Amazon(アマゾン)が、Halo(ハロ)という名のまったく新しいメンバーシッププログラムを開始した。米国時間8月27日より、特別リクエストを通して早期アクセスが開始されたこのHaloサービスには、6カ月で64.99ドル(約6950円)のメンバーシップの中に、サービスそのものと新しい手首装着型アクティビティトラッカー「Amazon Halo Band」(アマゾン・ハロ・バンド)が含まれている。アマゾンは、それが一般公開されるときには、標準的な価格は99.99(約1万700円)ドルになる予定だとしている。
Haloサービスは、スマートフォンのカメラとAmazon Haloアプリだけで、体脂肪率を含む包括的な健康指標を、標準的なヘルストラッキングガジェットやアプリよりも多く提供しようとするものだ。同社は、コンピュータービジョンと機械学習における独自の先進技術を利用して、こうしたことを可能にしたと述べている。アマゾンは、アップロードされた写真を、ディープニューラルネットワークベースを使って処理することで、利用者の身体を背景から分離し、体脂肪の「ホットスポット」と呼ばれる体脂肪率を測定しやすい場所を分析して、体の3Dモデルを生成する。そこで利用者は、スライダーを使用して体脂肪率を上下に調整することで、体脂肪の増加または減少が体型にどのような影響を与えるかを確認することができる。
アマゾンによると、そのテクノロジーは医師が臨床現場で利用できるほど正確な基準を満たすことができると主張していて、その精度はスマート体重計を含むその他の家庭内手段に比べて、現在最大2倍程度正確だという。
一方、Amazon Halo Bandは小型で優美な手首装着型のデバイスで、活動量、皮膚の温度、睡眠状態(REM、浅い睡眠や深い睡眠など)などを含むその他の健康指標をキャプチャできる。デバイスは加速度計、心拍数モニター、2つのマイクを備え、耐水性がある。内蔵バッテリーは90分の充電で最長1週間持続し、スタイルを切り替えるためのさまざまなバンドアクセサリーと互換性がある。
アマゾンが活動量、睡眠、体脂肪率に加えて測定するもう1つのユニークな指標は「Tone」(トーン、声調)と呼ばれるものだ。これが、Halo Bandにマイクが搭載されている理由だ。それは利用者の声をモニタリングし、機械学習を適用して「エネルギーや積極性」などの要因を決定する。Amazonはこれによって、たとえば、「難しい仕事の電話が、家族とのコミュニケーションにおける積極性の低下につながるかどうか」といったユニークな洞察を提供できるようになると述べている。
言うまでもなく歴然とした懸念は、Amazon Haloがその洞察を引き出すために、個人データに対してこれまでにないアクセスを求めていることだ。アマゾンが集めようとしているのは、利用者の睡眠の時間帯、長さ、質についての情報や、心拍数や体温などのバイオメトリクスデータ、どこで運動するかに関する情報だ。そして、あなたの肉体構造についての非常に正確で詳細な情報までもが含まれている。言うまでもなく、利用者の声調がどのようなものであり、それが利用者のどんな心的状態を表現しているかの情報も対象だ。
同社はHaloについてのリリースの中で、HaloとBandの両者が「プライバシーを念頭に置いて」開発され、利用者のボディスキャンデータは処理が済んだ後に、保存されているサーバーから自動的に削除されると述べている。その後、それらのデータは利用者の電話内にのみローカルに保存される。同社は、利用者がそれらを共有することを選択しない限り「利用者以外誰にも見られない」という。さらに、すべての健康データは「転送中もクラウド内でも暗号化されていて」、顧客はいつでもデータを削除できるとしている。同社によれば、音声や発話のデータそのものは、電話自体でローカルに分析され、処理後すぐに削除されるため、顧客自身も含めて誰もそれらを聞くことはないという。
そうであったとしても、これはアマゾンに多くの信用と情報を提供することになる。生データは保護されているかもしれないが、収集された洞察は、たとえ匿名化されていたとしても、プロダクト提案を調整する力の点でアマゾンにより多くの価値を提供することは明らかであり、急成長しているヘルスケアビジネスなどに、さらなるチャンスを提供するだろう。とはいえ、これまでもAmazon Alexa音声アシスタントとエコシステムが、顧客の行動を思いとどまらせたようには見えないで、どれだけ多くの人が健康へのアドバイスと引き換えに、さらに多くの情報をアマゾンと共有することになるのかを見るのは興味深い。
画像クレジット:Amazon
[原文へ]
(翻訳:sako)