ワシントンD.C.の司法長官がアマゾンを「オンライン小売市場の競争を阻害している」と提訴

ワシントンD.C.のKarl Racine(カール・ラシーン)司法長官は米国時間5月25日、Amazon(アマゾン)が反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとする新たな訴訟を発表した。この訴訟では、アマゾンがサードパーティ販売業者に支配力を行使することで競争を阻害していると非難している。

ワシントンD.C.の高等裁判所に提出されたこの訴訟は、アマゾンがその巨大なオンライン小売プラットフォーム上で価格を決定づけ、サードパーティの販売業者が他の場所で商品をより安く販売することを妨害していると主張。販売者は契約によりアマゾンの高額な手数料を価格に組み込まなければならず、そのことがオンライン小売市場全体で「人為的に高い」価格設定を作り出しているとラシーン司法長官は主張している。

このような慣行はコロンビア特別区の反トラスト法に抵触する可能性がある。司法長官事務所は、これによってアマゾンがオンライン小売市場で独占的な力を発揮していると主張する。

「アマゾンは、何が何でも勝利するために、オンライン小売市場における支配的な地位を利用してきました。サードパーティの販売業者や消費者を犠牲にして自社の利益を最大化する一方で、競争を阻害し、革新を抑えつけ、違法に市場を自らに有利な状況に偏向させています」と、ラシーン司法長官は述べている。

「私たちは、アマゾンがオンライン小売市場全体の価格を違法にコントロールしている状況に終止符を打つために、この反トラスト法に基づく訴訟を起こしました。地区住民の選択肢を広げ、競争、革新、選択を促進する公正なオンライン市場を、私たちは必要としています」。

今回のワシントンD.C.の司法長官による訴訟は、テクノロジー分野で最も強力な企業を一段階引き下げようとする州レベルの取り組みで最新のものだ。Facebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)は、反競争的な行為を行ったとして複数の州で訴訟を起こされており、連邦議員も反トラスト法の大幅な改正に向けて動き出している

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon反トラスト法裁判eコマース

画像クレジット:Aytug Can Sencar/Anadolu Agency / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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