクト開発、秘密計算アルゴリズムの研究開発および採用・組織体制の強化への投資を予定している。

秘密計算とは、従来の暗号手法が抱えていた欠点を克服した次世代の暗号(秘匿)技術だ。従来の暗号化手法はデータの活用時にローデータ(生データ、非暗号化データ)に戻さなければならないが、秘密計算ではデータの活用時(分析や機械学習モデルの作成といったシーン)も暗号化(秘匿)したまま安全にデータを扱うことが可能となる。

そのため、データのプライバシー保護とデータ流通の両立に期待の大きいものの、これまでのところ研究開発段階に留まっているケースが多いのが現状という。

これを受けAcompanyは、2020年10月リリースのQuickMPCとともに、国内有数の秘密計算テクノロジー企業として、デジタルマーケテイング、医療などのデータ活用時のプライバシー保護が重要である領域へ秘密計算の実用化を推進してきた。今回の資金調達は、これら取り組みを通じて期待されるニーズに応えるべく実施したものとしている。

またAcompanyは、秘密計算を中心とした、プライバシーテックに関連した情報発信およびイベント開催を行うコミュニティ「秘密計算コンソーシアム」を立ち上げ、同コミュニティメンバーの募集を開始した。応募は「『秘密計算コンソーシアム』メンバー募集ページ」より行える。

同コミュニティでは、個人情報保護法の改正を始めとしたデータ活用とプライバシー保護が相反している現状に対応すべく、法令遵守したデータ活用やプライバシー保護テクノロジーの勉強会や情報発信を行う。

Acompanyは、「データを価値に進化させる。」というミッションのもと、プライバシー情報や機密情報などの活用が難しいデータに対し秘密計算技術を軸に、プライバシー保護とデータ活用の両立を実現する名古屋大学および名古屋工業大学発スタートアップ。主に、QuickMPCの提供を軸に、プライバシー保護及びセキュリティに関するソリューションを展開している。

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名古屋大発スタートアップAcompanyが暗号化したままの計算処理が可能なMPC秘密計算エンジンを独自開発

カテゴリー:セキュリティ
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名古屋大発スタートアップAcompanyが暗号化したままの計算処理が可能なMPC秘密計算エンジンを独自開発

名古屋大発スタートアップAcompanyが暗号化したままの計算処理が可能なMPC秘密計算エンジンを独自開発

名古屋大学発スタートアップのAcompany(アカンパニー)は10月5日、秘密計算手法のひとつマルチパーティ計算(Multi-party Computation。MPC)による秘密計算エンジン「QuickMPC」を独自開発したと発表した。

今後同社は、QuickMPCを基にパートナー企業との実証実験、共同研究を推進する。QuickMPCは現在、位置情報やマーケティングデータといったユーザーのプライバシーを守る必要のあるデータの統合分析、リモートワーク環境での安全な機密データの解析業務支援などの領域での活用に取り組んでいるという。

名古屋大発スタートアップAcompanyが暗号化したままの計算処理が可能なMPC秘密計算エンジンを独自開発

秘密計算技術は、データを暗号化(秘匿化)した状態のまま機械学習や統計分析などの計算処理を行える技術で、データの保護と活用を両立が可能として近年注目されている。同技術を利用し組織を越えて暗号化したデータを提供し合うことで、ユーザーのプライバシーを含む、位置情報や顧客情報、医療情報などを秘匿化してプライバシーを保護したデータ分析に繋げるといった応用が可能となる。

MPCとは、複数サーバー間で通信しながら同じ計算を同時に行う仕組み。MPCによる秘密計算は、1980年代より研究されているものの、長らくコンピューティング能力とネットワーク通信速度に課題があり、実用化には至っていなかった。しかし、近年のクラウドコンピューティングをはじめ、ハード面と、効率の良いアルゴリズムおよびプロトコルの研究によるソフト面の両面からの向上により、実用化が進展しつつある。

一方、MPCエンジンの構築には高度な専門性とエンジニアリング能力が必要なため、実用的なMPCエンジンは世界的に見ても非常に少ない状況にある。研究目的で開発されてきたMPCエンジンが多く、実際のユースケースに合う実装を行っていく上で柔軟性やセキュリティ上の問題を抱えるといった課題が存在している。

このような状況からAcompanyでは汎用的なMPCエンジンを独自開発する構想を立ち上げ、今回QuickMPCを独自開発した。

QuickMPCによる3社間データ連携の概要イメージ

QuickMPCでは、比較的高速かつ汎用的に演算処理が可能な秘密分散方式のMPCプロトコルを採用しており、基本とされる加算と乗算の演算を高速に計算可能。これにより、実際のユースケースにマッチした分析手法を高速に計算できるという。

さらに、従来の研究目的のMPCエンジンでは、本番環境での運用を想定していないためシステムの可搬性と一貫性が実現できていなかったが、QuickMPCではコンテナ技術を採用し開発。優れた可搬性と一貫性を達成したことにより、MPCエンジンの構成をユーザーの要件に合わせて柔軟に設定可能とした。

MPCエンジンと外部とのやり取りに向けた独自SDKも開発しているため、ユーザーは簡単なインターフェースを操作するだけで、データの秘匿化・分析の実行・データの復号を実行可能。つまり、簡単に素早くデータ保護と活用を両立したデータ分析を実現できるとしている。

2018年6月創業のAcompanyは、「なめらかなデータ活用社会」を目指し「データを価値に進化させる」をミッションとする、名古屋大学発および名古屋工業大学発の認定スタートアップ企業。秘匿計算(秘密計算)技術およびブロックチェーン技術を中心にデータセキュリティの研究開発を行っている。

カテゴリー: セキュリティ
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