フォードがライド・シェア・スタートアップのChariotを買収

chariot

Ford Smart Mobilityは自動車会社のフォードが設立した会社で、既存の交通システムに対する代替的な交通手段を提供する会社である。この会社が初めての企業買収を行ったが、その会社とは、サンフランシスコを拠点とする通勤者用ライド・シェアのスタートアップであるChariot社だ。

フォードにとっては、この買収により同社が街で展開するシャトル・モビリティ・プログラムの礎にChariotを据えることとなる。フォードとしては、このスタートアップの買収は設立間もないFord Smart Mobility社にとってさらなる前進である。同社は今年3月に正式に設立されたが、その事業はこれまでのところ限られた領域での試験に留まっており、ほとんどは主に学術機関との提携によるものだ。

Chariotは2014年に設立され、それ以来ずっとフォード車のみを使い続けている。これは単なる偶然の一致ということのようだが、実際のところ同社は現在も15人乗りのFord Transitヴァンのみを使用しており、その車体にはChariotの文字がしっかりとペイントされている。Chariotにとってみれば、Ford Smart Mobilityの一部になることで素早い成長と迅速な事業拡大が可能となる。

「我々は極めて積極的にビジネスを拡大して次の1年で複数のマーケットに展開する予定です」と、ChariotのCEOで共同設立者のAli VahabzadehはTechCrunchとのインタビューで述べた。「極めて初期の段階から明白だったのは、Chariotはフォードの物流、自動車および営業の専門知識を梃子に、単なるベイエリア内のサービスに留まらず、そのサービスを世界規模にまで広げていくことが可能だということです」

同社によると、既存のChariotのサービスは現状を維持し、ヴァンの見かけも変わらない予定だ。また、フォードとChariotの発表では、同社は次の18ヶ月で少なくとも5つのマーケットに進出する予定で、数週間中に次のマーケットが明らかにされる予定だ。Vahabzadehが語ったところでは、フォードは資金や物流面だけでなく世界中の国や都市の行政との関係においてもその専門性を大いに発揮してビジネスの拡大を支援してくれるということだ。

Chariotの目標は、価格面で公共の交通機関とそれほど乖離せず、それでいてより早く、より便利なルートでサービスを提供することだ。現在のプラットフォームではルートの設定はクラウドソーシングにより決定されている。つまり、ユーザーがアプリで指定するピックアップ地点と目的地を集計し、特定の地点に対する要望が一定数を超えるとルートが確定する。現在ベイエリアでは28のルートで100台のヴァンが運行中だ。

「我々は最高に快適な通勤というものに関して確たるビジョンを持っていますが、それはサンフランシスコに住む人にとってより早く、信頼性があり、しかも安全であるということです。こういったサービスをサンフランシスコの枠を超えて広げて行きたい」と、Vahabzadehは説明した。

ライド・シェアの領域に投資しているのはフォードだけではない。例えば、GMも自社内にMavenというスタートアップを設立し、Lyftとも提携している。また、Chariotのビジネスモデルはフォードの自動運転車の方向性ともとても相性が良い。フォードはオンデマンドで運行するライド・シェア方式の代替交通手段のネットワークを展開しようと画策しているからだ。

「まだまだ道のりは長いが、それも今Ford Smart Mobilityと組むことの理由の1つです」と、Vahabzadehは言った。実際、同社はChariotの将来の方向性として自動化に目を向けている、と彼は付け加えた。

Chariotとフォードは今回の契約に関する金銭的な条件に関してはコメントを控えた。
[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)