イスラエル空軍やイスラエルの諜報機関、Microsoftでのサイバーセキュリティプロダクト開発の責任者など、ミッションクリティカルな環境でキャリアの大部分を送った後、Amit Rosenzweig(アミット・ローゼンツワイグ)氏は自動走行車両に注意を向けた。
この技術には、他のミッションクリティカルなシステムに必要なもの、つまり人間が必要だとすぐに気づいた。
「AIや機械学習で完全に解決されない境界ぎりぎりのケースが数多くあり、人間参加型の介入のようなものがあるべきだと考えています」とローゼンツワイグ氏は最近のインタビューで語った。「人間による監視のないミッションクリティカルなシステムは1つもありません。原子力発電所や飛行機も然りです。自動走行モビリティが存在するには、人間が必ずループに加わっているか、何らかのかたちでそこにいなければなりません。10年後、20年後でもそうです」。
その「ヒューマン・イン・ザ・ループ(人間参加)」の結論は、ローゼンツワイグ氏が2018年に遠隔操作のスタートアップOttopia(オットピア)を設立することにつながった(同氏の兄弟であるOren Rosenzweig[オレン・ローゼンツワイグ]氏もまた自ら創業したInnovizというLiDARの会社を通じて自動走行車両業界に携わっている)。Ottopiaの初のプロダクトは、人間のオペレーターがあらゆるタイプの車両を何千マイルも離れたところからモニター・操作できるユニバーサルな遠隔操作プラットフォームだ。遠隔操作センターを作るために、Ottopiaのソフトウェアはモニターやカメラなどすぐに購入可能なハードウェア製品と組み合わされている。同社のソフトウェアにはアシスト機能も搭載されていて、遠隔から車両を操作することなくAVに「道順」を示す。
立ち上げ以来、従業員25人の小さな会社はBMWや固定ルートAVスタートアップのMay Mobility、Bestmileなどの投資家やパートナーを獲得してきた。Ottopiaは米国時間4月23日、Hyundai Motor Group(現代自動車グループ)やMaven、イスラエルのスタートアップ投資にフォーカスしている住友商事のベンチャーキャピタル部門IN Ventureなどから900万ドル(約9億7000万円)を調達したと発表した。既存投資家のMizMaaとイスラエル企業NextGearも参加した。
HyundaiとIN Ventureは取締役の座席も確保した。Hyundaiの自動運転センターの代表を務めるWoongjun Jang(チャン・ウンジュン)氏と、IN VentureのマネージングパートナーEyal Rosner(エヤル・ロスナー)氏は現在、Ottopiaの取締役会に名を連ねている。
Ottopiaはこれまでに1200万ドル(約13億円)を調達し、そしてローゼンツワイグ氏はすでに会社の成長の資金を確保しようとさらに大きなラウンドに目を向けている。
差し当たって、同氏は2021年末までに従業員を50人に倍増させ、米国にオフィスを開設することにフォーカスしている。また、国防や鉱業、ロジスティックなど他の分野へと遠隔操作ソフトウェアの応用を拡大させていると同氏は述べた。しかしOttopiaのリソースの大半は引き続き自動車業界、特に自動走行の乗用車、トラック、シャトルの展開に向けられている。
「モチベーションは極めてシンプルです。シンプルですが、行うのは難しいのです。そのモチベーションとは、安価な自動走行輸送を実現に近づけることです」とローゼンツワイグ氏は述べた。「もちろん問題はAVがいかなるバックアップ、あるいは遠隔操作というかたちでのいかなる種のセーフティネットも持たずにな立ち往生したとき、乗客は『一体どうなっているんだ、なぜだ、なぜこれは動かないのか』と不安になるということです」。
別の問題は、AVが効率的な運輸サービスと組み合わされる必要があることだと同氏は指摘した。同社の最新パートナー企業である、オンデマンドシャトルと輸送ソフトウェアのViaが取り組んでいる分野だ。
今週発表されたこの提携の下、Viaは車両管理ソフトウェアをOttopiaの遠隔操作プラットフォームと組み合わせた自動走行車両を提供する。Viaは自前の自動運転ソフトウェアシステムを開発していない。2020年11月に同社は、オンデマンドの乗車シェアリング、公共交通、アクセスのしやすさを要する乗客のための交通機関の選択肢を統合した自動走行車両プラットフォームを立ち上げるためにMay Mobilityと提携したと発表した。
カテゴリー:モビリティ
タグ:自動運転、Ottopia、資金調達
画像クレジット:Ottopia
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi)