TechCrunch Disrupt SF 2017で賞を受けたPi Chargingは、4月にSpansiveとブランド名を改めた。そして以前に発表していた、スマートフォンを周囲に置くだけで充電できる円錐型の充電器の開発を断念した。この充電器を使うにはデバイスに専用のケースをつける必要があった。しかもQiのようなワイヤレス充電の標準が普及してきて継続が難しくなっていた。
同社はそれとは別に、Qi準拠で独自の「ちょっとした工夫」を盛り込んだワイヤレス充電器にも取り組んでいて、夏までに発売する見込みだとしていた。それが今回登場したこの充電器だ。
このSpansive Sourceは、最大4台の携帯電話を同時にワイヤレスで充電できるベースステーションだ。携帯電話を周囲に置くだけでよかった以前の円錐型の充電器とは違って、Sourceの上に置く必要がある。しかしほかの多くのプレート型のワイヤレス充電気とは異なり、きちんと正しい場所に置く必要はない。円錐型の充電器で取り組んでいた構想を生かして、Sourceのどこに携帯電話を置いたかを検知し、それによって磁気充電コイルの配列を調整しているとSpansiveは説明する。しかも多くのメーカーのケースをつけたまま充電できる。
SpansiveのCEOで共同創立者のJohn MacDonald氏は、この充電器を持って我々のオフィスを訪れ、機能のデモをした。携帯電話を2台置いたところ、両方とも充電されていることが画面に表示された。1台には厚みのあるOtterboxのケースをつけたまま置いたが充電された。もう1台にはOtterboxのケースとポップソケッツのスマホグリップの両方がついていたが、まったく同じように充電された。
Sourceは携帯電話1台につきワイヤレスで最大5W、USBポートでは最大12Wで充電できるという。MacDonald氏は、ワイヤレス充電の速度は充電器に置かれた電話機の台数に影響を受けないと語った。つまり充電器に置く電話機を2台、3台と増やしても、1台目の充電が遅くなることはない。
MacDonald氏は、Sourceは携帯電話の充電用に開発したものだと注意を促した。スタンドが斜めになっているデザインなので、たとえばApple Watchなどは置きづらい。そのためSourceの側面にはUSBポートが2つあり、さまざまなデバイスを充電できるようになっている。現時点ではQi対応の携帯電話であっても完全に互換性があるわけではない。MacDonald氏は、まずサムスンのGalaxy S7シリーズ以降とiPhone 8シリーズ以降に対応するように開発し、その他の電話機については今後、無線でのソフトウェアアップデートで対応する予定だと語った。SourceはWi-Fiを内蔵しており、アップデートをダウンロードすることができる。Sourceの台の部分にはボタンがあり、ネットワーク上のIoTデバイスを追加したくない場合にはこのボタンを押してWi-Fiの認証情報を消去できる。
Sourceは米国ですでに販売開始されている。白とチャコールの2色があり、価格は189ドル(約2万円)。
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(翻訳:Kaori Koyama)