ソフトウェア開発からハードウェアの製作にシフトするという難題に挑戦しているRobocatが、幸先の良いスタートを切った。このデンマークのスタートアップが作っているスマートフォン用の温度計アクセサリThermodoは、Kickstarterの目標額35000ドルに昨日(米国時間3/7)わずか7時間で到達し、今日は倍以上になっており、それでも出資志望者は絶えない。そこでRobocatは今朝、目標額の増額を発表したが、そのやり方を見ていると同社は、これまでのKickstarterのプロジェクトの中で最優秀の一つではないか、と思えてくる。
増額の目標額は複数あって、たとえば12万5000ドルはAndroid用バージョンの開発だ。Androidデバイスへの対応はサードパーティのデベロッパがちょっと頑張ればできるのだが、この額に達したら同社自身が公式のAndroid対応機を作り、すでにあるアプリケーションThermoもAndroid化する。
25万ドルでは、多色化が始まる。出資はは25ドル以上を出せば赤をもらえる。そして最高額の50万ドルを超えたら、全員がアルミニウム製のThermodoをもらえる。Robocatには今すでにアルマイト製もあるが、それは特注となり、一般出資者のオプションは黒と白と赤の塗装製品のみだ。
増額目標はThermodoの最初の額の達成を踏まえた、一種のお遊びでもある。そこが、プロジェクトのデザインとしてすてきだと思う。Robocat自身としては、製造を開始できるだけの額があればよいわけだから、その額しか求めなかった。でも支援者が増えた場合のプロジェクトのアップグレードの演出も、すでに考えていたのだ。一人当たりの出資額は小さいし、目標額も最初からほとんど射程内だから、みんな安心して出資できる。もしかしてだめかも、という不安がない。
Thermodoは当然、増額された目標額のどれかに必ず到達するだろう。そして製品の出荷量は相当多くなる。たぶんいちばんおもしろいのは、そこだ。ソフトウェア企業がハードウェアアクセサリの大量生産を、どうやって無事に乗り切るのか。