Made In Spaceは周回軌道上でのソーラーパネル建造にBlue Canyon Technologiesの協力を取り付ける

周回軌道上での装置建造を手掛けるスタートアップであるMade In Spaceは、NASAとの契約によるArchinaut One(アーキノート・ワン)のデモミッションに協力してくれる企業として、米国コロラド州にあるBlue Canyon Technologies(BCT)に白羽の矢を立てた。同ミッションは今のところ2022年に実行されることになっている。Made In Spaceが、軌道上で2つの10m大のソーラーパネルを組み立るというもの。組み立てられたパネルは、その後ESPAクラスの衛星に電源を供給するために、実際に使用される。軌道上での組み立てをしない場合に比べて最大5倍の電力を供給できるとされる。

BCTは、ノースロップ・グラマンと共同で宇宙船プラットフォームを開発する。Made In Spaceは、それを使ってArchinaut Oneの製造プラットフォームを輸送する。同プラットフォームでは、軌道上で構造物を建造できるよう、積層造形とロボットアセンブリを組み合わせて採用している。BCTは、2008年にコロラドで設立された会社で、すでにさまざまなプロジェクトのために宇宙船を開発してきた実績がある。例えば、JPLが初めて実運用に成功したCubeSatプロジェクトであるAsteria(アステリア)宇宙望遠鏡などもその1つだ。

筆者は、Made in Spaceのプロジェクトについて、BCTのシステムエンジニアであるBrian Crum(ブライアン・クラム)氏に話を聞いた。同氏によれば、これまでの同社の仕事を代表するようなものになるという。同社は主に、興味深いデモミッションや画期的な宇宙技術の初めて運用に集中してきた。それは、宇宙での作業方法について途方もない可能性を開くことになったというのだ。

「私たちが専門的に開発している宇宙船の大きさと、価格帯を考えると、そうしたデモンストレーションのミッションは、実際に運用可能なコンセプトにつながるものとして、本当に役立ちます」と、クラム氏は述べた。「私たちは、コンセプトを実証するための優れたソリューションの一部であり、それに真剣に取り組んでいます。私たちは、いろいろなことを試してみたいという人々から、多くの興味深いアイデアを受け取ります。これも、間違いなくその1つです」。

BCTは現在、60機以上の宇宙船を実際に建造中であり、この1年間で規模が2倍に拡大した。さらに同社は、本社機能と生産設備を合わせて8万エーカー(約324平方km)以上にもなる新しい施設を開設する計画を持っていて、今年後半にも運用を開始する予定となっている。このような成長は、もちろんビジネスの伸展によるもの。クラム氏によれば、政府や民間産業を問わず、さまざまな方面で実験と技術デモがブームのようになっている結果だという。

「間違いなく、リスクを追い求めているような人が増えています」と、同氏は言う。「簡単に言えば、宇宙船への需要が高まっているため、私たちは成長しているのです。こうしたプログラムをサポートするため、優れた人材を採用し続けています。それによって、プログラムの数も大幅に増加しています。また、私たちの規模が大きくなるにつれて、宇宙船のサイズも大きくなり、より複雑になっています。つまり、少し難度が増しています。エンジニアリングにもさらに力を入れていく必要があるのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

3Dプリンター最後のフロンティア、Made In Spaceは自らを作る宇宙船を作っている

カリフォルニア州マウンテンビューのモフェット・フィールドにある何の変哲もない建物の中では、いまだどこのベンチャーキャピタルにも手をつけられていない80人の会社、Made In Spaceが次世代の人工衛星と宇宙探査のための道具を作っている。中でも目を引くのが、初めての自己製造衛星で、3年以内の完成を目指している。

3Dプリンターと自動組立技術を利用して、地上ではなく宇宙で製造することには多くの利点がある。組み立て済みのかさばる部品の代わりに、密度の高い3Dプリンター原料を送ることで場所を節約できる。さらに重要なのは、ロケット発射時の衝撃的な力に耐える必要がないので、壊れやすくても軽量な設計が可能になることだ。

Made In Spaceの3Dプリンターは、すでに国際宇宙ステーションで何回も職務をこなしている。「5年前、宇宙での製造は夢だった」と共同創業者でCEOのAndrew Rush(アンドリュー・ラッシュ)氏は「今は軌道上でさまざまな物を作るのが当たり前になる日がすぐそこに来ている」と語る。

「製造が、3Dプリントが、そして組み立てができたら、次はロボット操作だ」とNASAのジム・ブライデンスタイン長官はコメントしている。本社オフィスの彼の後ろにはロボットアームが3Dプリントされたフルサイズの反射円板にワイヤーをかけているところが見える。横には懐かしいスタートレックのポスターの横には世界最大の3Dプリント作品の写真もある(37.7mの宇宙空間ポリマーチューブ。そこでやめたのは通路の長さが足りなくなったから)。2022年の打ち上げを目標にしているその画期的プロジェクトは「Archinaut One」(アーキナント・ワン)と呼ばれている。

もちろん、衛星全体を軌道上でポリマーの塊とワイヤーから作るわけではない。しかしNASAがMade In Spaceに7370万ドルで委託したArchinaut Oneは、、従来の小型パネルを広げる方式に代えて長さ10メートルのソーラーパネルウィングを宇宙で製造することによって「同じサイズの宇宙船のソーラーパネルの5倍以上のパワーを得られる」という。

商業利用の可能性は幅広い。たとえば、衛星経由インターネットは膨大な帯域を必要としており、基本的に電力は帯域に等しい。ブライデンスタイン氏はこの仕事がNASA内部ではなくスモールビジネスによって成し遂げられたことを称賛し、NASAが自ら新しいテクノロジーを所有、開発するよりも、民間宇宙セクターの顧客、それも「数多い顧客のひとつ」になることを明確に望んでいる。そしてArchinaut Oneは、物議をかもしている月軌道ゲートウェイのロボットによる製造を見越したプロトタイプとも考えられている。

しかし、仮にあなたがゲートウェイ構想の筋金入りの懐疑派だとしても、Made In Spaceのテクノロジーは純粋に心躍らせるものであり、驚くほど多面的だ。彼らはISSの廃棄ポリマーをリサイクルするつもりだ。宇宙で光ファイバーを製造する計画もあり、その性能は通常のファイバーを著しく上回る。金属板材の押出加工も行い、ポリマーだけでなく宇宙での 金属3Dプリントにも関心を持っている。

なによりも興味深いのは、彼らが月などのレゴリス(表土)を3Dプリント材料に転換し、それを使って非常に強度のある気密性の高い構造を作ろうとしていることだ。月の表土70%と ポリマー粒子30%を混合加熱することで、焼結のわずか13分の1のエネルギーコストで3Dプリント原料を作ることができる。彼らの途方もなく素晴らしく途方もなく野心的な、隕石から宇宙船を作る長期計画は「Project RAMA」と名付けられており、アーサー・C・クラークの小説に敬意を表したものと思われる。

夢物語のようにも聞こえるが、これまでの実績を踏まえると、Made In Spaceは本物としてに捉えられる資格を得たようだ。同社の共同創業者の4人は、シリコンバレー拠点の教育機関であるシンギュラリティ・ユニバーシティで出会い、NASAからホコリまみれの使われていない地下室を借りて最初のオフィスにした。そして、(VCが立ち並ぶ)サンドヒルロードから数マイルの場所にいるにもかかわらず、現在の規模になるまで希釈的な資金調達を行っていない。彼らの科学的工学的実績に劣らぬ成果だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook