クラウドソーシングでアニメ動画を制作するCrevo、実写映像にも対応——独自の管理ツールで差別化を図る

Crevo代表取締役の柴田憲佑氏

Crevo代表取締役の柴田憲佑氏

クラウド動画制作プラットフォームのCrevoは9月5日、実写映像制作サービスの提供を開始した。

Crevoは2014年3月にサービスを開始して以来、アニメーションに特化したクラウド動画制作プラットフォームを提供してきた。これまでに500社が利用。登録クリエイターは3000人以上にのぼる。

今後はこのプラットフォーム上で実写映像制作サービスを提供する。顧客の顔や現場の雰囲気を直接伝えることができるインタビュー動画や店舗紹介動画など、実写撮影が必要である映像制作の需要に応えるため、サービスプランの拡充、システムの改善を進める。

映像制作全般をシステムで効率化

Crevo(当時の社名はPurpleCow)の設立は2012年6月。は2014年3月に「動画制作に特化したクラウドソーシング」とうたってサービスを開始した。2015年2月には1億円の調達を実施し、サービス名にあわせるかたちで社名をCrevoに変更した。2015年8月にはクラウドでの動画制作支援システム「Crevo Basecamp」の提供を開始し、動画制作を依頼するクライアントと動画を制作するクリエイターの間で発生する作業の工数削減を促進してきた。アニメーション動画制作の効率化、工数削減にはすでに成功し、安価なパッケージプランの提供が可能となっている。

一方で、クライアントからの需要が高いと感じていた実写映像制作のパッケージ化も2015年秋頃より着手。パッケージプラン、動画制作支援システムの最適化を行い、今後はアニメーション動画、実写映像の二軸でクライアントの需要に応えていくことになる。

Crevo Basecamp上では声優オーディションも行うことができる

Crevo Basecamp上では声優オーディションも行うことができる

ディレクターの負担を激減

実写映像制作は通常、企画完成後、スタッフ集めや機材準備、撮影地の確保からキャスティングまで、すべてをディレクターが担当する。手配が完了した後、撮影を実施、映像の納品を完了する。Crevoの実写映像制作サービスでは、ディレクターが属人的に行う工程をツール上のシステムで解決し、効率化していくことを目指すという。

映像のフィードバックを画面を共有しながら行うことができる

映像のフィードバックを画面を共有しながら行うことができる

従来は試写会や対面でのコミュニケーションを通じて行うことが多かった制作中の映像へのフィードバックを、システムでオンライン化。さらに、ロケーション探しの工数、負担を減らすためにレンタルスペースを運営するYuinchuと事業提携を実施。Crevoでの実写映像制作時にはYuinchuが運営するレンタルスペースをディスカウント料金、特別な支払いサイクルで利用することができる。

「従来の実写映像制作では、スタッフィング(カメラマンなどのスタッフ集め)、ロケーション決め(撮影地の確保)、キャスティング(モデル、出演者確保)は、ディレクターが検索して確保する。もしくは知り合いを通じて見つけるなど、かなりアナログな方法で作業をしている部分が多いことが分かった。そのアナログな工程を効率化できればと思っている」(Crevo広報)

2016年秋には、ディレクターが担当することが多いストーリー構成もテンプレート化するなど、実写映像制作の工程もアニメーションと同様、効率化を図っていく予定だという。

少人数の制作チームでスケールを目指す

今後も動画制作事業を中心に事業を展開していく。だが一方で「普通の制作会社」にならないよう、動画制作支援システムの開発に力を入れてきたというCrevo。インターン、バイトを入れて25人いる従業員のうち、制作チームは半数以下。営業とエンジニアの採用は強化していく一方で、制作チームは業務効率化を進めることで、少人数体制のままでのスケールを目指していくという。

「企業から受けている映像制作案件は1年前に比べるとかなり増えているが、制作チームの人数はほとんど変わっていない。通常の映像制作会社の場合は従業員の大半が制作担当者。我々はインターネット企業としての立場を大切にして、働き方やツールでの効率化も大切にして、成長していきたいと考えている」(Crevo広報)

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。