ドナルド・トランプ大統領はこの月曜日、ホワイトハウスにOffice of American Innovation〔アメリカン・イノベーション・オフィス〕を新設することを発表した。責任者には大統領の側近であり長女イバンカ・トランプの夫であるジャレド・クシュナーが就任する。これによりクシュナーは連邦政府の組織、運営手続きの改革全般に関してきわめて強力な立場を得ることになった。Washington Postによれば、改革にあたってはビジネス・コミュニティーの意見が取り入れられ、一部の業務は民営化も検討されるという。
クシュナーの新組織は岳父であるトランプ大統領に直属する。スタッフはビジネス・コミュニティーから集められ、アドバイザーとして有力なテクノロジー企業のトップが参加する。これにはAppleのCEO、ティム・クック、TeslaとSpaceXのイーロン・マスク、Salesforceのマーク・ベニオフ、Microsoftのファウンダー、ビル・ゲイツ、IBMのCEO、ジニ・ロメッティらが加わる。
一部のジャーナリストテクノロジー企業のトップはさっそく非難を始めている。
Well this seems like a recipe for kleptocracy on a gargantuan scale: https://t.co/2GPpN4jlTW
— Clara Jeffery (@ClaraJeffery) March 27, 2017
政府にたかる泥棒を拡大するためだけの方針だ
新オフィスの創設は 連邦政府の諸機関は膨張し過ぎており、議会や州の介入を受けすぎているという大統領の側近グループの主張に応えるものだろう。、またオバマケアを廃止しようとするAffordable Care Acが下院で否決された打撃を軽減し、政策の決定権を議会からホワイトハウスに奪い返そうとする試みの一つだろう。
Washington Postに対してトランプ大統領は次のように述べた。
すべてのアメリカ人は、政治的立場に関わりなく、連邦政府機関がスタグネーションにより機能不全に陥っていることをみとめざるを得ないはずだ。 …これが各所でコストの膨張と計画の遅延をもたらしている。あらゆる政府事業に関して『締め切り以前に予算以下で達成する』という態度をもたらし、結果を出していくことを私はアメリカ国民に約束する
クシュナーは 36歳であり、これまでに公職に就いたり政策決定に関与した経験は皆無だが、過去に例のないほど大統領に密着した側近として知られている。クシュナーはWashington Postに対し、「アメリカは優れた民間企業のように運営されるべきだ。顧客はアメリカ国民だ」と述べた。
これにも反対派Twitterで強く批判している。
ジャレド・クシュナーは定見も経験もないことを知っている。政府にはすでにUS Digital Serviceや18Fのようなプロジェクトがある。邪魔なだけだ。
大企業のトップに政府改革のアドバイスを求めれば、これらの大企業が政府から新たな契約を得たり民営化により新たなビジネスに参入するチャンスとなることは明らかだ。
クシュナーはWPに対して、優先事項の一つは退役軍人省の抜本的改革だと述べた。同省については新任長官は就任を前にして早くも民営化を提案しているが、これは複数の退役軍人組織から非難を浴びている。【略】
Washington Postの記事をさらにチェックすると巨大テクノロジー企業のトップが関与することの意味がはっきりしてくる。つまりあらゆる政府機関の改革のイニシアチブの内容には情報テクノロジーやデータ・インフラの現代化が含まれるという。またアメリカ全国民にブロードバンド接続を届け、あらゆる部門での職業訓練の手法の見直しが行われる。
これらはすべて新しい政府契約や大規模な民営化に伴うビジネスチャンスになるわけだ。その権力が大統領の女婿の手に握られることになった。
ホワイトハウスの新組織はジャレド・クシュナーの権力を連邦政府機関すべてに広げる
テクノロジー・インフラの改革に加えてクシュナーのいわゆる「SWATチーム」はヘロイン中毒などの問題も扱う(共和党の元ニュージャージー州知事、クリス・クリスティーが責任者)。
トランプ大統領のチームは驚くほど素早くかつ大規模にビジネスのリーダーの意見を取り入れつつある。Dow ChemicalのAndrew Liverisによれば、新たに任命された行政機関の責任者は出身母体の企業に種々の助けを求めているという。
新組織のメンバーには、国家経済会議(NEC)のメンバーでGoldman Sach出身の富豪、Gary Cohn、 MicrosoftやGMでCFO(最高財務責任者)を務めたChris
Liddell、一族が所有する不動産業を通じてハイテク・カジノやショッピングモールの開発を経験しているReed Cordish、ジョージ・W・ブッシュ政権でホワイトハウスと国務省の高官だったDina Powell、同じくブッシュ任命の高官、Andrew Brembergなどが含まれる。
WPの記事によれば、クシュナーの妻で大統領の長女、イバンカ・トランプも新組織のスタッフとして協力するという。【略】
しかしTwitterでは新オフィスについて「オバマ政権の提案に驚くほど似ている」と指摘する声もあがっている。
The new office that Kushner will run sounds intriguing…
… but Obama had a very similar idea first. pic.twitter.com/xI4Ad7KuZv
— Dan Diamond (@ddiamond) March 27, 2017
クシュナーが運営する組織だが…オバマがすでにそっくりの提案をしている。
画像:: Justin Sullivan/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)