中国は、世界最大の人口を擁する市場である同国において、地元のインターネットサービスが持つ影響力にさらに歯止めをかけようとしている。ここ数カ月の間に拡大した一連の規制強化に続き、同国は中国時間8月27日、企業がユーザーにレコメンデーションを提示するために実行するアルゴリズムを規制するガイドライン案を発表した。
中国サイバースペース管理局(CAC)は、27日に発表した30項目のガイドライン案の中で、企業が「中毒や大量消費を助長する」アルゴリズムを展開し、国家安全保障を危険にさらしたり、公共秩序を乱したりすることを禁止することを提案している。
習近平国家主席が議長を務める中央指導部に直属するインターネット監視当局のガイドラインによると、サービス各社はビジネス倫理と公平性の原則を遵守しなければならず、そのアルゴリズムが偽のユーザーアカウントの作成やその他の誤った印象を与えるために使用されてはならないとある。同監視局は、新ガイドラインに対する一般からのフィードバックを1カ月間(9月26日まで)受け付けるとしている。
また、このガイドラインでは、アルゴリズムのレコメンデーションを簡単にオフにできる機能をユーザーに提供することを提案している。世論に影響を与えたり、市民を動員する力を持つアルゴリズム提供者は、CACの承認を得る必要がある。
27日の提案は、同国政府が消費者データの扱い方や国内での独占的な立場を理由に、企業を標的とする傾向がますます強まっている中で行われた。
2021年初め、政府が支援する中国消費者協会は、現地のインターネット企業がユーザーを購入やプロモーションに「追い込み」、プライバシー権を蝕んでいると指摘した。
中国政府による最近のデータセキュリティの取り締まりや家庭教師サービスに対する規制強化は、投資家を不安に陥れ、数千億ドル(数十兆円)の損失につながった。
今回のガイドラインは、ByteDance(バイトダンス)、Alibaba Group(アリババグループ)、Tencent(テンセント)、Didi(ディディ、滴滴出行)など、独自アルゴリズムを基盤としてサービスを構築している企業を対象としているようだ。このニュースを受けて、AlibabaとTencentの株価はわずかに下落した。
近年、米国やインドをはじめとする数カ国の政府が、これらの大手テック企業のアルゴリズムがどのように機能しているかをより明確にし、悪用を防ぐためのチェック体制を整えようと試みてきたが、成果はほとんど上がっていない。
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画像クレジット:George / Getty Images
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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)