ベンガルールを拠点とする、高等教育およびスキルアップコースに特化したEdTechスタートアップのupGrad(アップグラッド)は、インド時間8月9日に実施された1億8500万ドル(約204億円)の資金調達ラウンドで評価額が12億ドル(約1324億円)に達した。これは、世界第2位のインターネット市場であるインドで、グローバル投資家が同国の企業に記録的な資金を投入している中でのことだ。
今回の資金調達ラウンドは、シンガポールの政府系ファンドTemasek(テマセク)が主導し、世界銀行の国際金融公社(International Finance Corporation, IFC)とIIFLが参加した。シリーズが特定されていないこのラウンドの最初のトランシェ(約1億2000万ドル、約132億円)は、2021年4月に6億ドル(約661億5000万円)以上の評価額で完了していた。
upGrad共同創業者のRonnie Screwvala(ロニー・スクリューバラ)会長は、声明の中で「資金調達を開始して以来、投資家の方々の関心が高まっていることに満足しています。この60日間で、Temasekから最初の出資を得たのち、続いてIFC、IIFLからも資金調達を行いました」と述べている。
創業6年目のupGradは、ここ数カ月の間に国際市場での展開を推し進めており、ミシガン州立大学、インド工科大学マドラス校(IIT Madras)、インド工科大学デリー校(IIT Delhi)、Swiss School of Business Management(ジュネーブ)などの大学と連携して、データサイエンス、機械学習(ML)、人工知能(AI)、ブロックチェーン、金融、プログラミング、法律などの分野で100以上のコースを学生に提供している。
同社によればこれまでに、40カ国以上から100万人以上のユーザーがこのプラットフォームのコースにアクセスしているという。upGradのウェブサイトによると、6万2000人以上の有料受講者がいるとのこと。これらのコースの費用は3300~6750ドル(約36万〜74万円)で、期間は6カ月~2年だ。
インドではパンデミックによる学校閉鎖の影響で学習のオンライン化が進んでおり、upGradはインドの数多くの教育関連スタートアップの中でも、ここ数四半期で急成長を遂げている企業の1つだ。
ソフトバンクとTiger Global(タイガー・グローバル)が出資するUnacademyは、8月2日に発表した4億4000万ドル(約485億円)の資金調達で34億4000万ドル(約3795億円)と評価された。GGV Capitalが支援するVedantuは、同社がユニコーンの称号を得るであろう新ラウンドの最終調整に向けて交渉が進んでいると、先にTechCrunchが報じている。過去1年ほどで15億ドル(約1655億円)以上を調達したByju’s(バイジュース)は、インドで最も価値のあるスタートアップだ。
スクリューバラ氏は、upGradはこの新たな資金を活用して、M&Aの機会を探ると述べている。同氏は南アジア市場におけるケーブルテレビ事業の先駆者であり、ボリウッドの大ヒット作品もいくつか制作した人物だが、2013年には自身が所有するエンターテインメントコングロマリットUTVを企業評価額14億ドル(約1545億円)でディズニーに売却した。
2020年にユニコーンとなったインドのスタートアップ企業は11社あったが、それから増し、upGradは2021年21社目のインド発ユニコーンだ。最近では、Tiger Global、SoftBank Vision Fund 2(SVF2、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)、Falcon Edge、Temasekなどの著名投資家が、インドへの投資を倍増させている。
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カテゴリー:EdTech
タグ:インド、upGrad、ユニコーン企業、資金調達、オンライン学習
画像クレジット:SUJIT JAISWAL / AFP / Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)