Elon Muskの新会社Neuralinkは人間の脳が人工知能に‘後れない’ようにする

シリアル・アントレプレナー(serial entrepreneur, 連続(的)起業家)Elon Muskがまた新しい会社を作った。今度のは、テクノロジーによって脳の能力を拡張する、という主旨の企業だ。その新会社Neuralinkは、Wall Street Journal紙のおかげで今日(米国時間3/27)表沙汰になったが、元々Muskは、人工知能の進化に人間が歩調を合わせられるための脳-コンピューターインタフェイスに取り組んでいた。

Muskは去年のCode Conferenceで、“ニューラル・レース(neural lace)”というもののアイデアを述べた。それは、人間の脳に直接接続して、これまでの入力方法…キーボード、マウス、トラックパッドなど…のように帯域の制約のない、人間とコンピューターの対話を実現する技術だ。その後彼は自分の研究が進んでいるとツイートし、さらに最近では、彼がそのための会社を作るつもりだ、という噂が出回った。

ただしWSJの記事によると、Neuralinkは当面は人間の脳の能力の拡張を目指さない。むしろ同社が探求するのは、危険な、あるいは慢性的な症状を、脳のインタフェイスによって緩和することだ。

記事によると、それらの症状とは、てんかんや重症のうつ病などだ。今でも電極を脳に挿入するパーキンソン病の治療法などがあるが、Neurallinkはそれら既存の医療技術を出発点とし、それらの改良努力に集中することによって、より容易な開発と、当局からの承認の得やすさを目指す。この、あえて低いハードルをクリアすれば、人間の脳の能力の拡張という長期的な目標に向けて、会社の体制を整えることができるだろう。

まわりくどいやり方に見えるかもしれないが、これはMuskが大きなアイデアに取り組むときの標準的な方法だ。SpaceXとTeslaも同じモデルを用い、後年ほど野心的ではない短期的な製品から始めて、大きな目標…火星着陸船や長距離EVの大衆化など…に向けての持続可能な勢いをつける。

MuskはNeuralinkに関して、これまでのTeslaやSpaceX、The Boring Company(トンネル利用による都市交通の高速化)などと同じく、本気で取り組むだろう。しかし彼は人工知能について、人間にリスクをもたらすかもしれないと見ているだけに、彼が追究するリスク回避のソリューションは、他の惑星への植民や化石燃料からの卒業などと同じく、彼にとっても重要な意味を持つだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))