中国で生産されたセダンタイプの「Tesla Model 3」 の初の納車が米国時間1月7日から始まる。これはTesla(テスラ)にとって、初となる米国外の工場の建設から1年後の達成となる。
テスラの広報からの発言としてReuters(ロイター)が最初に報じた、今回の顧客への納車は、同社が世界最大の自動車市場で市場シェアを獲得し、関税による影響を軽減するためのマイルストーンだ。なお、顧客へは上海工場から納車される。今週には、12人以上のテスラの従業員がModel 3を受け取った。
同社は第3四半期の決算報告の中で、「中国はModel 3にとって最大の市場になる可能性がある」と述べた。中国の顧客向けに車を生産することで、テスラは関税を回避できるが、これが同社にとって持続的な収益源になるという保証はない。中国では、政府が新エネルギーを利用する車両への補助金を削減したため、他の自動車メーカーのEV販売台数はここ数四半期において低迷している。
テスラのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、EVの販売が低迷しているにもかかわらず、積極的に市場に参入している。同社によると、中国工場の生産ラインは年間15万台の生産能力を持ち、カリフォルニア州フレモントにあるModel 3生産ラインを簡略化した、よりコスト効率の高いバージョンになるという。
テスラはまた、第2世代のModel 3のラインは、フレモント州のModel 3の関連ラインや、ネバダ州スパークスにあるリチウムイオン電池の生産工場のGigafactory(ギガファクトリー)よりも、ユニットあたり少なくとも50%安くなると述べた。
テスラは2018年7月、上海に工場を建設する契約を中国政府と結んだ。これは、長い間中国を重要な市場と見てきたテスラとマスク氏にとって、画期的なマイルストーンだった。特に注目すべきは、従来型の中国政府とのジョイントベンチャーではなく、テスラが完全に所有する工場でであることだ。これまで外国企業は中国に工場を建設する際に、現地企業と半分づつ出資する合弁会社を設立しなければならなかった。
中国の習近平国家主席は、2022年までに国外自動車メーカー向けの合弁事業の規制を段階的に撤廃する計画を推進しており、テスラはこの規制緩和の最初の受益者の1社だった。
中国工場の開設は、中国と米国の貿易摩擦が高まっている時期に敢行された。特にテスラは両国の関係の影響や、それによる関税の上昇にさらされている。なお、同社はカリフォルニア州フレモントの自社工場で電動セダンとSUVを製造しており、これらが中国に輸出される場合には、輸入関税が課せられる。
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(翻訳:塚本直樹 Twitter)