ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は、ニュースレターには今も大きな勝機があると考えているようだ。同社はSubstackのシリーズAを主導し、1530万ドル(約16億5000万円)を調達した。
Substackは2年前にニュースレターを有料購読ビジネスにする企業として設立され、その後ポッドキャストとディスカッションスレッドにも対応した。CEOのChris Best(クリス・ベスト)氏が語るように、ライターやクリエイターが自分自身の「パーソナルメディアの帝国」を運営することを目指している。
Substackを利用しているライターには、Nicole Cliffe(ニコール・クリフ)氏、Daniel Ortberg(ダニエル・オートバーグ)氏、Judd Legum(ジャド・レガム)氏、Heather Havrilesky(ヘザー・ハバイルズキー)氏、Matt Taibbi(マット・タイービ)氏などがいる。同社のプラットフォームで発行されているニュースレターには5万人の有料購読者がいて(10月には2万5000人だった)、最も人気のある書き手はすでに相当な金額を稼いでいるという。
自身がブロガーでありニュースレターのライターでもあるAndreessen HorowitzのAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は、Substackの取締役を務めている。チェン氏の考えによれば、Substackは古いものと新しいものを組み合わせていて、ライターは以前から存在する「熱心なオンラインコミュニティ」にリーチしつつ、読者から直接お金を集めることのできる「マイクロアントレプレナーシップを実現する新しい方法」を追求できるという。「この2つが両立すれば特別なことになる」とチェン氏は言う。
Substackがかつて参加したY Combinatorも資金調達に加わった。
Substackのメンバーは、共同設立者であるベスト氏、CTOのJairaj Sethi(ジャラジ・セティ)氏、COOのHamish McKenzie(ヘイミッシュ・マッケンジー)氏の3人で、ベスト氏の家のリビングで仕事をしているという(その3人が上の写真だ)。新たに資金を調達したが、ベスト氏とマッケンジー氏は慎重に成長していきたいと語る。
マッケンジー氏は「我々は信頼性と安定性のあるSubstackから収入を得るライターのことを考えている。そこを逸脱して多くのスタートアップが陥りがちな誤りをすることのないようにしたい」と言う。
とはいえ、同社はリビングを出てチームを大きくする予定だ。ベスト氏は、クリエイターが同社のプラットフォームを最大限に活用し、ビデオなどほかのフォーマットにも展開できる「ライターの成功」ツールをさらに構築する計画であると語った。
マッケンジー氏は、Substackが成長しても「読者との関係を自分で所有したい人々」のためのサブスクリプション製品に取り組み続けていくと言う。ベスト氏は、こうしたアプローチによって「くだらない暴言、注目、中毒性」を狙ってオンラインニュースを発行する意欲が削がれると述べている。「これは文化を創造するのに適したモデルだ」とも付け加えた。
ニュースレターのブームが飽和するかどうかはともかくとして、新しいニュースレターが読者を獲得するのは難しい。ほとんどの読者にとって購読するニュースレターの数にはおそらく限りがあると、Best氏は認める。しかし同氏はこう語る。「そうだとしても、ニュースレターは成功するモデルになり得る。有料購読の魅力は、何百万人もの読者を獲得しなくてもいいということだ」。
画像:Substack
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(翻訳:Kaori Koyama)