おやつのサブスク「snaq.me」が2.6億円を調達、設備・生産者網整備に投資

おやつのサブスクサービス「snaq.me(スナックミー)」を運営するスナックミーは9月3日、W ventures、デライト・ベンチャーズ、SMBCベンチャーキャピタル、オイシックス・ラ・大地が運営するCVCファンドのFuture Food Fundを引受先とする第三者割当増資と、日本政策金融公庫からの融資により、総額約2.6億円の資金調達を実施したことを明らかにした。今回の調達は2019年5月の調達に続くもので、同社の資金調達額は累計で約6億円となる。

コロナ禍のフードロス対策やおつまみ商品開発にも取り組む

スナックミーは2015年9月の設立で、2016年3月におやつのサブスクリプションサービスsnaq.meをスタートした。100種類を超えるおやつの中から、「おやつ診断」でパーソナライズされたぴったりのおやつが、8種類選ばれて届くsnaq.me。それぞれが20〜30グラムの食べきりサイズのおやつは、人工添加物、白砂糖、ショートニングなどが使われておらず、自然素材でできている。1箱当たりの価格は1980円(税込)で、受け取り頻度は2週に1回、または4週に1回から選ぶことができる。

snaq.meの「おやつ診断」画面

サービス提供開始から、売り上げは月次で5〜10%ずつ伸びており、直近の1年では倍ぐらいに成長しているという。また取引先生産者は100社を超えた。今年3月にはサービス開始4周年を機にブランドの見直しも行っている。

スナックミー代表取締役の服部慎太郎氏によれば、新型コロナウイルスによる外出自粛などの影響で「在宅ワークになったことをきっかけにサブスクリプションを始めた顧客や、会社から自宅に送り先を変えた顧客など、自宅での需要は少し伸びている」とのこと。一方で「全国100社の取引先生産者の中には、コロナの影響でお土産屋さんや百貨店での売り上げが落ちたというところも多く、一緒に何かできないかといった問い合わせが来るようになっている」という。

「老舗の和菓子屋さんと商品開発をしてECで販売するなど、生産者との向き合い方が変わった。よりプラットフォーム的な動きが活発になった」(服部氏)

コロナ禍以前からスナックミーではフードロス解決への取り組みとして「アップサイクル」商品の開発・販売を行っているが、これらの商品は感染症拡大を受けて売り上げが減少した生産者の支援にもなっている。

「サブスクサービスなのでもともと破棄はほとんどないのだが、フードロスが気になるという顧客の声もあり、もう一歩進んだ取り組みを行うようになった。顧客には環境や食糧問題に関心の高い人が多い。今後も力を入れてやっていきたい」(服部氏)

新型コロナの影響では、宅飲み、オンライン飲みのニーズの高まりも見逃せないようだ。スナックミーでは4月15日、ビールに合う人気のおつまみ7種を詰め合わせたBOX「オツマミー」を販売。これが好評だったことから、第2弾としてワインに合うおつまみセットの「オツマミー for ワイン」、第3弾ではIPAとのペアリングを考えた「オツマミー for IPA」を相次いで販売してきた。

「この夏は、顧客にsnaq.meからオツマミーBOXに変更できるプランを用意してみたが、利用は多い。複数のブランドをポートフォリオとして持っておくことは、デジタル発の食品ブランド、食品メーカーを目指す当社の戦略としては正しいこと。オツマミーもブランドとしてしっかり育てていこうと考えている」(服部氏)

スナックミーでは資金調達と同じ9月3日、オリオンビールとのコラボレーションで開発した「オツマミー for オリオンビール」の販売も発表している。黒糖醤油味のジャーキーやゴーヤチャンプルー風のナッツ、ペッパーチーズ味のちんすこうなど、沖縄気分を満喫できる7種のおつまみは3日の15時から発売される予定だ。

「オツマミー for オリオンビール」イメージ

設備・倉庫へ投資、生産者のプラットフォーム構築にも力入れる

スナックミーでは商品の配送は業者が担当しているが、設備や倉庫は自社で運用を行っている。100種類以上ある商品を毎月入れ替えながら、顧客ごとにパーソナライズして組み合わせていくオペレーションも、ここで実施されている。

その倉庫の規模が顧客の増加に合わせて大きくなっていると服部氏はいう。「今後、資金調達を踏まえて、設備や機械、倉庫の自動化などへの投資は増えるだろう。ロジスティック周りの仕組みを作り込んでいくフェーズになっている」(服部氏)

また服部氏が今後もうひとつ力を入れたい、と語るのが、生産者側のプラットフォーム化だ。新型コロナで困っているという生産者との話もあり、意を強くしたということのようだ。

「自社でのマーケティングや販売はそれほど得意ではないが、いいものを作ろうというところや、地元の素材を使っているところなど、地方の道の駅に商品を卸されているような生産者さんと、スナックミーは相性がいい。全国にそうした生産者はたくさんある中で、まだまだ発掘し切れていない。そこをプラットフォーム化したい。印刷業界でラクスルなどの企業が地方の印刷会社をネットワーク化しているように、生産者のネットワークも広げていき、OEMモデルでプラットフォーム的な動きを志向していこうと考えている」(服部氏)

服部氏は顧客ユーザーのニーズと、路面店の売り上げが上がりにくいところをつなぎ合わせる役割になれれば、と話す。

「我々は『お菓子』と『おやつ』という言葉を使い分けていて、『お菓子を食べている時間も含めて、おやつ体験』と捉えている。新しいおやつ体験をつくることで、おやつの時間の価値を上げることをミッションとした、デジタル発のおやつブランドを目指している。今後もユーザー、生産者の皆さんとそこへ近づければいいなと思っている」(服部氏)

写真中央:スナックミー代表取締役 服部慎太郎氏

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。