カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行うKAICOが2.6億円のシリーズA調達

カイコを利用したタンパク質の受託発現や、試薬、診断薬、医薬品原料の製造販売を行う九州大学発スタートアップKAICO(カイコ)は12月15日、第三者割当増資による2億6000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合、双日、東京センチュリー、ユーグレナ。これは2020年5月25日に公表したシリーズAの追加ラウンドにあたり、シリーズA累計調達額は5億2000万円となった。

KAICOは、2020年から新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を生産し、2021年9月からは、このタンパク質を利用した新型コロナウイルスの抗体測定サービスも開始している。また2021年4月には、KAICOは、開発したワクチン抗原タンパク質が経口接種によるワクチン効果があることを確認し、特許を申請している。ワクチンの原料となるタンパク質は、通常は経口接種するとアミノ酸に分解され免疫の獲得は困難となるが、一部のカイコ由来タンパク質は経口接種でも注射と同じように免疫を持つことが確認された。

経口接種ワクチンが実現すれば、医療機関で注射を受ける必要がなく、誰もがドラッグストアで購入して飲むことができる。また常温で保存が可能なため、世界中どこへでも運ぶことができる。家畜にも、1頭ずつ獣医師が注射をすることなく、餌に混ぜて接種できるなどのメリットが大きい。

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

KAICOのコア技術は、「カイコ・バキュロウイルス発現法」と呼ばれるもの。バキュロウイルスは、昆虫を宿主とするウイルスで、異種遺伝子を発現させるために使われている。目的のタンパク質の遺伝子をカイコに挿入すると、カイコの体内でそのタンパク質が作られる。医薬品やワクチンを量産したければ、カイコの数を増やすだけでよい。即座にスケールアップが可能ということだ。また、複数の薬を同時並行して開発することもできる。

今回の資金調達で、KAICOは経口ワクチンの実現を目指して、ヒト用(新型コロナウイルス、ノロウイルスなど)と動物用の開発を進めるとしている。経口ワクチンの前段階として、カイコを使ったサプリの開発、販売も予定しているとのことだ。

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TechCrunch Japan

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