高齢者向けフィットネスプログラムのBoldがシードラウンドで約7.4億円を調達

コロナ禍でバーチャル健康&ウェルネスプラットフォームの人気が高まる中、ある新しいスタートアップが高齢者に特化した取り組みを始めている。デジタル健康&ウェルネスサービスのBoldは、加齢にともなう健康の問題を防ぐために、パーソナライズされたエクササイズプログラムを無料で提供する計画だ。Boldを創業したのはAmanda Rees(アマンダ・リース)氏とHari Arul(ハリ・アルル)氏で、同社は2月第1週にシリコンバレーを拠点とするAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のJulie Yoo(ジュリー・ユー)氏が主導するシードラウンドで700万ドル(約7億4000万円)を調達した。

リー氏はインタビューで、自分の祖母が転倒したりしないように介助していたときにBoldを思いついたと語った。「転倒などの問題が起きるのをただ待つのではなく、長く健康でいるにはどうすればいいかをずっと考えていました」という同氏は、ダンスとヨガを学んだ自身の経験を生かしてBoldを始め、祖母がこの先転倒することのないようバランスを維持する訓練をサポートした。「高齢者向けに間口を広げ、利用しやすいソリューションを構築しようと情熱を注いできました」。

使い方はわかりやすい。ユーザーはウェブベースのプラットフォームでフィットネスに関する簡単な情報を入力し、目標と現在の状況を伝える。その情報をもとにBoldはプログラムをパーソナライズする。プログラムは週に1回座ったままでできる太極拳のクラスから、毎週数回実施する有酸素運動と筋トレのクラスまで幅広い。リー氏は「メンバーの現在の状況にぴったり合うクラスから始め、そこからこのプログラムを通じて短期間で効果が出るエクササイズに進んでいきます」と説明する。

現在、高齢者の医療費の増加が懸念され、現在と将来の両方の世代のために医療費をいかに削減するかが注目されている。転倒は医学的には必ずしも複雑な事故ではないが、骨折などの重傷につながる危険がある。Boldの転倒予防アプローチは、転倒を検知したときに救急に発信するネックレスやブレスレット型のモニタ機器よりも積極的なソリューションだ。バーチャルプログラムを提供すれば、リスクのある高齢者がジムで新型コロナウイルス(COVID-19)感染の危険にさらされることなくエクササイズをすることができる。

このようなエクササイズが有効だという研究結果がある。単純で強度の低いエクササイズであっても、バランスと筋力が強化され転倒を減らすという。転倒は現在、高齢者のケガと、ケガによる死亡の原因の第1位だ。

ケガを減らせば治療の機会が減り、病院や健康保険会社にとってもコスト削減につながるだろう。そのためBoldはシード資金に加え、メディケアアドバンテージ(訳者注:米連邦政府が運営する高齢者および障がい者のための健康保険がメディケアで、病院保険と医療保険、処方薬プランなどを含む「オールインワン」のプランがメディケアアドバンテージ)を扱う企業やリスク対策企業との連携を開始し、Boldのエクササイズプロブラムをユーザーが無料で利用できるようにする計画を立てている。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Bold資金調達エクササイズ高齢者

画像クレジット:Bold

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(文:Sophie Burkholder、翻訳:Kaori Koyama)