形などが不細工で規格外の農産物を販売する電子商取引プラットフォームのMisfits Market(ミスフィット・マーケット)は米国時間7月22日、8500万ドル(約91億円)のシリーズBラウンドをクローズしたと発表した。この投資はValor Equity Partnersが主導し、Greenoaks Capital、Third Kind Venture Capital、Sound Venturesが参加している。
Misfit Marketは、形の悪い安価な農作物をパッケージにして消費者に届けるサブスクリプションサービスとして事業を開始した。扱うのは、流通業者や食料品店の手に渡る前に農家が廃棄してしまったかもしれない作物だ。なぜなら形の悪い作物は、店に並べたところで結局は捨てられることが多いからだ。
そうした農作物には質が劣るわけではない。ただ、形のそろったものが山積みされた中から、あえてそれを選ぶ消費者がいないという問題があるだけだ。
Misfit Marketは、シリーズA投資を獲得してから取り扱い商品の幅を広げる努力をしてきた。現在は、チョコレート、スナック、チップス類、コーヒー、ハーブ、穀物、レンズ豆、ソース、スパイスも買える。利用者は、週1回配達されるボックスに、これらの商品をお好みでで加えることができる。どれも、通常の小売り価格の20〜25パーセント安い。これらの製品は、週に1日(木曜日)だけ提示され、ボックスに入れることができる。
Misfit Marketの基本理念は、食料品サプライチェーンの数々の構造的な非効率性に着目し、作物を安く手に入れ、節約できた経費を消費者に還元するというものだ。この非効率性には、販売期限の問題も含まれる。一部には販売期限の9カ月も前に陳列しなければならない商品もある。また無駄なミスもある(Misfit Marketと契約しているオリーブオイルのメーカーには、缶のラベルを上下逆さまに貼り付ける悪い癖があった)。
期限が重要になる商品でも、Misfit Marketは消費者に直接届けることができるため、流通業者や食料品店と同じルールに縛られることがない。それにより、物流業務をうんと高速化できる。
今回の資金調達の公表にともないMisfit Marketは、ニュージャージー州デランコに新しい倉庫を開設し、米東海岸、南部、中西部への対応能力が倍になるということも発表した。これにより、アラスカ、ミシシッピ、ルイジアナの各州にも配達の足がかりが広がり、さらにウィスコンシン、ミネソタ、アイオア、ミシガンの各州でのサービスが間もなく開始される予定だという。
膨大な食品廃棄問題を抱えた食品業界も、非効率のままでいたいと望んでいるはずがない。データ科学の面からこの問題に取り組むCrisp(クリスプ)などのスタートアップもある。私はMisfit Marketの創設者でありCEOのAbhi Ramesh(アビ・ラメッシュ)氏に、今後のサプライチェーンの効率化と、Misfit Marketの継続的な成長を妨げるものは何かと尋ねてみた。
「これだけテクノロジーが発達していながら、廃棄される農作物の量は絶対的にも相対的にも毎年増加しています」とラメッシュ氏。「この5年間と、それ以前の5年間の食品廃棄量を比較しても増えています。これは超長期的なリスクの1つですが、少なくとも私たちが目にしていること、そしてデータが示している食品廃棄物に関する方向性は、食品廃棄物の規模が大きくなっているということです」と語る。
Boston Consulting Group(ボストン・コンサルティング・グループ)の研究によれば、今後10年間の食品廃棄量は210億トン、金額にして1兆5000億ドル(約160兆円)相当となり、これから10年で3割増えることになる。
今回の投資を受け、Misfit Marketは新型コロナウイルスのパンデミックの最中にも急増させた人員の拡充を継続することにしている。同社は3月から400人を雇い入れている。それ以前の3カ月間では150人だった。現在の社員数は総勢750人。男女比も均衡が保たれている(男性51%、女性49%)。幹部チームは30%が女性で、20%は人種が混在している。
Misfit Marketは、総計で1億150万ドル(約109億円)を調達した。
画像クレジット:Misfits Market>
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(翻訳:金井哲夫)