アル・ゴア元大統領は訪問中のサンフランシスコで、PBS系列ローカルラジオ局KQEDのマイケル・クランシーと共にという番組に1時間にわたって出演した。
それはクランシーのインタビューによく見られるように興味深く多岐に渡る会話だった。しかし、TechCrunch視点で特に興味を引いたのは、汚職、買収、ロビー活動が以前にも増している今の米国政府の状況についてゴアが聞かれた時だった。
ゴアは、確かに大きな問題であり様々なレベルで対応する必要があると言った。次に彼は、インターネットがこの傾向を逆転させる最も有効な手段の一つであると指摘した(記事の末尾に全録音を埋め込んである。この話題は33:55から)。彼は言う言った。
「時間と共に、インターネットは政治における金の役割を容赦なく縮小するだろう。現在政治家がテレビの30秒CMを買うために膨大な活動資金を必要としていることが、金銭問題の大きな要因となっている。
インターネットが普及し、いずれコミュニケーションの主要手段になれば、個人が市民としての役割を演じる後押しとなり、議会制民主主義を再び活性化できるだろう 」
まずは、良い知らせから
すばらしい話だ。そしてこうした傾向はわが国全体にとっても間違いなく良いことだ。ゴアの言う通り、現在政治家が買わなくてはならない30秒スポットは非常に高額であり活動資金の大半を費やす結果となっている。その金は、オハイオ州をはじめとする激戦州の良い人々全国選挙前の一ヵ月間24時間広告を見せ続けるより、もっといい使い方があるはずだ。
次に、悪い知らせ
しかし、アル・ゴアの将来展望は違ったものも見据えている。インターネット広告は、テレビ広告ほどには儲かるようにならない。ゴアによると:これからの政治家は、賄賂を受け取ったり、ロビイストの世話になる必要がなくなる。なぜなら、今ほど広告のために金が必要なくなるからだ。この背景には、ウェブ広告がテレビCMほど高額にならないから、あるいはインターネット利用者はテレビ視聴者ほど影響を受けないから、という仮定がある。おそらくその両方だろう。
いずれにせよ、ウェブで広告収入をあてにしようとしている多くの人たちにとっては、嬉しくない話だ。インターネット界の多くの人たちが、テレビや他の伝統的メディアの視聴者が減るにつれ、そこへ注ぎ込まれていた宣伝費は ― ブランドの金であれ政治家の金であれ ― 最終的には同じような額がウェブに流れてくるという発想に基づいている。一般に信じられているのは、たしかにウェブやモバイルの広告技術にはまだ改善すべき点はあるが( Facebookのような会社が先陣を切ることが期待される)、ひとたびそうなれば大きな金がついてくるというものだ。広告はわれわれの経済を回している重要な部分であり、メディア会社やGoogle、Twitter、Facebookなどのサイトにとっては特にそうだ。現在政治広告は広告エコシステムで重要な役割を担っており、選挙年ではなおさらだ。
しかし、ゴアの理論は、少なくとも政治レベルの広告に関して、インターネット広告は今のテレビ広告ほど力を持たないだろうと言い切っている。もしこれが本当になれば、われわれのようにウェブで食べている者は、広告費だけでなく他の生活手段も考えなくてはいけないだろう。
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(翻訳:Nob Takahashi)