「シリコンバレー以外」の場所にあるシードステージ企業を支援するChicago Venturesが67.2億円を調達

ニュースのヘッドラインは、ともすると話題性のあるメガラウンドや知名度の高いIPOに独占されがちだ。しかし、それらの企業の多くは、かつてはアーリーステージでシードラウンドの資金調達に奔走していた。

シードステージのラウンドをリードすることが多いVCのChicago Venturesは米国時間3月1日、3つ目のファンドをクローズしたと発表した。この6300万ドル(約67億2000万円)の新ファンドは、同社によってすでに活用されている。

Chicago Ventures(無論、シカゴが本拠地)は、企業を支援する際に非常に特殊な基準を持っている。その一つは、前述の通り、シードステージのスタートアップ企業を支援するだけでなく、通常はそのラウンドをリードするということだ。同社は新しいファンドから25件の投資を目標としており、平均的な投資額は150万ドルから200万ドル(約1億6000万円から約2億1000万円)となるという。

その証拠に、同社はこの3つ目のファンドから11社にこれまで投資しており、そのうち10社のラウンドをリードしている。これらのスタートアップには、CognitOps、CoPilot、Forager、Interior Define、NOCD、OneRail、PreFix、Ureekaが含まれる。

同社はまた特に、シリコンバレーやニューヨークというような、伝統的な人気エリアから離れた場所にある企業への投資に注力している。最近の投資先は、シカゴを拠点とするスタートアップが6社、(最近オフィスを開設した)オースティンに2社、フロリダ州オーランドに1社、ロサンゼルスに1社となっている。

Chicago Venturesは、「見過ごされていた」企業を見いだして支援することに誇りを持っている。同社は、持続し得る企業は「いくつかのエリート市外局番」に限定されることなく、「どこでも」設立できるという根拠のもとに2012年に設立された。

同社は声明の中で次のように述べている。「シードラウンドを一貫してリードしているファンドはほんの一握りしかありません。今もなお、イノベーションの歴史が豊富な業界や地域に業界の注目は集中しがちです。当社はこのギャップを埋めます。我々は、(価値が)明らかになる前にシードラウンドをリードし、会社の創成期に、積極的に運営に関与するパートナーとしての役割を果たしています。当社は東西海岸を避けて投資を行っています」。

設立以来、同社の投資先企業は15億ドル(約1601億円)以上のフォローオン出資を受けてきた。うち17社は現在1億ドル(約107億円)以上の評価を受けており、その中にはCameo、ビジネスソフトウェア・マーケットプレイスのG2、ロジスティクスソフトウェア企業のproject44などが含まれている。

Chicago Venturesは2016年に、6000万ドル(約64億円)のメインファンドと600万ドル(約6億4000万円)のサイドカーファンドを含む、2つ目のファンドをクローズした。同社は今回のファンドでは、サイドカー手法を選択しなかった。

新しいファンドの設立と同時に、Chicago Venturesは、Peter Christman(ピーター・クリスマン)氏Lindsay Knight(リンジー・ナイト)氏をパートナーに昇格させたことも発表した。クリスマン氏は、旧式の企業ワークフローを再構築する企業や、介護や財政的健全性へのアクセスを拡大する消費者向け製品への投資をリードする。ナイト氏は、人材管理、ビジネス開発、機能的なベストプラクティスの共有など、投資後のオペレーションを指揮していく。

Chicago Venturesはさらに、新しいパートナーとしてJackie DiMonte(ジャッキー・ディモンテ)氏をチームに迎えた。ディモンテ氏は以前はHyde Park Venture Partnersで、アーリーステージの企業投資を率いていた。エンジニアとしての教育も受けているディモンテ氏は、Chicago Venturesが2015年から10件の投資を行っている、オースティンに拠点を置く。

2020年、シードステージの米国スタートアップ企業に投資された金額は、TechCrunchが以前の記事で検証したように、かなり浮き沈みがあった。また、激動のビジネス環境にもかかわらず、例年に見られたシード投資の規模が上昇するパターンは継続していた

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:資金調達

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Aya Nakazato)

投稿者:

TechCrunch Japan

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