ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版がIoT機器向けに公開、Linuxか独自カーネルを選択可能

  1. ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

中国初のオープンソース財団OpenAtom Foundationは6月1日、「OpenHarmony 2.0 Canary」(カナリア版)をリリースした。ライセンスはApache License 2.0(アパッチ・ライセンス 2.0)。Huawei(ファーウェイ)の独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソースソフトフェア(OSS)版最新バージョンにあたる。中国のソースコードホスティングサービス「Gitee」上で公開している

また6月2日、開発者向けドキュメントをまとめた「Develop devices – HUAWEI HarmonyOS Device」に関連ドキュメントも公開された。

Huaweiは、2020年9月開催の開発者向けイベント「HUAWEI DEVELOPER CONFERENCE 2020」においてOpenAtom Foundationに対してソースコードを寄贈することを発表しており、以来公開が続けられている。

新たにリリースされたOpenHarmony 2.0のライセンスは、Apache License 2.0。すべての機器がネットワーク接続された世界における、あらゆるスマートデバイスに適用可能なOSSのOSとして、IoE(Internet of Everything)を促進するとうたっている。

カーネルとしてはLinux、HarmonyOSマイクロカーネル、Huawei LiteOSを利用できるマルチカーネルデザインを採用。ターゲットとするハードウェア環境によって開発者がカーネルを選択できるようにしており、カーネル抽象化層(KAL。Kernel Abstraction Layer)を設けることで実装の違いを隠し、基本的なカーネル機能を上位層に提供するという。

Linuxについては、LTS版カーネルを基にCVEパッチやOpenHarmonyの上位層に適合させるための機能をマージさせたものを利用するという(記事執筆時点では、バージョン4.19を基にしている)。

HarmonyOSマイクロカーネルについては、記事執筆時点ではソースコードおよびドキュメントとも公開されていない。Huawei LiteOSは、記事執筆時点ではOpenHarmony LiteOS Cortex-AおよびLiteOS Cortex-Mとしてソースコードが公開済みで、ライセンスはBSDライセンス(2条項BSDライセンス)を採用。LiteOS Cortex-Aは、Arm Cortex-A7ベースSoCの中国HiSilicon Technology製Hi3518E V300またはHi3516D V300搭載ボードをサポートしている。LiteOS Cortex-MをCortex-M3(STM32F103)/M4(STM32F429IG)/M7(STM32F767ZI)、RISC-Vに対応しているという。

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

OpenHarmony LiteOS Cortex-Aのアーキテクチャ

ファーウェイ独自OS「HarmonyOS 2.0」のオープンソース版が開発者向けに公開、Linuxと独自カーネルを選択可能

LiteOS Cortex-Mのアーキテクチャ

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Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が第1世代「Nest Hub」向けに配信開始

Googleの新OS「Fuchsia」が、第1世代のNest Hub向けに配信が開始されました。9to5GoogleがGoogleに確認したとして伝えており、まずはプレビュープログラムを対象にリリースされ、今後数か月で広く展開予定とのことです。

2016年にその存在が明らかになったFucshiaは、あまり公に語られることもなく、どういった立ち位置のOSなのかも不明なままでした。しかし、2020年には開発者サイトがオープンし、プロジェクトが一般公開されたほか、5月初めには、Bluetooth SIGでFucshia 1.0を搭載するGoogle Home Hub(第1世代のNest Hub)が見つかるなど、正式リリースも近いのではと考えられていました。

Fuchsiaの特徴は、LinuxベースのAndroidとは異なり、独自のマイクロカーネルZircon(以前はMagentaと呼ばれていました)を採用していること。Googleは公式ブログの中で、汎用のオープンソースOSを作成するための長期プロジェクトだと説明されていました。

肝心のNest Hubのアップデートですが、見た目や機能に変化はなく、アップデートに気づかない可能性も指摘されています。というのも、Nest Hub自身はCast OSで動作していますが、その上でオープンソースのアプリ開発プラットフォームFultterが動作しています。Fultterはクロスプラットフォームを特徴としており、Fuchsiaもサポート済み。このため、ベースとなるOSが変わっても、見た目や動作に影響はないというわけです。

今後、他の機種へのアップデートも行われると考えられますが、最終的にAndroidやChrome OSを置き換えるものになるのか、あくまでもスマート機器向けに留まるのか、注目しておきたいところです。

(Source:9to5GoogleEngadget日本版より転載)

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GoogleがAndroid、Chromeに続くOS「Fuchsia」プロジェクトを一般開放へ

長い間、Google(グーグル)の新しいオペレーティングシステム、Fuchsiaはちょっとした(未訳記事)に包まれていた。計画に関する情報はほとんどなく、チームがGitHubに標準オープンソースライセンスでコードを公開した後でさえそうだった。最近になって、これはグーグルにとって、単なる実験(9to5Google記事)以上(あるいは上級エンジニアの離脱を防ぐための引き止めプロジェクト)であることを約束されたまったく新しいカーネルと汎用オペレーティングシステムを開発する初めての試みだとわかった。しかし、大部分において、グーグルは本件について沈黙を貫いてきた。

どうやらグーグルは、Fuchsiaについてもう少し話し始める準備ができたようだ。米国時間12月8日、同社はFuchsiaオープンソースコミュニティを拡大し、他者がその上で開発できる安定基盤ができ次第、オープンソースプロジェクトを関係者以外に開放すると発表した。

「本日より、Fuchsiaのオープンソースモデルを拡張し、誰もがプロジェクトに関わりやすくします」とチームは述べている。「プロジェクトの議論のために新たな公開メーリングリストを作り、戦略的決定がどのように下されるかの運用モデルを導入するとともに、どんな作業が行われているかを一般参加者にもわかるように問題追跡システムを公開しました。私たちはオープンソースプロジェクトとして、みなさんからの質の高い、十分テストされた作品の投稿を歓迎いたします。パッチを提出するメンバーや、全書き込み権限のあるコミッターになるためのプロセスも用意しました」。

グーグルはFuchsiaのドライバーフレームワーク、ファイルシステム性能などを含むテクニカルロードマップも公開する予定で、アクセシビリティのために入力パイプラインを拡張することを最優先にしている。

またグーグルは、Fuchsiaか一般的なプロダクト開発はもちろん、開発ターゲットとしても時期尚早であることを強調している。適切な技術センスの持ち主であれば誰でもリポジトリをクローンしてコードをビルドできる。グーグルは、そのやり方やエミュレーターに関する数多くのドキュメントをすでに提供している。

グーグルは、プロジェクトに関するインクルードオープンソースコミュニティを作る目標についても言及している。「Fuchsiaは、プラットフォーム自身のアーキテクチャーから我々が作っているオープンソースコミュニティまで、本質的に包括的なオープンソースプロジェクトです。プロジェクトは現在も急速に発展していますが、システムの基本原理と価値はプロジェクトを通じて比較的一定に保たれています」。

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画像クレジット:MassanPH / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook