シンガポールを拠点とし、テックプラットフォームと社内不動産エージェントを組み合わせて取引を迅速に完了させる不動産業者のPropsellerが米国時間10月19日、シードラウンドで120万ドル(約1億3000万円)を調達したと発表した。
このラウンドでは、Iterative、Hustle Fund、XA Network、Rapzo Capital、Lazada共同創業者のStein Jakabo(ステイン・ヤカボ)氏、Dot Property創業者のBen Neve(ベン・ネーブ)氏が投資した。Propsellerは「非公開の高度に戦略的な投資家も3者」あり、個人投資家からの再度の投資もあると述べた。
資金調達に関するPropsellerの前回の発表は2018年12月で、その時はシードラウンドで100万シンガポールドル(約7800万円)の調達だった(Propsellerの発表)。
2018年に創業し2019年にサービスを開始したPropsellerは、同社のテックプラットフォームで物件評価などの業務を支援することで取引を迅速に完了し、同社の社内不動産エージェントが取引を迅速に完了できるようになったので標準的な手数料を2%から1%に減らしているという。
Propsellerは現在、毎年7500万シンガポールドル(約58億円)相当の物件を取り扱っていると述べている。
新型コロナウイルス感染症により経済的な影響が発生しているが、シンガポールの不動産市場、特に住宅に関しては比較的早く回復すると予想されている(South China Morning Post記事)。新築分譲マンションの需要や海外投資があるためだ。Propsellerの創業者で最高経営責任者のAdrien Jorge(エイドリアン・ホルヘ)氏はTechCrunchに対し、第2四半期のPropsellerの売上は前四半期比で80%減少したが、回復しつつあると語った(LinkedInの投稿)。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の間も、オンラインダッシュボードやバーチャル見学といったテクノロジーを利用したサービスを活用して同社の担当者は顧客とのやりとりを続けることができた。シンガポールのサーキットブレーカーや一部のロックダウンの間も、Propsellerのプラットフォームは対面での見学の制限にすでに対応できていたので、オンライン見学のデジタルツールの採用を急ぐ必要はなかったとホルヘ氏は述べた。
シンガポールで不動産を扱い最近資金調達をしたスタートアップに、不動産情報プラットフォームのPropertyGuruがある。9月に同社はKKRとTPGから2億2000万ドル(約232億1000万円)を調達し、新たな東南アジア市場に進出すると発表した。PropertyGuruと最も直接的に競合しているのは99.coだが、テックプラットフォームを組み合わせたエージェントサービスを提供するPropsellerやOhmyhome、Greyloftなどのスタートアップもシンガポールの不動産市場の選択肢となっている。
ホルヘ氏によれば、OhmyhomeはFSBO(for sale by owner、所有者による売却)の取引をベースにし、従来型の業者よりも安い価格でエージェントサービスを提供するのは副次的なプロダクトであるため、PropsellerはOhmyhomeとは違うという。Propsellerはテクノロジーを活用する不動産業者であることに主眼を置いている。PropertyGuruや99.coは取引はせず物件の分類をメインとしているが、その一方でPropsellerのモデルは「従来型の業者を破壊するものであり、分類するものではない」であるとホルヘ氏は補足した。
今回の資金調達に関するPropsellerのプレス発表の中で、Iterativeのパートナー(であり、サンフランシスコを拠点とする不動産テックスタートアップ「Divvy Homes」の創業者)のBrian Ma(ブライアン・マー)氏は「世界的に見て、モダンな不動産業者がすでに市場のシェアを猛スピードで獲得しています。不動産価格が高く高品質のサービスを求められるシンガポールのような市場では、デジタル化が不可欠になると我々は考えています。その中でPropsellerが主導権を握ることを期待しています」と述べた。
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画像クレジット:Mlenny / Getty Images
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(翻訳:Kaori Koyama)