あなたは外交的ですか? と聞かれてイエス・ノーと答える性格診断って意味が分からないよね。それが「コミュニケーション能力」を求める企業への就職活動の一環なら、答えはイエス以外にないし、実際就活生の8割は「外交的」と答えるそうだ。けれど、これをスマホでやると、一瞬の迷いとか指の軌跡からまた違った診断が可能なのだそうだ。
そんなテクノロジーを使ったスタートアップ企業のIGS(Instution for a Global Society)が今日、慶応イノベーション・イニシアティブ(KII)とみやこキャピタル(京大ファンドの認定運営事業者)からシリーズAラウンドとして合計2.5億円の資金調達を実施したことを発表した。これまでIGSは2016年9月に東京理科大インベストメント、東京大学エッジキャピタルから3.5億円を調達していて、累計6億円の資金調達額となる。IGSは2010年の創業で、元々は自己資本で教育コンサルをしていた。
IGSは主に2つの事業を展開している。
1つは2016年にスタートした採用支援の「GROW」で、もう1つは2014年スタートのオンライン英語システム「e-Spire」。いずれも人工知能活用をうたう。
GROWは、周囲の人々に能力や適性を評価してもらう「コンピテンシー360度評価システム」や潜在性格診断をもとに、新卒採用スクリーニング、組織分析のサービスを提供。現在、大手企業を中心に50社以上の導入実績があるという。冒頭に書いたようにスマホ上で指の動きをみるのが特徴だ。
例えば「Big 5」と言われる心理学で良く用いられる性格診断テストでも、自分を偽れる。ただ、実際に回答しているときの身体反応をみると嫌悪感は隠せない。かすかに反応が遅れるとか、ちょっと左に動くとか、そうしたことが起こる。完全なポーカーフェイスというのは無理なのだそうだ。といっても嘘を見抜くのが目的というわけではない。内向的でも活躍できる職場・職種はあるわけで、そうしたマッチングをするのが目的だ。適合率をみて企業に推薦するといったサービスを開始しているという。ちなみに「気質」自体は生まれつきのものであっても、社会的コンピテンシーというのは本人の自覚や努力で獲得できる。これが「成長」だというのがIGSが考えるところだとか。
組織の360度評価では、各自個人で30個のパラメーターを確定する。このとき、GoogleのPageRankように評価者の実績も反映するなどして評価者の評価を補正するようなデータ分析をしているのがIGSの強みという。こうしたパラメーターを見た上で、たとえば「メンター・メンティー」の組み合わせとして「論理的思考の強い人は、メンターに論理的思考の強い人を組み合わせたほうが良い」などという人材最適配置ができるそうだ。
オンライン英語システムのe-Spireは、TOEFLの問題形式を意識した学習コンテンツと教員向けモニタリングツールを提供している。2017年6月からは人工知能による英語エッセイの児童採点機能を搭載していて、スーパーグローバルハイスクールや国際バカロレア認定校を中心に13校に導入されているそうだ。