ピクシブとPFNがAIによるマンガ自動着色サービス「Petalica Paint for Manga」を法人向け試験提供

ピクシブとPFNがAIによるマンガ自動着色サービス「Petalica Paint for Manga」を法人向け試験提供

ピクシブPreferred Networks(PFN)は5月28日、AI技術によるマンガの自動着色サービス「Petalica Paint for Manga」(ペタリカ・ペイント・フォー・マンガ)を法人向けに試験提供すると発表した。

ピクシブとPFNは2019年11月よりイラスト自動着色分野で業務提携し、AI技術の1つである深層学習(ディープラーニング)を用いた線画自動着色サービス「Petalica Paint」の共同運営を行ってきた。AI技術によるマンガの自動着色サービス「Petalica Paint for Manga」は、Petalica Paintの新モデルとして開発されたものだ。将来的には、正式版リリースを経た後、培った技術を生かして個人ユーザー向けの提供も目指しているという。

Petalica Paint for Mangaでは、色のついたキャラクター画像を参考に、自動でモノクロ原稿上のキャラクターの着色が行える。また「カラーヒント機能」を使うことで、自動着色の結果に細かく調整を加えることも可能だ。

自動着色後に「髪・服・肌・目・背景」などの要素をレイヤー分けし、Adobe Photoshop画像(PSD)形式データとして書き出しを行う機能も採用。下塗りに自動着色を導入し、仕上げに各クリエィティブの制作・編集ソフトでハイライトや影を入れるなどの処理も行える。

ピクシブ内での比較によると、手作業での着色と比べて50%以上の作業時間短縮ができるという。作業品質の均一化も促進できるため、クリエイターは作品の品質を上げる作業に集中して取り組めるようになるとしている。

現在、海外の新たなマンガ文化ではカラーマンガがスタンダードであり、デジタル化とともに、カラーリング市況が活発化しているという。日本のマンガ産業においても、国際化と海外展開が本格化しているものの、カラーリング作業に求められる専門スキルの高さ、費用などが課題となっているそうだ。

Petalica Paint for Mangaの導入により、作品の魅力向上や海外展開を含む新たなユーザー層の開拓を進める事業者は、カラーマンガの制作時間やコストを削減し、制作者が高付加価値業務に注力する時間を増やせるとしている。

Petalica Paintは、PFNが開発し、2017年1月に提供を開始したオンライン線画自動着色サービス。白黒で描かれた線画ファイルをアップロードするだけで、深層学習の技術を使って完全自動着色または色指定の自動着色が行える。ピクシブのお絵描きコミュニケーションアプリ「pixiv Sketch」(ピクシブスケッチ)に導入されており、国内外のユーザーに利用されている。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:AI / 人工知能(用語)pixivPreferred Networks(企業)日本(国・地域)

pixivが新サービス「VRoid Studio」発表、3Dキャラクターをお絵かき感覚で

イラスト漫画コミュニティサイト「pixiv」(ピクシブ)を運営するピクシブ社が、キャラクターの「3Dモデル」を作成できるアプリケーションを2018年7月末にリリースすると発表した。Windows・Macで利用可能で、サービスは無料で使えるという。

サービス名は「VRoid Studio」

アプリのサービス名は「VRoid Studio」。3DCGアニメやゲーム、VR・ARプラットフォーム上などで利用できる3Dモデルを簡単な操作で作成できるという。

29日には、アプリの利用イメージ動画も公開された。ペンツールを使って、お絵かき感覚で目や顔、髪型といったパーツを作成できる。

作成した3Dモデルは、3Dアプリケーションで利用可能なファイルにエクスポートすることが可能という。

バーチャルYouTuber、もっと広がるかも。

3Dモデルといえば、キャラクターになりきって、YouTubeに動画を投稿するバーチャルYouTuber(Vtuber)が日本で誕生したことが記憶に新しい。

ピクシブ社はサービス開発にあたり、「『VR/AR空間上で他者とコミュニケーションしたい』『バーチャルYouTuberとして活動したい』など、キャラクターの3Dモデルを必要とする人は増えています」と説明。一方で、3Dモデルのキャラクターを1から作成できる人は「ごく少数に限られてしまってい」るという。

「VRoid Studio」のリリースによって、より多くの人に3Dキャラクターを楽しめる機会を提供する狙いだ。

「誰もが個性豊かな自分のキャラクターを持ち、そのキャラクターを他者とのコミュニケーションや創作活動に活用できる世界を実現するため、『直感的に操作でき、クリエイターが既に持っているお絵かきのテクニックを最大限に発揮できること』を重視して開発しています」

2018年2月には、バーチャルネットアイドルとして知られる「ちゆ12歳」が(3Dモデルではないが)バーチャルYouTuberとしてデビューし話題になった

「バーチャルYouTuber」が革命的なのは、肉体的にも精神的にも、しがらみがないという点だ。

女性が女性の、男性が男性のモデリングを使用することはもちろん、男性が女性キャラのモデリングとボイスチェンジャーを用いて活動することもできる。その逆も可能だ。

自由な発想でキャラクターを作り、動かせるバーチャルYouTuberの普及が加速していくかもしれない。

HuffPost Japanからの転載。

pixiv、収益度外視のクリエイター向け無料ECサイト構築サービス

イラスト投稿サービス「pixiv」を運営するピクシブは、クリエイターがECサイトを無料で構築できるサービス「BOOTH(ブース)」を12月19日に公開する。初期費用や月額料金、販売手数料はゼロ。ピクシブの片桐孝憲社長によれば、自社の収益は考えず、「クリエイターを支援する一機能」と割り切っているのだという。ショップを開設するにはpixiv IDが必要となる。

BOOTHはpixivに投稿されているイラストだけでなく、書籍や同人誌、グッズ・手作りのアイテムのほか、イラストやゲーム、音楽、写真、動画、電子書籍といったデジタルコンテンツを販売できるプラットフォーム。商品登録数は無制限。サンプル配布向けの「ゼロ円設定」も可能だ。

BOOTHの倉庫で商品の保管・梱包・発送を代行するサービスも用意している。送料は一律700円。倉庫の保管費用は半年間無料、その後はサイズに応じて料金が発生する。現時点でサポートしている決済はクレジットカードのみだが、1月より銀行振込とコンビニ決済にも順次対応していく。

無料のECサイト構築サービスは国内では「STORES.jp」「BASE」などがあるが、BOOTHの強みは900万人以上が利用するpixivと連携している点だ。クリエイターはpixivのフォロワー(ファン)に自分の商品を通知できるほか、作品の検索結果画面や作者のプロフィールに商品を表示する機能も近々搭載する。今後はクリエイターの制作支援にも注力する。「例えば、自分の描いたキャラのぬいぐるみを作りたい!という要望にも応えていきたい」(片桐氏)。

片桐氏によれば、2007年にpixivをリリースした1、2年後くらいから、「pixivは作品の発表と販売の場にしたい」と考えていたという。このタイミングでBOOTHを公開したのは、「ユーザーが900万人を突破し、pixivを中心にしたECサービスでも成立する規模になったと判断したため」と話している。

クリエイターからは初期費用や月額料金、販売手数料を徴収しない。クレジットカード決済にかかる手数料(商品代金の3.6%+10円)は発生するが、当面はBOOTHでの収益は考えていないという。「今の予想では数年は大赤字ですが、将来的にpixivとの相乗効果でビジネスモデルを作っていきたいと思っています(笑)」。

pixivといえば、登録ユーザー数900万人突破を記念して、有料会員限定で提供していた一部機能を無料会員にも開放したところ、有料会員が大幅に減ってしまったことが記憶に新しい。「うちなんか一生収益化なんかできませんよ」と自嘲気味に語る片桐氏だが、BOOTHではpixivのユーザーが楽しく創作活動ができたり、作品の売買を介したコミュニケーションが生まれればと話している。